欠陥建築バスターズ

土地・建物の調査研究が専門。日本の地震や災害に備えた建築や、不動産市場や世界経済の未来鳥瞰について述べています。

欠陥建築(欠陥住宅)…『柱が光るとは? 大工用語の怪』

2013年02月26日 15時52分12秒 | 建築のうんちく




『大工用語(業界用語)は意味がわからん!』



「あの柱はよく光ってるね!」

「さすがにあの棟梁は腕がピンだね。」


…皆さんは、こんな会話を、木造建築現場でお聞きになった事はありませんか?

特に、神社やお寺を建てる「宮大工」が、こんな表現をします!


もし、貴方が、こんな会話の意味を理解できたら、もう、「建築通」です^^


…この会話の意味は…

「あの柱は、基礎石にぴったり接合していて、微動だにしないね!」

「さすがにあの大工の親分は、腕がいいね。」

…と言う意味です。


神社やお寺の基礎石は、昔は「自然石」を使う事が一般的でした。

「自然石」の表面はデコボコしていますので、柱の基礎石と接する部分を、

石のベコボコに合わせて、調整しないといけなかった訳です^^


日本の「宮大工」と言うのは、本当に一流の職人が多かったのですね。

普通の「大工」とは、くらべものにならない位の「腕」を持っていました。


…「腕」だけが一流じゃないのです!

自分たちの仕事に対する「誇り」は半端ではなかったです!


そう言えば、昔の「宮大工」が建てた建物に「欠陥建築」と言うのを、

全く聞いた事がありません。




欠陥住宅(欠陥建築)は、無くならないのですが、もしかすると、制度を

厳しくしたところで、あまり意味が、ないかもしれません。


大工や建築家が、初心に返って、自分たちの仕事に、「誇り」を持つ事

こそが、欠陥住宅を撲滅する唯一の道だと思うのです。




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欠陥建築(欠陥住宅)…『東京ラブストーリーと建築の関係』

2013年02月26日 15時23分56秒 | 建築のうんちく





『カンチ・レバーとは? 織田裕二との関連は?!』



昔、奈良の信貴山に行った時、お寺さんの横に鉄の橋がかかっていました。

そこには、立て札があって、「カンチレバー橋」と書かれて居りました。


はて? この「カンチレバー」とは? …と思い、しばらく考え込んでしまいました!


「カンチ!」と言えば、東京ラブストーリーでカンチ役だった織田裕二君を思い出し

てしまいます。

実は、織田裕二君は、私の卒業した高校の後輩であります^^


…でも、その古めかしい橋は、どう考えても東京ラブストーリーの放映よりも、ずっと

以前に造られているのは確かです。


…5分ほど思い悩んで、やっと、気が付きました!

もしかして、この「カンチレバー」は「キャンティー レバー」の事ではないのだろう

か?


…「キャンティー レバー」と言うのは、日本語で「片持ち梁」の事を意味します!

橋も建物の「梁」の一種ですので、普通は両端に加重を支える「支点」が存在します。


ところが、色々な制約から、片側にしか「支点」を設けられない事がよくあります。


私たちが腕で荷物を持つ時に、片腕を水平に伸ばして、手で荷物をつり上げた状態こそ

「キャンティー レバー」なのです。

ちょっと無理が掛かるので、設計が難しい訳です。


建築において、「キャンティー レバー」は至る所に応用されています。

特に狭い敷地に、建物を建てる場合、「駐車スペース」が問題になるケースがあります。

そんな時に、「キャンティー レバー」を取り入れた設計で、問題をクリアする事が、

可能になる場合が多いです。


よく、一階部分よりも二階の方が床面積が大きい建物がありますね。

そう言う建物は、狭小地に建つ二階建てとか三階建て住宅で、一階玄関わきに駐車する

スペースがあって、二階は一階の壁よりも外側にはみ出していて、オーバーハングに

なっていると思います。


この場合の、二階部分の床を支える部分が「片持ち梁」、つまりは「キャンティー

レバー」なのです。


…先ほど、片腕で荷物を支えるのと同じと、説明しましたが、実際に「支点」には

大きな力がかかります!


一つ設計を誤ると、建物が「崩壊」する危険性もはらんでいます。


…事実、この様な建物には、長い間に「狂い」が来る事が多いです!

そして、「欠陥」が生まれやすい構造でもあります。



結局、「東京ラブストーリー」や「織田裕二」とは何の関係もなかった訳ですが、

「キャンティー レバー」の設計における難しさを考えさせる出来事でありました。



…皆さんの大切なお家は「狂い」が来ていませんか?


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欠陥建築を生む原因…『斜面に建つ家』

2013年02月26日 10時53分53秒 | 欠陥建築(欠陥住宅)レポート





『傾斜地を造成した場所の家は、傾きやすい』



最近は、あちこち開発が進んで、「平地」に大規模な住宅地は造成しにくい状況

です。

どうしても、山の斜面を削って、「造成」し、住宅地をつくる場合が多いです。


こういう場所は、宅地が「雛壇」になっていて、居住環境が良い場所が多いです。

また、場所によっては海が見えたりして、眺望が良いのが、「売り」だったりし

ます。


…でも、ちょっと、待った!


実は山の斜面を造成してつくった「宅地」には、問題も多いんです。

山の斜面を「造成」するには、山を削り、その削った土砂で谷側を「盛り土」す

る必要があります。


こうやって造成する以外に方法はありませんから、この工事手法そのものには、

問題がありません。


しかし、この場合、造成された「宅地」は山側の地盤がかたく、谷側の地盤が、

やわらかくなる致命的な欠陥を持っています。


これは、どんなにブルトーザーやユンボで踏み固めても、完全には解決できませ

ん。


もし、この「宅地」に家を建てたらどうなるでしょうか?


答え…建てた家は、家の谷側に向かって傾いて行きます。


別荘地みたいに、山の中に建っている家にも、谷側に滑り落ちる様な感じで、

傾斜している家を多く見かけます。


先日も、神戸市内の傾斜地に建つ、ある中古住宅を調査しに行ったのですが、

そこの家も、谷側に大きく建物全体が傾斜しており、建物の山側と谷側のレベル

差(高低差)が15センチもありました。


この調査は、地元の不動産業者の依頼で行ったのですが、最終的に私が下した

結論は、「危険なので、今すぐ建物を解体してください。」と言うものでした。


結局、この危険な建物は、解体されずに、今もどこかの不動産屋で「中古住宅」

として売られています。



世の中、こんな背筋が寒くなる物件が多いです。


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