緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

医療は災害と同じ:高額療養費の引き上げに思うこと

2025年02月24日 | 医療
高額療養費の引き上げが予算委員会で審議されています。

21日(金)
衆議院予算委員会で
酒井なつみさんの質問に対する
石破総理の答弁をYouTubeで聞きました。

 
具体的な高額な薬剤名を例として挙げ
自己負担額の理解を求める内容も含まれていました。
2月21日石破総理の答弁



医療は、災害援助と同じだと思っています。

軽微なものは自己で。
緊急性、生命に関与する重大なものほど、公的援助割合を増やす。


これを医療に置き換えるなら

軽微なものは
安静にして回復を待ったり
自分でできる対処をする。
生命に関与する重大なものこそ公的援助を重点化する。


現在の国会(委員会)の審議は
前者(軽微なもの)への対応が
抜けている状態で
後者からテコ入れを始めようとしています。

後者へのテコ
つまり・・・
重症度が高い患者
命に係わる疾病の治療など
高額療養費引き上げは
制度的には簡単なのです。

それによる弊害は
驚くほど大きくなると思われますが。



30年前の古い記憶とはいえ
在米中の人々の受療行動は
風邪位では医療機関にはかかりませんでした。

スーパーの一角には
症状別の薬剤が分かり易く並んでいました。
etc.

家族が住んでいるシンガポールや
先日のパリの医療情報なども
軽微な疾患でそうそう人は医療機関にはいきません。




軽微な疾患での受療抑制や
市販薬への移行は
日本医師会は抵抗を示すことでしょう。

日本医師会は私も会員なのですが
診療所や病院開設者の開業医と
雇用されている勤務医が
ほぼ半数ずつの職能団体です。

そして、日本医師会は
自民党の強力なパートナーです。



軽微な疾患の受療抑制は
市中のクリニックなどの外来などに影響を与えます。
予算委員会の審議を聞いていて
相当の配慮がされているのではないかと思うようになりました。


しかし・・
医師会会員ではなく、国民全体の利益を考えるべきです。

医療費、社会保障費の逼迫は
多くの国民が理解しているところです。
順番を誤ると社会の根幹を揺るがしかねないことを危惧しています。



もうすぐ3月・・
我が家のユリオプスデージーもまた咲きそうな勢いです。
写真は我が家の・・ではなく
以下から引用しています
BundschattenによるPixabayからの画像

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ヌマンタ)
2025-02-25 09:27:27
この件、いささか心中複雑です。多分ですけど、私は相当な恩恵を受けています。難病療養時代を含めれば8桁台の補助を受けていますから。この制度がなかったら死んでいたと思います。半面、現在はそれなりの稼ぎがありますが、それでもICDの移植手術では相当助かりました。数百万の手術代は、民間の医療保険に入れない私には救いの手でしたから。
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Unknown (e3693)
2025-02-26 23:34:38
ヌマンタさん

大切な体験だと思います。

WHO が、ユニバーサル ヘルス カバレッジの重要性を説いているように、誰でもどこに住んでいても医療を受けられることは世界に誇れることなのです。

それを肩身が狭くならないような制度であり続けるよう努めていきたいと思います。

Aruga
返信する

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