かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 2の124

2019-01-08 20:08:43 | 短歌の鑑賞
  ブログ版渡辺松男研究2の16(2018年11月実施)
    【樹上会議】『泡宇宙の蛙』(1999年)P80~
     参加者:泉真帆、岡東和子、A・K、T・S、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:泉真帆   司会と記録:鹿取未放


124 鳥の目を獲得をしてしまいたり虫がこんなにはっきり見える

     (レポート)
 鳥のように高所から全体を見渡すことを鳥瞰というが、実際鳥の視力は人間の六倍もあるのだとか。この一首は山にいた珍しい昆虫をまじまじと見ているときに出来た歌かもしれない。本当は対象物(この歌では虫)をもっとよく視たいという作者の好奇心や集中力によってよく視えるようになったのだろう。あるいは山にいるのならば良い空気を吸って血流がよくなり視力がよくなったのかもしれない。それを「鳥の目を獲得をしてしまいたり」と驚き詠まれているところに一首の面白みがある。物がはっきり見えると説明的に詠まず、「虫」と一語の具体を出したところで鳥と虫との距離感も読者に手渡されリアルな一首となったのではないか。私も鳥になれたようで読んでいて楽しかった。(真帆)


     (当日意見)
★「鳥の目を獲得を」の「を」二つはどうなんでしょうか。(真帆)
★そう言われてみると二つめは無くてもいいような気もします。(T・S)
★自分でも驚いている感じが二つめの「を」じゃないですか。まあ二つめがないと二句が六音に
  なるてこともありますが。(鹿取)
★接写している感じですね。楽しい歌ですね。(A・K)



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