1)オピオイド
・リン酸コデイン 60mg(力価) 分3
・塩酸モルヒネ内用液 15mg 分3
2)非ステロイド性抗炎症薬
・ロキソプロフェン 180mg 分3
を内服している患者さんの疼痛コントロールの依頼がありました。
極めて神経近傍の腫瘍、炎症度も強く
患者さんから、NRS7~8/10の持続性の疼痛と聞くことができました。
合併症に慢性呼吸器障害がある高齢の方でした。
リン酸コデインは肝臓でモルヒネに 6~10:1で置換されますので
モルヒネに統一して総量を計算します。
現在60mgなので、6~10mg相当です。
最大量をとって、10mgとし、
ここに塩モヒ 15mgを加えると
一日量は、25mg。
診察時、腹部を触診するとあまり腸の動きは良くない印象。
加えて、呼吸器障害があるので、
モルヒネからフェンタニル貼付剤に変更してみることとしました。
フェンタニル(デュロテップ)MTパッチ(2.1mg)1枚は
モルヒネに換算すると 約30mg
ですので、一日総量25mgをこの30mg変更しても
オピオイドを十分増量したことにはあまりなりません。
ここで、パッチの一つ上の4.2mgにするか
鎮痛補助薬を加えるか
ステロイドを検討するか
こうした選択を行います。
患者さんの腫瘍は神経近傍でしたので、
神経障害性疼痛は混在していました。
加えて、患者さんが何度も何度もおっしゃっていた
かつての治療時の痛みの話を聞くと
多分、治療による神経の影響や疼痛に関する辛い記憶なども
今の疼痛に影響を与えていると推測できました。
ためらわず、鎮痛補助薬としてガバペンチンを選択しました。
したがいまして、私の推奨処方は、
1)オピオイド
定時薬
・フェンタニルMTパッチ(2.1mg)1枚/72時間毎貼り替え
(貼付した後、12時間は今までのモルヒネは併用とし、以後はレスキューのみの対 応。リン酸コデインは中止)
レスキュードーズ
・塩酸モルヒネ内用液(5mg)1包/回
2)非ステロイド性抗炎症薬
・ロキソプロフェン 180mg 分3
3)鎮痛補助薬
・ガバペンチン(200mg) 1錠 分1
としました。
で・・・
翌日・・・
病棟に行き、受け持ちと思われる看護師さんに声をかけると・・・
「患者さん、いいんですよ。
入院して初めて笑ってくれました」
NRS 2/10 まで、改善していました。
辛さとしては、疼痛のことは少なくなり
呼吸のことや治療してもなかなかうまくいかないもどかしさなど
複雑な心境をご自身の言葉で語ってくださいました。
看護師さんがよくやってくれてという感謝の言葉も話され
痛みが改善すると
自分の中に抱える問題点を良い点、悪い点
両方から整理できるエネルギーがでてくるものです。
クリーンヒットでした・・
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やっぱりですか。ピッタリくると本当によく効きますよね。
病棟開設前の緩和ケア外来はベットを持たない外来だから、外来にぎりぎりの状態で通っていらっしゃる方をどうするか(見てあげたいのだけれど、入院ベットの確保をどうするか)というようなことが難しくないですか?ここで、かかりつけ医とよい関係の方であれば、まだよいのですけれども・・
ありました。
さすが・・・・・と、感動でした。
この処方はいいですね。
昨年末から緩和ケア外来を始めました。
問い合わせが多いのですが、まだ病棟が開設
されていませんので、全部受けられません。
これから頑張ります。
医師の役割を果たせていますねって言っていただいているようで、とても、励まされます。
さらに上級の~お手元に置いてくださり、本当にありがとうございます。使い込んでくださっている様子がわかり、本当にうれしいです。
おさるさん
一年間試行錯誤されながら、次の課題を見つけていらっしゃるようですね。素晴らしいです。そして、できることをやっていこうとされている・・今まさに進行形の同志ですね!病院は違っても、仲間に支えられていると思うと、勇気がでます。
えびさん
この上ない言葉を頂き、本当に嬉しい!
お知り合いの方も、よい言葉をかけて頂けて、お幸せです。また一年、積み上げていこうと思います。
匙加減というのでしょうね
知合いが闘病中で、ここしばらく
疼痛コントロールと嘔吐に悩まされて居たようです
「我慢しないで済む量を使って、
楽になったら徐々に減らせばいいんだよ」と
言われて それで良いんだぁって思ったとか
手のうちにどれだけ応用が効かせられるものを
持っているのか、日々の勉強と経験の賜物なんですね
まさにアート
私は今の部署に配属されて1年目です。認定の資格をとり、何から始めたらいいか悩んだ一年でした…。手探りでスタッフと勉強会を開いたりしてきました。しかし何も達成されていなく自分の未熟さが思い知らされました。
人を巻き込んで、その人に合わせたコンサルテーションが今後の課題です。できるかわからないですが、今自分ができることを、できるだけやってみたいと思っています。
先生のブログからたくさんヒントをいただいてます。新しい所でのリフォームはとても骨が折れそうです…お身体を大切に、良いお年を。
推奨処方に至るまでの説明は、わかりやすくて、とても参考になります。このまま写して、私はいつも持っている『さらに上級なスキルをめざす がん疼痛緩和』に追加しておきます。