緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

ボルケーノな患者さん

2006年04月11日 | 医療

痛みでうなされていると付き添っている家族から相談があったAさん。Aさんにオピオイドを開始するとき、研修医K先生はたっぷり時間をかけて説明に説明を重ねて、やっと開始となっていた。ロキソプロフェン3錠、オキシコドン徐放剤40mgまでやっと増量したのだが、さらなるこの夜の痛み。

更なる増量をK先生、丁寧に説明。このAさん、深みにはまっていくとボルケーノになってしまう。「○時に○○を飲んで、がんばってればこのままでいけると思うからこれでいい~~(オキシコドンなどオピオイド(医療用麻薬)の副作用は便秘)増やすと便秘がひどくなる~~」と頭を抱え込む。お~~この辺で助け舟必要・・と出て行く。

「Aさん。始めるとき言ったじゃない、多分この痛みだったら60mgは必要だって。Aさんががんばれそうといっても、ぎりぎりでコントロールしきゃいけないのはそれだけでストレスかかってるのよ。体が落ち着いてリラックス出来なければ、病気に向き合えないじゃない?まあ、ちょっと任せみてよ。夜を多めに増やしてよく寝られるようにしましょ。それで、トイレも自分で行きましょ。腹筋だって使わなきゃ出るお通じだってでなくなるでしょ」「じゃあ夜40mgに朝20mg?そうしてもらいましょうよ」とご家族。

このご家族、とても関わり方がうまい。Aさんがボルケーノしそうになるとちゃんと緩衝剤になってくれる。(看護師曰く、実は家族は家族なりに爆発しちゃうことはあるようだが、こと鎮痛薬には協力的)

ということで、今日のAさんはというと、ぐっすり寝られて、トイレにも自分で行けて便秘も解消。「だから、60mgだって言ったでしょ」と念押し。増やすと便秘が心配というより、動けて便秘が解消ということもあるわけだ。色々考えていないでえいやっとやってみる押しの強さも大事。駄々っ子を押したり引いたり、子育てみたいです~


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