欠陥建築バスターズ

土地・建物の調査研究が専門。日本の地震や災害に備えた建築や、不動産市場や世界経済の未来鳥瞰について述べています。

欠陥住宅(欠陥建築)…『おめぇの差金(さしがね)だな!』

2013年03月01日 14時49分34秒 | 建築のうんちく




『1300年前のコンピューター…差金(曲尺)』



よく、時代劇などで、「おめぇの差金だな!」みたいにいいますよね^^

これ、大工道具の名前から来ている言葉なんです。

この差金のことを、一般的には「曲尺」(かねじゃく)と呼ぶことが多い様です。


…これは、何かと言うと、大工さんが使うL字型の定規のことです。

今は、ステンレスで出来て居ますが、昔は木や竹で出来ていました。


この曲尺は、1300年以上前に「聖徳太子」が大陸から導入したものです。

これ一つあれば、丸太から正確に真四角な断面の柱も、切り出す事ができますし、

複雑な屋根のカーブを計算する事も出来ました。


更に、曲尺を二つ使って、「計算尺」の様に関数計算も出来たんです!

1300年前は、「電卓」も「コンピュータ」もありませんから、曲尺で難しい

計算まで全部やった訳ですね^^


…しかし、もっと、曲尺には驚きの機能もあるんです!

今では「構造計算」をして、安全な柱の径や梁の幅や厚みを計算しますが、13

00年前の大工に、そんな難しい理論が解る訳ありません。


そこで、安全な部材の寸法を、簡単に計測できるように、おみくじの「吉」「凶」

で、安全な部材の選択が出来るように、曲尺の裏側には「吉」「凶」の文字が、

刻まれています。


…柱の径を測ったら「凶」だから、これは細すぎるみたいに使ったのでしょう。


これは、曲尺以外にも、中華街などで売っている「風水尺」にも使われています。



…でも…

最近の大工は、この曲尺の使い方をあまり知らない人が多いんです!

最近の木造住宅の工法では、この曲尺の出番があまりないからです。



…1300年前の日本人は、大陸の最先端の「建築技術」を目の当たりにして、

その大陸の科学の水準の高さに驚いたはずです。

「曲尺」は、そんな技術の象徴みたいなものだったのでしょうね。


…最近まで、「曲尺」を自在に使いこなす事が、一人前の大工の証でした。

そして、この「曲尺」には使い方の説明書なんてありませんから、先輩の大工

が「曲尺」を使っているのを、側で盗み見しては、独学で使い方を覚えていった

ものです。


最近は、やたらと「欠陥住宅」の話題が多いですが、その原因の一つに、大工

さんの勉強不足と言う事があります。


最近は、曲尺を使えない若い大工が多い事と、「欠陥住宅」が多い事は無関係

ではないような気がします。



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