3年位前だったでしょうか。
ある雑誌社から、病院に
がん治療に関するアンケートが来ました。
治療と緩和医療が混ざったものだったので
私のところに回ってきました。
その時、当院の緩和ケアのコンセプトとして
早期からの緩和ケアを行っていることを書きました。
電話取材があったのですが
どうも、この早期からの緩和ケアがわかってもらえず
かなりの時間、話したように思います。
その新しい試みにやっと気がついてくださり
今度は、その雑誌社の編集委員会に出してみると言われました。
しばらくして、編集委員会で、早期と緩和ということが
どうしても理解してもらえなかった
記事にはできないという結果報告の電話が来ました。
そして・・・
それから時がた経ち・・・
がん対策基本法に盛り込まれた「早期からの緩和ケア」
今日、あの3年前やり取りをした雑誌社と関係が深い
新聞社の地方局の方から、問い合わせがありました。
その地方の緩和ケア関係の施設に問い合わせてみたけれど
実践されていないということで、色々調べていたら
10月に盛岡で開かれた緩和ケア研究会のランチョンセミナーの
プログラムを見て電話をしましたと・・・
確かに、その講演のタイトルは「早期からの緩和ケア」として
話を組み立てていました。
3年前には
説明しても中々分かってもらえなかった
「早期からの緩和ケア」という言葉。
時代は変化していっていることを実感した
夕刻の出来事でした。
しかも現場の医療者がです。理解が難しいというよりイメージがわかない、だから自分たちが具体的に何をして良いか分からない・・・そんな気がします。
でも、少しずつ変化はあるのですよね。
先生の記事を見てあきらめずに頑張ろうと思いました。
日々実践しているのに実感がない、または意識して実践していないので、レポートには「早期から緩和は必要であると思うけど、一般病棟で治療や処置、検査に追われながら、どうやって緩和をしていけば分からない」ということになってしまうように思います。そして、緩和に切り替えるタイミングが分からないとか、緩和ケア病棟に行って緩和治療を受けましょうなんて説明になってしまいます。知識として知っていても、実感として分からないので意識が変わらないのです。また、そんな医療者の気持ちや雑談の会話などにはその意識がつい出てしまうものだと思うので、患者さんも誤解したままです。退院する人もいるし、緩和ケア病棟で体調が整ったらまたやる気が出てきて、外来で抗癌剤を開始した方もいるし、決して死ぬ前だけに来る所ではないのですが、エレベーターで緩和ケア病棟の階を押すと。乗り合わせた方に「そこに言ったらもう死ぬんだろ?」とか「死ぬ人ばっかりの所で働いていて大変だね~」とか言われてしまう現状です。
オピオイドを使って痛みをとることだけが緩和ではないのですが、まだまだ、それが=緩和と思っている一般の人も多いです。みんな、手術のときにも使っているのですけどね・・・
すぐには変わりませんが、地道に努力していきますね~
多くの場合、緩和ケアチームに依頼をする、緩和ケア病棟に入ることで緩和ケアがなされていると判断しがちですが、一般病棟のNsスタッフ自身が緩和ケアを提供できるように、研修講師としての立場でのコメントだったのですね。これは、一次緩和ケアを現場の方に求める以上の高度なことかもしれません。具体的なアクションプランが思い描けるようなファシリテートを必要にしますね。特に看護師さんは看護ケアとの共通項の中での緩和ケアを実感するのは高度なことだと思います。
いつも思うのです。ICUで又は外科病棟で、初めてとても痛い体験をする患者さんに、「手術の痛みも我慢しなくていいんだよ。痛み止めは我慢しなくていいんだよ」という事を体験していただけるように関わってもらえたら、その方がオピオイドが必要になったっときに「我慢しなくてよい。自分は手術のときにオピオイドを使ったけど中毒にならなかった。ちゃんとやめられた。」という体験ができてもっとオピオイドが導入しやすくなるのじゃないかと
以前胸空ドレーンを入れたとたんに大激痛になり何を使ってもその痛みは抜管するまで取れなかった方がいます。よ~~~く話を聞いたら手術のときに「手術したのだから少しは痛いよ。そんなに痛いイタイといってたら、後は死ぬ前に使うような強い薬しかないよ!」と言われトラウマになっていました。だから、同じ胸くうドレーンが入ってとても痛くなってしまったのです。もちろんオピオイドもなかなか受け入れてくれません。本とに本とに同じ医療者として申し訳ないと思いました。
だから、一般病棟でももっと意識してもらえたらいいな~ なんてずっと考えています。
地道に頑張ります!