『大手のリフォーム会社の行った違法工事!』
「いけない工事」というのは、大きい会社でも平気でやっているんです。
これから、書かせて頂く内容は10年ほど前にあった実話です。
ある友人から、「隣の家でリフォーム工事をするらしいけど、困って
いる。」との相談があって、私が現地に行って見る事にしました。
その「問題の家」は友人の家との「隣地境界線」ぎりぎりの所まで建築
されていて、足場を掛けるスペースすらなかったのです。
本来、「民法」では「隣地境界」から50センチ以上離して家を建築す
る事になっているのに、この「問題の家」はそれを守っていませんでし
た。
…すでに、職人達が、友人には、無許可で友人宅の敷地に入り込み、
「足場」を設置しようとしていました。
これも、「民法」では、「隣地所有者」に許可を得れば「隣地使用」が
認められますが、リフォームする側の家は、何ら相談もして来ないし、
「隣地所有者」に許可すら取らなかったのです。
…そこで、私は「友人の代理人」(民法の規定で代理行為が出来る)と
して、その工事に「待った!」を掛けました。
すると、その工事を請け負った「大手リフォーム会社」の責任者が、私
の所に来て、「なぜ、工事を止めるんですか? 隣地使用権にもとづい
て、隣地を使っているだけです。工事を続けさせてください。」と、言
って来ました。
仕方ないので私は、「隣地使用権と言う権利は、隣地使用者が使用を認
めた時に認められるのであって、今回は土地の所有者がそれを認めてい
ません。」「また、その際も、何の為の工事かを説明してから、隣地所
有者の許可をもらうのが常識です。」「あなた方は、それさえしていな
いので、一旦工事を止めさせたのです。」
そう言われて、工事責任者は「そんな事言ってたら、工事なんてできま
せんよ。」と、ふてくされていました。
私は、まだ何の工事か聞いていなかったので、「何の工事でしょうか?」
と聞いてみました。
…責任者は、「これは、リフォーム工事と耐震工事です。同時に建物の
通し柱を途中から切断して、増築もします。屋根瓦はそのままです。」
それを聞いて「建築士」の私としては驚きで目が点になってしまいまし
た。
建物の「通し柱」というのは、一階から二階まで一本の材木を通してあ
るので、「通し柱」と言いますが…
この「通し柱」は家の四隅等に入っている、耐震構造上重要な「柱」で
す。それを、途中で切断するなんて、信じられない「耐震工事」です。
しかも、「耐震工事」では家の上部の重さを軽減する為に、屋根瓦は撤
去するのが普通です。
…呆れかえった私は、「かなり、変わった耐震工事ですね。今までそん
な耐震工事を聞いた事もありません。」
「ところで、先ほど増築もするとおっしゃいましたが、役所に建築確認
申請は出ているんでしょうね?」
「ここは、準防火地域ですから、10平米未満の増築でも、建築確認が
必要です。」
…驚いた事に、工事責任者は、「私も建築士ですが、そんな法律がある
んですか?」と、びっくりした顔で言いました。
本当に私は、ずっこけそうになってしまって、この工事責任者を叱る事
も忘れてしまいました。
皆さんに、もう一度言いますが、この「違法な工事」をしようとした会
社は、有名な大手のリフォーム会社です。
大手の会社にも、知識のない建築士がいるのです。