姉には負けたくないらしい

闘魂ちゃんは三週間の研修後、高校生活を送った地域に配属された。
研修期間中、服装は勿論、頭髪にも厳しいチェックが入った。
制服のない職場だ。

なので、彼女が初任給で1番最初に買ったのはスーツだった。

ガチガチの就活ルックで出勤して二日目。
支店長さんに注意された。

「朝はそんなに早く来なくていいよ。」
「服装はも少し柔らかめでお願いします。」

難しいよね、柔らかめって。

で、旦那にはシャネルの香水とネクタイ。
私にはロエベのキーホルダーをくれた。

総額六万円もするので、
「そんなに高い物はいらないよ。
母さん、フライパンでいいよ。」といったのだが

「一生に一回だから、初任給でのお礼は」

「じゃあ‥姉ちゃんは何もくれなかったから、半分お金出させて、2人からと言う事にする？」と、提案したら。

「ふふふ。それは絶対に嫌！」だとさ。

いろいろ資格をとらなければいけないらしいが、資格の多さで給料が決まるらしいのでがんばるんじゃね？

河童と同じで、打たれ強さには定評があるし。

あ～それから意外な事が起きた。
私の敵が増えたのだ。

配属された初日に、闘魂ちゃんは旦那の資産を知った。

結婚してから四半世紀以上、
私がいくらきいても教えてもらえない資産額を知ったワケだ。

でも守秘義務とかで、家族だろうと誰にも言えないそうだ。

え？じゃあ旦那が私より先にしんだら
闘魂ちゃんが独り占めできるんじゃね？

いやいや。
たとえ闘魂ちゃんがそんな事しなくても、したんじゃないかと河童にずっと勘ぐられるんじゃね？

ひと雨きそうだな、血の雨が。

はは

ラブレター

車にiPhoneをつないでランダムでかけてたら、ブルーハーツのラブレターが流れた。
初めてちゃんと歌詞をきいた。

泣いちゃったよ～。

なにせ私、遠距離片思い中なので。

昨日、旦那の入浴中に携帯がブーブーいってた。

みたら宝物から。

何故？何故に父？
母は？母にはかけんのに？？

GWにも帰らないんですってよ。

宝物とは20日程、電話もしてない。
だって私は遠距離片思い中なんだもん。

しつこい女だと思われたら困るじゃん？
（っうか、あなた母親ですけど？）

宝物が病院でもらってきた、アレジオンを発見した。

まだ10錠もある。
良くなると、すぐに薬を飲まなくなるんだから。
そういや、そろそろアレルギーもでるかな？

封筒に薬と説明書だけ入れて封をした。
送ったろ。

ほら～しつこい女だと思われたくないから、余計な事はかかないのよん。

だが、私らしさは出したい。

と、いうことで。
封筒の裏に毛筆で

死して屍、拾う者なし

と書いてみた。

書いたはいいが、郵便局員さんが封筒を手にした瞬間、急に恥ずかしくなった。


あなたよ あなたよ 幸せになれ

悪魔くん

その昔、我が子に悪魔くんと名付けようとした親が、役所に拒否された事があったよね？

それぐらいのインパクトがあるゆうや（モチロン仮名）の名前。

「え？ゆうやん家、ヤンキーなの？」

と問えば、そんな事はないという。

でもさ～ホント、あり得ないネーミングなんすよ。

「本人も嫌だったやろね。ようグレんかったな。」

と、河童に言えば。

「あの字の方が画数が良かったんやて。
『そんなに変かな？』
って、逆にきかれたわ。」

と、河童は言う。

いくら画数がいいからって、あの漢字はないわ～。
あんな漢字つけられたら、お先真っ暗やわ～と、思っていた。

見事に両親が洗脳している。

彼をみていると時折、
本当はうちの娘の事をあまり好きではないんじゃないかなと思えて不安だった。

会う度に母親とお茶させるとか
遅い時間なのに帰りも送らないとか
自分達のケンカの詳細を親に話すとか
結婚式を予約してから仕事を辞めるとか

愛が見えないんだ、そこに。
昭和の女は。

最後は失業中にもかかわらず、スロットをしているとポロっともらしたゆうやに河童がキレて、LINEで破談になった。

今ドキの子やね、LINEやて‥‥はは

わろてる場合ではないんだが。
たった一つ言葉で、親を振り回した10ケ月を終わらせた二人。

彼は瀬戸大橋を渡ってきて、婚約者を説得しようとはしなかった。

し、信じられへん。

なんでそんなにアッサリ引き下がれるん？


結婚式のキャンセル料は
「お宅のお嬢さんがいいだした破談だから、うちの子が悪いにしても折半にしてください。」との、ゆうやママに従って折半にした。

もうあのママに、関わりたくなかった。

思えば、あちらも河童姫も、ゆうやが仕事を辞めた時点で破談にしたかったのだ。

だが私という昭和の女が勘違いして、
「仕事がないくらいで破談にすることはない。」などと言ったのが悪かったようだ。

すんまへんな。
変なトコ、ロマンチストで。


そして河童姫は3年だか４年だかの恋を終わらせ、ムキになって遊びまくっている。

自分のフォローより、親のフォローをしろよと思う。

3年がなんだ？

俺なんかな！
18年の愛を終わらせたんやぞ！！

父親が事業に失敗し、借金ができたのが原因で、彼の両親は離婚したときく。
彼が高校生の時だ。

以来、2DKのアパートに妹もいれて三人で生活している。

ウチにはお金がないので‥が口ぐせのママだが、子供は二人共高校から私立。
大学にも行かせた。

毎晩酒を大量にのみ、綺麗にきかざり
息子は失業中でもスロットにいく。


負け惜しみに聞こえるかもしれないが
あえて言おう！


あ～せいせいした！

便りがないのは、元気な証拠

私は全身で、我慢しているのだ。

なんとか子離れしようと頑張っているのだ。

闘魂ちゃんの時には毎日メールしていたが、宝物には用がある時しか接触していない。

用件のみにて失礼します・・だ。
電話も1分以内には終わっている。

調子、どう?

なんて絶対にいうつもりはない。

だが、誰にでも魔が差す時はある。

先日、午後10時半に電話してみた。

明らかに外でいる様子だったので、
「まだ、外？」ときいた。

すると、背後で女の声が
「なに～？マザコン⁇」と叫んだ。


はァ～⁈

やんのか、お前。
やんのか⁈

ガッカリしたので、即電話を切った。

群れて酔って大声で叫ぶ女は嫌いだ。
程度が低い。
そんな程度の低い女と遊んでいる宝物が情けない。

じゃあ、出さなきゃよかったじゃん

と、お思いの事だろう。

だがそれはできなかった。

ゆうやをみていたからだ。

長くなりそうだから、この話は次回に続く。

What's your room number?

宝物はどうやら父親大好き青年のようだ。

小学校卒業時、宝物は『僕は将来、スポーツがそこそこできて、仕事ができる父さんみたいな人に成りたい』と文集にかいて
私を失意のズンドコに落とした。

六年後、父のアホ母校に入り、同じクラブに入った。

ガッカリだぜ。

で、その練習風景を旦那が見に行くというので、ついていった。

ま～鈍臭い宝物。

鴨川沿いのホテルに、5人分くらいの金額で泊まった。

金額程には高くない満足度の翌朝、朝食を食べにいった。

入り口で立っていると、係りの女性が近づいてきた。

にこやかに彼女は
『What's your room number?』

は？

固まる旦那。
その前の人達には、日本語だったよね？

おいおい、またかよ。
オレだろ？
俺が日本人らしくないんだろ。
俺のこのガタイが、中年日本人女性らしくないんだろ？

失礼じゃね？

スマン、旦那。オレのせいで。

っうか、うちの旦那は金ではじまり日でおわる漢字三文字の人にそっくりだけどな！

はは