かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 60 アフリカ⑥

2023-09-22 17:36:19 | 短歌の鑑賞
 2023年度版 馬場あき子の外国詠 ⑦(2008年4月実施)
   【阿弗利加3 蛇つかひ】『青い夜のことば』(1999年刊)P171
   参加者:泉可奈、N・I、崎尾廣子、T・S、Y・S、藤本満須子、
        T・H、渡部慧子、鹿取未放
   レポーター:T・S  司会とまとめ:鹿取 未放

 
60 顔憎き蛇つかひわれより銭を得てまだらの蛇に触(さや)らしめたり

     (まとめ)
 蛇遣いはいかにも憎そうな顔つきだったのだろう。「銭を得て」に狡猾な、金銭に執着する俗っぽいイメージがよく出ている。さわる、ではなく「さやる」という言い回しもおっかなびっくりでさわる感じがよく出ている。触っただけでなく写真も撮ったのだろうか。それは別料金だろう。馬場の旅に同行した人達の中には首に巻いた人もいたというが、そちらはもっと高い料金に違いない。
 「金いろのばつた」の章で、〈十匹のばつたを少年に売らしめて老工はアッラーに膝まづきたり〉〈暗き灯のスークに生きてアッラーに膝まづく一食を得し幸のため〉などとひたすら鏨を打つ職人が出てきたが、それとは対照的な人物像である。(鹿取)


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