光のみちしるべ ~愛だけが現実~

私たちは皆、神様の子供。
内なる神の分光を輝かせましょう。
5次元の光のピラミッドがあなたを待っています。

ご家族の思い

2007年06月22日 06時47分20秒 | 認知症介護
先日、ある特別養護老人ホームでT子さんの担当者会議が開かれました。
集まったのは召集したケアマネジャーさん、福祉用具の会社の方、
ショートステイ担当の相談員さん、そして私とご家族(息子さんの奥様)の5人でした。

そして、それぞれのところから現在の利用状況が報告され、
特に話し合われたのは次の3点でした。

1.みちしるべ(デイサービス)での利用状況。(写真を提出し報告しました)
2.家庭における様子(特に夜間)とご家族の対応。
3.ショートステイ時の“帰宅願望”。

この3点の中で、特にご家族が言及されたのは、“帰宅願望”についてでした。

「帰りたいという場所が必ずしも一つとは限りません。
生まれた家、嫁いだ家、今の家、それとも場所ではなく時代を示しているときもあります。
だから、義母が家に帰るということを言うのは、
まだまだ主張するものがあるということで元気な証拠です。
それすらも言えなくなったら義母ではなくなってしまいます」

この言葉に出席していた私たちは、思わず静かになりました。
厳粛な言葉を聴くように黙ってその言葉に耳を傾けました。

“帰宅願望”という言葉は、とかくマイナスの意味で使われることが多く、
その一言で、相手の心理状態をひとくくりにしてしまう危うさがあります。
その言葉を使えば使うほど、相手の本質から離れ見えなくなってしまうからです。

では、なるべく専門用語を使わずに、
その人が今一番求めていることを知る手立てはないのでしょうか。
それは、その人が話してくれる言葉に耳を傾けることでしょう。

私だって、ふと田舎に帰りたくなる帰郷願望があります。
都会の喧騒から離れて故郷に帰りたくなります。
それは単に実家の家族に会いたいということの他に、
昔遊んだお寺の境内、田畑や川、木造の古い校舎などで、
もう一度無邪気に遊びたいということであったりします。

しかし、その時代をどんなに懐かしがっても、もう戻れないことはわかっています。
だから、何とか気持ちの折り合いをつけて、日々の生活をしていきます。

認知症であるということは、
その病気のために心の折り合いをなかなかつけられないのかもしれません。
だからこそ、傍らにいる私たちにその思いを聴いてほしいのだと思います。

ご家族の言葉は、
「その思いさえ話さなくなったら、その人自身でなくなってしまうのだ」
ということだと思います。

とても重い言葉であり、考えさせられる言葉でありました。