この春休み、ずっと家の片付けをしていました。
仕事をしていた5年間・・・いえいえ・・・
片付けてないのは、さかのぼれば、次男が幼稚園に入園してからの
14年間かもしれません。
この間に、家中にいろんなファイルや冊子、細かい紙類などが溢れかえりました。
そこで、その片付けを少しずつ始めました。
・・・で、出てきたのが、「育成会だより」というところで依頼された原稿。
3年前に○頭先生から頼まれて、書いた原稿です。
図書便りや、○岡新聞の親子の本棚に書いた原稿もありますが、
それはまた少しずつアップするようにしますね。
先日の会合で、私の担当が「図書館だより」だったことを思い出したのと、
Ehonのカテゴリーに何かアップしたいとずっと考えていたので、
この原稿を最初にあげます。
一部、書き直した部分もあります。
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「哲学する中学年」
私が勤務するA小学校では、図書館に入れた当初から、
どういうわけか中学年の子どもたちに、人気の本があります。
一冊読むと、もっと読みたいらしく、
「このシリーズで、ほかの本もある?」
と、必ず聞かれるのです。
それは、オスカー・ブルニフィエ著、重松清日本版監修
『こども哲学』(全7巻)朝日出版社です。
2005年フランスで出版された本で、日本では2006年に出版されました。
シリーズのタイトルをいくつか紹介すると、
『よいこととわるいこってなに?』
『きもちってなに?』
『いっしょにいきるってなに?』
などです。
タイトルだけみると、哲学の本だから難しそうって思いがちですが、
哲学の本だから借りようって思う児童は一人もいません。
ただ単純に(面白そうだから)という健全な理由で借りていきます。
これは、私の推測ですが、
児童は、まず絵本の様な装丁に惹かれ、
次に、表紙のタイトルとオシャレなイラストに興味を持ち、
なんとなく手に取ります。
そして、ページをパラパラとめくると、そのイラストの主人公が魅力的に描かれていて、
台詞を言ったり、デフォルメされていたりするので、読んでみようかなという気持ちになります。
そして、(案外字が少ないぞ)ということに気がついたら、
もう完全に借りたいモードです。
哲学という堅い内容を、子どもたちにわかりやすくというコンセプトが
しっかりしているので、子どもたちの心を突き動かすのでしょう。
そして意外も読み手の多くが、我が校では、中学年の児童でした。
その理由は、先に述べたような、本の特徴がありますが、
もうひとつは読み手である中学年の心の純粋さにあるでしょう。
一生懸命とか頑張るとかいう言葉が響く学年であると同時に、
友人関係で悩んだり、今の自分に満足できなかったりと、
心がより複雑に揺れ動く学年です。
他者の存在に気付き、相手の立場になって考えられる年齢に近づいている証でしょう。
この本では、
(こんなときどうする?)
(それでいいのかな?)
(違う道もあるんじゃない?)
とひとつのテーマをいろんな角度から考えることを提示しています。
今よりもっと良くなりたいという向上心を持った純粋な中学年の子どもに
うまく寄り添った内容になっています。
この本を読むことで、知らないうちに哲学しているわけです。
もちろん、大人が読んでも大変面白い本です。
本の裏表紙にこんなことが書いてあります。
「考えることは、こどものおもちゃ!」
そう言い切ってしまう著者が凄い!
N.N