緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

呼吸困難感(5)オピオイド量で異なる効果

2008年03月06日 | 医療

太い気管を圧迫されると
酸素が入らず、二酸化炭素がたまりやすいので、
十分量のオピオイド
呼吸数を減らすと
結果的に血中酸素濃度は下がり、
苦しさが増してしまう場合もあるわけです。

ただ、
オピオイドの少量投与では
循環動態上後負荷を軽減したり
(血液が心臓に返りやすくする作用があり
 心筋梗塞の治療などにも用いられます)
中枢に作用して直接呼吸困難感を軽減させる作用もあります。 
がんを持っていない方の心不全、
神経難病のALSの方の呼吸苦などにも、
北米では積極的に投与していました。 

気管圧迫タイプの呼吸苦には、
呼吸回数を変えない程度のオピオイドと
圧迫を軽快させるステロイドが
症状緩和の中心となりますが、
最後は鎮静剤でウトウトしながら
辛い時間を乗り越えていく対処(これを鎮静といいます)が
必要になることが多い傾向にあります。

呼吸困難な症状コントロールに
もう一つ忘れてはいけないのは、
ベンゾジアゼピン系薬剤です。 
(つづきます)


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