緩和領域では、
「患者さんの支えを作るには、
大きな希望を持ちながら、
実現可能な小さな希望を積み重ねていく」ことを
行っていきます。
最近、読んだ論文で、当たり前といえば当たり前なのですが、
改めて、そうだなあとつくづく感じたもの・・・
心のどこかで、効かないとわかっていても、
化学療法を行っていることで
生きる希望を維持していこうとし(Science,1981.Cancer,2013)、
特に、それが、不安が強い最中では(これをHotな状況と表現)では、
リスクを軽くみて、ベネフィット(効果)を高くみるとも、
他の論文(Health Psychol, 2005)でも述べられていました。
身体負荷になると思っても、
やめるより、続ける選択の方が
判断しやすいと捉えられます。
一方で、あのテメルのNEJに掲載された
進行肺癌患者さんへ早期に緩和医療介入を行うと
予後に有意な差を及ぼすことを明らかにした研究は、
大変有名になりましたが、
この理由として、適切な時期に、
治療を終了することができたためではないかと
彼のリサーチグループのメンバーは話しているとも聞きました。
追加のデータが公表されてきています。
こういう一連のことを考えると、
治療の最中にいると、実現可能な希望の探索は、医療の範囲に留まり、
緩和チーム介入によって、人生という広い範囲で希望の探索を行い、
その結果、治療に留まらない、
人生において本当に大切にしたいことに
目が向けられるようになるのかもしれないと
思うことが増えてきました。
でも、本当に、ここを支えるには、緩和ケアチームスタッフ自身が
「人生の探索」というテーマに視点を持つことができていることが
求められるわけで、医療を超えた、禅問答のようなスキルに、
このところ、どうあるべきか、自問をしています。
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今週、院生の研究指導のために時間を空けて待っていました。しかし、2人しか来ない・・
誰も来なかった訳ではないのでまだましかと思いましたが、全員社会人でありながらあり得ない言い訳ばかり・・
社会人だからかも知れませんが、放っておけばいいのかも知れませんが、大学においても実現可能な希望を支えることの難しさがありますね。
病気でもなく健康なのに・・困ったものだなあと思いながら、この先どうやってモチベーションを高めていくかを考えている週末です。
1年ほど前、母の主治医の先生とお話しする機会があったのですが、先生は「立て続けに治療せずにもう少しゆっくりご家族との時間をとって差し上げれば良かったと今になって思います」と謝ってくださいました。当時、先生は本当に母の気持ちと向き合い、母の希望を優先して治療を続けてくださいました。
その真摯な姿勢に母は最後まで感謝していましたし、家族も、母の死後、一生懸命に向き合ってくださったという事実に精神的に支えられました。
人生観、死生観は人によって、時によって変わります。大切なのは一人一人の患者さんにチームとしてどのように向き合ってくださるか、その時点でベストと思える価値観、方向性を共有してケアにあたってくださるかではないかと感じます。
命の終わりがその人の全ての終わりではなく、家族の心の中で生き続けるためにも、癌とわかったその日から、最期の時間まで、適切な緩和ケアを受けられる体制がますます充実することを願います。
いつも読ませていただきながら、有賀先生の様々な取り組みに感謝しております。これからも応援しております。
コメント、ありがとうございました。
大切な宝物のような記憶をここにシェアしてくださったこと、心から感謝です。
そして、緩和ケアの大切さにまで言及して下さったこと、応援のメッセージ、胸が熱くなりました。
上司は、治療がなくなったと思う患者さんに、がん治療だけが治療ではなくて、より良い状態で生きる治療を始めましょう、とお話しされます。
医療の世界にいると普通(でもないのかもしれませんが)なことがとても新鮮に受け入れられると、色々な分野や職種が関わることは本当に大切だなと思います。
そして、その存在や選択肢を示すだけでも大きな一歩につながるなと思います。
そして、その人生探索に入り込むスタッフの心のケアも、また大切だと思う今日この頃です。
暖かな上司の方とともに、医療を超えた大切なことを、きちんと心に刻んでいらっしゃる様子に素敵だなって思いました。