かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

写真入り 馬場あき子の外国詠 138(ネパール)

2019-12-26 17:02:51 | 短歌の鑑賞

農場のリンゴ、放し飼いの鶏が走り回っていた

 
       飛行場そばのジョムソンの町並み


  写真入り 馬場あき子の外国詠17(2009年4月実施)
    【ムスタン】『ゆふがほの家』(2006年刊)86頁~  
     参加者:K・I、N・I、T・K、T・S、N・T、
         藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:T・H 司会とまとめ:鹿取 未放
                    

ネパールのアッパームスタンに「こしひかり」を実らせた
  近藤亨翁をたずねてジョムソンに行った。
(この詞書のような2行は、「ニルギリ」の章全般に掛かる。鹿取注)


138 ヒマールと呼べば何だか土地びとのやうなりムスタンの林檎はうまし

      (レポート)
 近藤亨氏が苦労して実らせた林檎を召し上がった。美味しかった。「ヒマール」とは、その林檎に付けられた名前だろうか。それともその地の名称なのだろうか。「ヒマール」と口に出して発音してみると、何か土地の人になったような親しみが湧き、また林檎のおいしさは近藤氏のご苦労を思ってのおいしさであろう。(T・H)
 

      (当日意見)
★「ヒマール」は、ヒマラヤを呼ぶ土地の人のことばです。林檎を食べた農場はジョムソンにあり
 ました。飛行場からホテルまで歩いて50分、農場は飛行場と反対方向で、歩いたら30~40
 分くらいでしょうか、そこを馬で移動しました。ホテルから下の隊商が通る広い平坦な道まで、
 150メートルくらいでしょうか、急坂でしたが、その先は平坦な道でした。ただ整備されてい
 ないので石ころごろごろですし、橋のないカリガンダキ川の浅瀬をそうっと渡りました。農場に
 は林檎のほか鍛冶屋のような設備があったり、鶏が放し飼いになったりしていました。その対岸
 には鯉の養殖場が設けられ、田んぼもありました。研修に来る人たちの為の平屋建ての宿泊施設
 もありました。リンゴは紅玉より少し小さめで、とても芳香があり、むちっと果肉が締まってい
 て果汁たっぷり、リンゴ本来の甘酸っぱい味で、ほんとうに美味しかったです。(鹿取)


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写真入り 馬場あき子の外国詠 137(ネパール)

2019-12-25 18:55:31 | 短歌の鑑賞
   
   馬上の馬場あき子 ※著者から写真掲載の許可をいただいています。    

   
   カリガンダキ川を、白馬にまたがって近づいてくる近藤亨氏


  写真入り 馬場あき子の外国詠17(2009年4月実施)
    【ムスタン】『ゆふがほの家』(2006年刊)86頁~  
     参加者:K・I、N・I、T・K、T・S、N・T、
         藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:T・H 司会とまとめ:鹿取 未放
                    

ネパールのアッパームスタンに「こしひかり」を実らせた
  近藤亨翁をたずねてジョムソンに行った。
(この詞書のような2行は、「ニルギリ」の章全般に掛かる。鹿取注)


137 乾燥のはなはだしければ馬糞さへ臭はず馬上快晴の青

     (レポート)
 馬場先生は、馬の背に揺られて山道を辿っておられる。そこには馬糞が転々と転がっている。しかし、その馬糞も、その地域の乾燥した地面では、臭いもたたない。抜けるような青空の下だ。(T・H) 


      (当日意見)
★ジョムソンは年間雨量200ミリという乾燥地帯ですから、馬の糞もすぐ干涸らびて臭わない。
 雲一つ無い青空の下を馬で移動する爽快さを詠んでいる。(鹿取)

                            

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 写真入り 馬場あき子の外国詠  136(ネパール)

2019-12-24 19:19:55 | 短歌の鑑賞
        
           
          ジョムソン空港、対岸のホテルから遠望したところ

  写真入り 馬場あき子の外国詠17(2009年4月実施)
    【ムスタン】『ゆふがほの家』(2006年刊)86頁~  
     参加者:K・I、N・I、T・K、T・S、N・T、
         藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:T・H 司会とまとめ:鹿取 未放
                    

ネパールのアッパームスタンに「こしひかり」を実らせた
  近藤亨翁をたずねてジョムソンに行った。
(この詞書のような2行は、「ニルギリ」の章全般に掛かる。鹿取注)

                            
136 ムスタンをいづこといはん未踏峰ニルギリを仰ぐ灯のとぼしけれ

     (まとめ)
 ムスタンという土地を人に説明するにはどこにあると言えばよいのだろうか。7061メートルの未踏峰ニルギリを仰ぐ貧しく小さな村で、見える灯も乏しいものだよ、とでも言おうか。
 ムスタンはかつてムスタン王国があった地方で、今はダウラギリ県ムスタン郡といい、ムスタンは王国の跡が残る北側をアッパームスタン、南をアンダームスタンと呼ぶ。馬場一行が訪ねたジョムソンはアンダームスタンに属し、ムスタン郡の郡都である。100年ほど前、川口慧海が3ヶ月ほど滞在したマルファ村はジョムソンの隣村である。(鹿取)





       

                隊商と行き会った


       

                ジョムソン街道を行く人たち


       

                
         買い出しから帰宅するらしい土地の人々。農場の門より 

       
         
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馬場あき子の外国詠 135(ネパール)

2019-12-23 21:00:22 | 短歌の鑑賞
  馬場あき子の外国詠15(2009年1月実施)
    【ニルギリ】『ゆふがほの家』(2006年刊)81頁~  
     参加者:K・I、N・I、T・K、T・S、N・T、
         藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部慧子 司会とまとめ:鹿取 未放
                    

ネパールのアッパームスタンに「こしひかり」を実らせた
  近藤亨翁をたずねてジョムソンに行った。
(この詞書のような2行は、「ニルギリ」の章全般に掛かる。鹿取注)

135 眠りゐしをとめ醒むると声をのむほのかなりニルギリの初(う)ひのくれなゐ

      (レポート)
 夜のとばりに包まれていたニルギリが、仄かな朝日に照らされて、目を覚ますと(光が当たってくると)、全く息を呑む美しさである。その紅の色は。(T・H)


      (まとめ)
 山のいちばん高いところ、針のような一点に紅色が射す。そして徐々にその紅色が広がり山を覆っていく。初めて朝の陽光が射した瞬間の紅色の新鮮な感動を、眠っていた清らかな処女が目覚めたととらえた。誰も登ったことの無い処女峰だからをとめに見立てているのだが、「初(う)ひのくれなゐ」というほどに犯しがたく神々しい山の夜明けを伝えている。(鹿取)


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馬場あき子の外国詠 134(ネパール)

2019-12-22 18:26:49 | 短歌の鑑賞
  馬場あき子の外国詠15(2009年1月実施)
    【ニルギリ】『ゆふがほの家』(2006年刊)81頁~  
     参加者:K・I、N・I、T・K、T・S、N・T、
         藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部慧子 司会とまとめ:鹿取 未放
                    

ネパールのアッパームスタンに「こしひかり」を実らせた
  近藤亨翁をたずねてジョムソンに行った。
(この詞書のような2行は、「ニルギリ」の章全般に掛かる。鹿取注)


134 暮れ残るニルギリ山頂一点のひかりとなりてわれあるがごと

      (まとめ)
 暮れてゆくニルギリを眺めている。だんだんと光がその山肌から消えてゆき、今や山頂に一点のひかりとなって残っているだけだ。もう、まるで自分が一点の光となって暮れ残る山頂にいるようだ。それほどに、暮れてゆく山を見つめつづけているのである。(鹿取)

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