今回のシリーズは1年ほど前の記事に書き足して
ためたものを用いていますので、すでに頂いたコメント等と
前後してしまうことがあります。
1分間に30回40回といった呼吸をしている場合、
オピオイドを用いて20回位の呼吸に落ち着かせます。
従来、オピオイドには
1回換気量の増大作用はないと言われていますが、
ゆっくりとした呼吸に落ち着くと、
呼吸筋がうまく収縮できるためか、
換気量は改善していきます。
つまり、これを経済に例えると収入がやや増えるわけです。
加えて、呼吸数が少なくなると、
消費される酸素が少なくなりますので、
支出が少なくなるわけです。
収入が増えて支出が減るため、
経営改善するように、落ち着いてくるわけです。
一方・・
腫瘍などで太い気管支が圧迫されていると・・
元々、空気の出入りが悪くなっています。
出入りがわるい状態で、呼吸の回数を減らすと
二酸化炭素が溜まっていきます。
ですから、肺の末梢の病変があって
頻呼吸になっているときと違い
オピオイドは少量で効果がある初期はまだよいのですが、
増量していかなくてはならなくなるころには
どんどん二酸化炭素が溜まってしまい
呼吸苦を緩和することが難しくなっていくことがあります。
(まだまだ、つづきます)
その中で
呼吸困難:緩和されない呼吸困難にはopioid、低酸素血症には酸素を処方すること。
とあります。わたしの経験では、呼吸困難を訴える患者様に低酸素血症を呈する場合はほとんどなく、そうした患者様に酸素を投与してもあまり改善した経験はありません。この場合「低酸素血症」が前提なんでしょうね
酸素が対照の『空気』と比べてVASスコア、呼吸回数
共に差がないとする報告があります(Boothら、
1996年)。ただ、低酸素を伴う場合はプラセボに比べ
改善を示したという意見もあります(Brueraら、
1993年)
その一方で、酸素ではなくてもnasal maskから
の空気の流れが呼吸困難感を緩和している可能性も
あり、これは対照群でも無視出来ない程度の緩和
作用を認めている事から説得力があります。
よく、窓を開けて風を当てると良い、と言いますね。
プラセボかもしれませんが、実際に困難感が緩和する
方もおられる訳ですから、プラセボだろうが
何であろうが、まずは酸素を試してみてみても良いと
思うのですが(もちろんプラセボ効果が永続するか
どうか、となるとまた別問題ですが)。