かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞  367

2021-12-04 16:42:56 | 短歌の鑑賞
  渡辺松男研究44(2016年12月実施)『寒気氾濫』(1997年)
    【半眼】P148~
     参加者:泉真帆、M・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部 慧子    司会と記録:鹿取 未放


367 星のふる冷たき夜ゆえ冷たさを触れあいている籠の林檎は

     (レポート)
 ある程度の数の林檎が籠に盛られていよう。その林檎は「冷たさを触れあいて」である。林檎それぞれの秘め持つ大切なものは冷たさであってそれを触れあっているということだろう。冷たいということの神秘性が一首にひびく。林檎は星へも感応していよう。(慧子)
 

      (当日意見)
★レポートの「冷たいということの神秘性が一首にひびく」がほんとうにそうだなと思いました。
 触れあったら普通は温もりとか考えるんだけど。しかも、冷たさは感情についてではなくて、星
 の降る夜だからと状況を説明してある。だから、無理なく入ってくる。(真帆)
★「星のふる」夜って、歌謡曲のようで通俗の極みのようだけど、「冷たさをふれあいている」で
  引き締まった。林檎も冷たさによって甘さが抑えられている。(鹿取)


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