『1300年前のコンピューター…差金(曲尺)』
よく、時代劇などで、「おめぇの差金だな!」みたいにいいますよね^^
これ、大工道具の名前から来ている言葉なんです。
この差金のことを、一般的には「曲尺」(かねじゃく)と呼ぶことが多い様です。
…これは、何かと言うと、大工さんが使うL字型の定規のことです。
今は、ステンレスで出来て居ますが、昔は木や竹で出来ていました。
この曲尺は、1300年以上前に「聖徳太子」が大陸から導入したものです。
これ一つあれば、丸太から正確に真四角な断面の柱も、切り出す事ができますし、
複雑な屋根のカーブを計算する事も出来ました。
更に、曲尺を二つ使って、「計算尺」の様に関数計算も出来たんです!
1300年前は、「電卓」も「コンピュータ」もありませんから、曲尺で難しい
計算まで全部やった訳ですね^^
…しかし、もっと、曲尺には驚きの機能もあるんです!
今では「構造計算」をして、安全な柱の径や梁の幅や厚みを計算しますが、13
00年前の大工に、そんな難しい理論が解る訳ありません。
そこで、安全な部材の寸法を、簡単に計測できるように、おみくじの「吉」「凶」
で、安全な部材の選択が出来るように、曲尺の裏側には「吉」「凶」の文字が、
刻まれています。
…柱の径を測ったら「凶」だから、これは細すぎるみたいに使ったのでしょう。
これは、曲尺以外にも、中華街などで売っている「風水尺」にも使われています。
…でも…
最近の大工は、この曲尺の使い方をあまり知らない人が多いんです!
最近の木造住宅の工法では、この曲尺の出番があまりないからです。
…1300年前の日本人は、大陸の最先端の「建築技術」を目の当たりにして、
その大陸の科学の水準の高さに驚いたはずです。
「曲尺」は、そんな技術の象徴みたいなものだったのでしょうね。
…最近まで、「曲尺」を自在に使いこなす事が、一人前の大工の証でした。
そして、この「曲尺」には使い方の説明書なんてありませんから、先輩の大工
が「曲尺」を使っているのを、側で盗み見しては、独学で使い方を覚えていった
ものです。
最近は、やたらと「欠陥住宅」の話題が多いですが、その原因の一つに、大工
さんの勉強不足と言う事があります。
最近は、曲尺を使えない若い大工が多い事と、「欠陥住宅」が多い事は無関係
ではないような気がします。