マンションでは、ドアを開けていることはなく、いつも閉まった状態で、暮らしている。だから、隣の人がどんな人なのか、何している人なのか、さっぱり伝わってきません。エレベーターで出会うことはあっても、ゴミ出しで顔を合わせることがあっても、「おはよう!」くらいで、終わってしまい、会話にはなりません。
昔の下町の民家や田舎ならば、軒先でくつろいでいる時に、気軽に声かけたり、お茶したりするのでしょうが、マンションにはそういう機会も、気持ちもない。寂しい限りですね。
長屋風の官舎にいるころには、近所の子供が朝早く部屋に上がり込んできて、勝手に遊んでいるので、びっくりしたことがありますが、そういう光景が懐かしく感じられます。
大きなマンションでは、ロビーに人がのんびり佇んでいたりするようですが、小さなマンションにはそれもありません。独り暮らししていると、人と話すことなく一日が終わってしまうこともあります。だから、ここのところ、喫茶店「ねずみのこと」に一日一回出掛け、おしゃべりすることにしている。最近は、「ねずみのこと」がまさに「井戸端会議の場」になっています。