DT200Aの庫 (goo-blg)

災害復興の大役を負ったDD51のドキュメント


 11,04,13 更科(信)―磐梯町  Canon EOS7D

 大震災以来不通となっていた東北本線黒磯―安曇永盛間が明日(17日)、線路障害が解消し運転再開する目処がたったとプレス発表されています。この運転再開を踏まえ磐越西線出実施されていた迂回燃料輸送が終了を向かえる事になります。
 ご存知の通り大震災で仙台の製油所が被災し福島・宮城・岩手各県下は深刻な燃料不足になり災害復興の足枷となってしまいました。燃料がなければ被災者を救出しても搬送の車が動かせないし、行方不明の方の捜索のための重機も動きません。更に変な話ですが発見された遺体の火葬さえ燃料が必要で、燃料がないが故に土葬で葬る事態まで発生していす。被災地が極度の燃料不足に見舞われるとこれ程までの社会不安を助長すると言う事実は阪神大震災ではなかった事態でした。このを受けて、経済産業省と国土交通省はJR貨物に対して被災しなかった神奈川県・根岸の製油所から郡山・盛岡にあるOT(オイルターミナル)へ燃料を輸送を早急に開始するように要請をし、これを受けJR貨物はJR東日本の全面協力のを受け根岸から上越・羽越・奥羽各線を経由し青森から青い森鉄道・IGRいわて銀河鉄道経由で盛岡までの燃料輸送のルートを確保しました。更に磐越西線郡山-津川間の開通を待って3月25日発分から根岸より上越・磐越西線経由で郡山までの燃料輸送ルートを確保、さらに当初は1日1往復だった磐越西線内の燃料輸送の列車設定を3月31日到着分から1日2往復に増強し、1日1200キロリットルの輸送量を確保しました。


 この場所は以前からチェックを入れていた場所なのですがカマだと絶気なので撮る機会がなかった場所です。今回は煙は気にしなくて済むDD51なのでここで撮る事にしました。  11,04,13 豊実 9294レ Canon EOS7D

 貨物列車が廃止されて久しい磐越西線の燃料輸送のために愛知機関区から832号機が、吹田機関区から757・759・833・1027・1188号機が、門司機関区から835・852号機が各機関区からが東新潟に召集させられました。
 集結したDD51は番台がまちまちで、さらに使用線区が異なり、本配置区が異なるため、同一形式とは言え集結したDD51は形態的にはバラエティーに富みまるでDD51の見本市の様相を呈していました。ただ運転開始当初は降雪も充分考えられる時期でしたので所属区では取り外されていたスノーブロウーを全車装備した状態で整備されて東新潟機関区に到着しています。さらに吹田機関区の1027号機は備品として残っていたのでしょうか、つらら切(プロテクター)を装備して東新潟機関区に到着し、運転開始当初から一番人気になったのは言うまでもありませんでした。また目には見えない所では門司機関区以外は普段使用していない重連総括回路の引通の試験及びエンジンオイルや減速機などの油脂類も寒冷地仕様に入れ換えられたと思われます。


 DE10の補機は9292レのみ会津若松-猪苗代間で連結されました。ちなみに乗務員はJR東日本の乗務員でした。  11,04,13 猪苗代 9294レ FUJIFILM FinePix AX250

 磐越西線の燃料輸は送3月26日から開始されました。乗務員はJR貨物が担当しましたが運転開始前から定数いっぱいの積車で磐越西線を運転する事には空転の懸念がありました。事実、八高線でDD51乗務経験のある鉄ちゃん仲間の川越住民様より「低速で均衡がとれた時の空転が心配だ」とメールをいただいていました。そして初日の9292レでその懸念が現実のものとなってしまいました。更科(信)付近で9292レは折からの降雪で空転を起こし運転不能の事態に陥ってしまったのです。郡山-会津若松間を抑止の上、会津若松からDE10が救援に向かわせ、9292レの後付をして3時間遅れで運転を再開し猪苗代まで後部補機として押し上げたと言う波乱万丈で幕を開けました。なお、この日以降9292レに限って会津若松―猪苗代間にDE10の補機が連結し、空転による最悪な事態を回避するようになりました。私もこの9292レの姿を見るチャンスがありましたがDD51重連の後押しでDE10がエンジンを唸らせて峠に挑む姿はこの世の物とは思えないほど素晴らしく、興奮を憶える光景でした。
 さらに4月1日には9294レの835号機が主エンジンのトラブルに見舞われ、9293レを猪苗代で財源解放、9294レを磐梯町で財源解放しそれぞれの機関車を振り替えて運転継続をすると言う事態も発生しました。この時故障した853号機は修理される事なく東新潟機関区の片隅に追いやられ、北海道の鷲別機関区からDD511184号機が急遽呼び出されて燃料輸送の大任に当りました。また度重なる余震で終日運休や半日運休となる事態にも陥っています。


 山間から太陽が差し伸べた来たその瞬、DD51が駆け下りてきました。  11,04,14 中山宿-磐梯熱海 9292レ  Canon EOS7D 

 磐越西線での燃料輸送も東北本線の開通を持って終了します。各地から召集され終集結したDD51の使命も終了する事となります。ある機関車は所属区に戻って本来の仕業につくものもありますが吹田機関区からやって来たDD51は所属区に戻っても活躍する場もなくそのまま廃車の運命を辿ることとなると思われます。そう思ったとき最後に花道を作ってもらえただけ幸せなDD51だったのだと思います。


 傾いた西陽を浴びて新津に向かうDD51。この写真が私にとっては磐越西線燃料輸送最後の走行写真となりました。 11,04,14 日出谷-鹿瀬 9293レ  Canon EOS7D
 
 かつてEF58の末期に、荷物列車牽引をEF62にバトンを渡すわずかな期間、各機関区から下関運転所にEF58が集結し荷物列車牽引に充当された事がありました。この時、我々はこの出来事を゛EF58最期の同窓会゛と称しましたが、今回の東新潟機関区へのDD51集結はかつて下関運転所に集結したEF58の出来事とだぶって見えたのは私だけではなかったと思います。急速に活躍範囲を狭めているDD51にとって今回の東新潟機関区集結は無煙化の立役者だったDD51にとって゛最期の同窓会゛となる事は間違いないと思っています。
 未曾有の大災害でふって沸いた今回の燃料輸送はDD51の歴史の中で、必ずや語り継がれる事と思います。災害復興に向けてひたすら走り続けたDD51に栄光あれ!

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コメント一覧

DT200A@P905i
セントラルライナー様
ご投稿、ありがとうございますm(__)m

〉福島県への燃料輸送に貢献したDD51そしてそれを支えた人達に敬意を表します。

 現場で撮影しているだけなのに、鉄道が頼られていると言う使命が伝わって来ました。こんな思いを感じたのははじめてかもしれません。
セントラルライナー
こんにちは。5月2日付け日経東京版29ページに「ベテラン機関士、難所運ぶ」という記事が掲載されました。
記事によれば、2007年以降貨物列車が運行されていない磐越西線で、急遽運行するために、機関士のみなさんは、ハンドル訓練のために稲沢の機関区で泊り込みで練習したとのことでした。
そのような方の労苦のおかげで、ガソリンなどの燃料が届けられと思うと、
東京在住の自分も省エネに貢献しなければと思いました。
なお4月16日の最終運転までに運転された本数は34本、運んだ燃料は約2万リットルで、これはタンクローリー約1000台分になるそうです。
福島県への燃料輸送に貢献したDD51
そしてそれを支えた人達に敬意を表します。

DT200A@P905i
セントラルライナー様
ご投稿、ありがとうございますm(__)m

〉ダイヤ改正でそのまま廃車になるところを、何か因縁めいているとはいえ、活躍の場が与えられたというのは、とても不思議な感じです。

 私も同感です。今回の大震災では心痛む事ばかりですが、鉄道が被災復興のために頼りにされ、その立役者が衰退の一途をたどっているDD51だったと言うのは、何かのDD51が残したメッセージなのかな?と思ってしまいます。
セントラルライナー
物言わぬ者の最後の勇姿にただ、ただ感動です。ダイヤ改正でそのまま廃車になるところを、何か因縁めいているとはいえ、活躍の場が与えられたというのは、とても不思議な感じです。災害復興のために力走する彼らの姿はきっと、マニア以外の人にも勇気を与えてくれたと思います。
DT200A@CF-Y7
ひだ号様
ご投稿、ありがとうございます。
また、ご同行お疲れ様でした。

 あれだけ迫力のある列車はここ数年、見た事がありませんでした。鉄ちゃんならだけでも惹きつけられると思います。あの鉄ちゃんの数はちょっとしたイベント以上でした。我々は平穏に運転終了したと思っていたら、JR東のホームページのトップに「鉄道ファンのみなさまにお願い」と言うインフォメーションがなされていました。内容は磐越西線での撮影マナーについてでした。やはり住民の方々から苦情が多数寄せられていたのだと思います…反省
ひだ号
夜明け前の更科信号場付近を3台のディーゼル機関車が駆け上がっていく姿は、夢のような光景でした。本当に、すごい光景
DML61Zのエンジン全開で、満杯のタンクを牽き、災害地へ救援する様は、まさに伝説となったに違いありません。
そんな伝説に、立ち会えただけでも、良かったなぁと感激しています。
各地から集まったデデゴイの中でも、古巣、東新潟に帰って来た仲間は、使命を終え廃車される運命にあっただけに、最後の奉仕に全力で活動する様相に涙が止まりませんでした。
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