かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 130

2023-10-14 09:28:15 | 短歌の鑑賞
 2023年版 渡辺松男研 15 (14年5月)まと
    【Ⅱ ろっ骨状雲】『寒気氾濫』(1997年)57頁~
     参加者:四宮康平、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部 慧子 司会と記録:鹿取 未放
             

130 夕焼けの赤を映せるプール出でなまもの父は濡れておるなり

        (当日発言)(2014年5月)      
★なまものって、生臭いという感じではないでしょうか。(曽我)
★夕焼けの赤との関係で、生命が海から生じたという背景があってもいいのかなあと。
 ただ生臭さは確かにありますよね。(鈴木)
★出版記念会の折、岩田先生がこの歌を選んで評されましたね。どのように良いかは、
 すみません覚えてないけど、誉められましたね。(鹿取)
★129番歌(くれないのコレステロールも欲も濃き父の大声われをはじけり)に比
 べて大きいところから見ていますね。スケールが大きいから説得力がありますね。
   (鈴木)
★なまもの、という単語だけ見るとネガティブな印象があるんですけど、作者は父親と
 いう対象に対して肯定、否定両面を持っている。家族の誰に対しても両面あると思う
 けど。(四宮)


      (まとめ)(2014年5月)
129番歌(くれないのコレステロールも欲も濃き父の大声われをはじけり)同様赤が効果的に使われた歌。斎藤茂吉の『赤光』の赤は有名だが、坂井修一さんにも意識的な赤の使用が認められる。躍動感やなまなましさや毒々しさ、赤には様々なバリエーションがあるが、そんな赤に詩人は惹きつけられるようだ。(鹿取)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする