緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

死の前にはただ一人の人となる

2019年05月27日 | つれづれ
30年以上前・・
医師1年目の時

病棟に会社の会長職らしい方が
入院されていました。

ときに、どなり声が聞こえ
年は上の方でしたので、
偉いというか、
横柄な印象を
遠巻きに感じていました。

疾病が進み、
次第にその方は
一人の高齢者となっていかれました。


どんな社会的地位にあってもなくても
どんなに裕福であってもなくても、
どんなに偉ぶっていてもなくても、
人生の最後はただ一人の人となり、
人生を全うするものなのだなあと
新米医師として
病棟の中で
感じたことを思い出します。

医局の古い体質が苦しかったこととともに。
白い巨塔を見ていて思い出したことでした。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 自分を見失いそうになったら | トップ | 人生は、手遅れの繰り返し »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
1月末のブログに感動! (前川 育)
2019-06-02 23:38:00
有賀先生
ご無沙汰をしております。プライベートなことで、少しこころが疲れていました。
最近、とても強く思うことが、先生の1月末のブログに書かれていて、「わかってくださっている!」と嬉しくなりました。
それは、
「がんは、画像や腫瘍マーカーなど見えることを相手にする。見えないものにこそ、大切な意味がある」と書かれていたことが、今、こころに響きます。

10年近く、がん患者サロンに来ていた」当時は30代の、とても明るく素直な女性が、再々発、脳・肺・肝転移で、急性期の病院で苦しんでいます。(緩和ケアチームはあります)痛みのコントロールも出来ていませんでした。
緩和ケア病棟をご家族が受診して、もう3週間。
未だ、満床との返事です(何か事情がありそうです⇒意地悪、もしくは質が落ちたとしか思えません)

緩和ケア病棟へ転院して、少しでも楽になりたいという希望はかなえられそうもありません。
いのちの灯火が消えそうです。緩和ケアに
絶望をし苦しみぬく姿は、有賀先生のおっしゃるように、見えないものです。苦しさを、全て言えない患者の心理です。

今回、緩和ケア、特に終末期の緩和ケアに絶望していました。今、少し気持ちが楽になりました。ありがとうございます。
お姉さまからのラインの音を聞くたびに、ドキッとしているこの3週間です。

すみません、勝手なことを書いてしまって。
苦しみが少しでも軽くなることを祈るしかないのです。









沢山の見えるものに囲まれていると、
見えないものはその次になっていきます。

見えるもので目は止まってしまい、
見えないものは見えなくなってしまいます。






●癌は見えるものを相手にします

CTやMR画像に映る腫瘍
シンチのスポット
病理組織の異常細胞
血液に流れるブラスト細胞
腫瘍マーカー
採血データ








こうした見えるものの先には
沢山の見えないものがあります。






●見えないもの

あなたの心
あなたの痛み
あなたの辛さ、葛藤・・
あなたの喜び、満足・・




研ぎ澄ました感覚で、
それを見ようとする心を持ちたい・・

気付ける心を磨きたい・・

返信する
前川さん (aruga)
2019-06-09 17:40:11
急性期病院での癒されない苦痛、緩和ケア病棟の空きを見通しが立たないまま待つ日々、前川さんのお気持ち察するにあまりあります。
率直な出来ごとをお寄せくださり、ありがとうございました。
今、少しよい方向に進んでいることを願ってやみません。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

つれづれ」カテゴリの最新記事