36度台まで下がっていた熱が、再び上昇に転じて37度5分まであがっていました。
そこへ主治医と研修医のお二人が病室に入って来られました。
「血液検査の結果、重大な感染は認められませんでした。
考えられるのはカテーテル感染しかないですね」
「‥‥」と無言の私たち。
「そこで明日の土日でも外泊してみたらと思うんですが。
そのほうが病院にいるより食べられるものがあると思うし、
食べられなければ再び中心静脈を入れるしかありませんから。
まあ、年末年始でも考えてみてください」
そういうと主治医たちは病室を出て行かれました。
しかし、それから30分もすると、しとりんの熱は37度9分になりました。
看護師さんが氷枕を持って来てくれたり、
主治医の指示で座薬を入れてくれたりしました。
「37度9分の熱があるのに、明日外泊なんて出来るわけがないでしょ!」
私がそういうと看護師さんが驚いて、
「それは今の状態ではとても無理ですね」
「外泊したらすぐ救急車で戻って来るようだよ!」
「そうですね‥」
看護師さんは主治医の言葉をフォロー出来ず、困っているようでした。
私は感情的になっている自分に気がつき、
(私はこれを違った目で見ることを選択します)
と心の中で何度もつぶやきました。
この方法は大内博先生の 安らぎのワークショップ で学んだことです。
自分の心にタイムをかけて、この状況の中に 贈り物 があるのではと探してみました。
すると、昨夜高熱が出たのは、カテーテル感染うんぬんではなく、
しとりん自身が熱をあげたのではないか、と思い始めました。
つまり、彼女の身体が中心静脈による高カロリー液はもう必要ないと判断し、
カテーテルを抜かざるを得ない状況をつくり出したのではないか、ということです。
私はこの考えを最優先にすることにしました。
この発熱の背景には天使さんたちのはからいがある。
そう信じることにしました。
しかし、IVH(中心静脈栄養)がない今、栄養を摂取するには口からしかありません。
病院が出してくれる食事には限界があります。
ベジタリアン向きの食事をつくることはほぼ限界に来ていました。
しかし、希望の光は見えていました。