渡辺松男研究2の23(2019年4月28日実施)
Ⅲ【交通論】『泡宇宙の蛙』(1999年)P109~
参加者:泉真帆、岡東和子、A・K、T・S、鹿取未放
レポーター:泉真帆 司会と記録:鹿取未放
169 力士曙は日本が殺し外来王キャプテン・クックはハワイが殺す
(レポート)
この一首は、神事にまつわる無念の歌だ。一九九〇年代は日本が若貴ブームに沸いた。相撲は日本の伝統的な国技のため、若貴を引き立てるために、ハワイ出身の曙太郎は悪役にしたてられてしまった。
一方、キャプテン・クックことジェームズ・クックはハワイの島民の神事にまつわる誤解によって殺されてしまった。クックが島に上陸したときはちょうどハワイの新年の祭りの時期だった。クックは、白い旗を掲げてやってくると信じられていた収穫神「ノロ」と思われてしまい歓待をうけるが、出帆のとき嵐にあいマストが折れ島に引き返すトラブルにみまわれる。祭が終わったというのに神が戻ってくるでは不吉だと島民は結局クックを殺してしまう。(真帆)
(当日意見)
★なるほど、神事なのね。国や島の民意の思惑によって犠牲にされたってことですね。馬場あき子
の歌集『青椿抄』に曙に加担した歌があって、そういう事情だと、あの歌は国によって鬼にされ
てしまった曙を陰ながら応援・擁護する歌だったかもしれませんね。「春はあけぼの」て言挙げ
して、俺が春場所は優勝するって宣言したんだけど、でも負けてしまった。爽やかなたのしい歌
とだけ思って読んでいましたが。(鹿取)
★二つの事実をぱっともってきたのね。これ「殺した」では駄目で「殺す」の現在形がいいですね。
(A・K)
(後日意見)
鹿取発言中の『青椿抄』にある曙に加担した歌は次のもの。(鹿取)
「春は曙」と答へし力士の成績表さりながら楽し言葉匂へば
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