呼吸困難感の緩和方法について、
文献を読んでいました。
呼吸困難は、あまり、勉強してこなかったので、
up-to-date がとても新鮮でした。
例えば、ネブライザー(吸入療法)としては、
モルヒネ、ラシックスがよく知られています。
とはいえ、モルヒネは、もう一つ有意な結果が得られないのは
最近の報告も同じで、結果的に全身投与の方が
優れていることがわかっています。
そんな中、へえ~と思いながら読んだ文献は
フェンタニルの吸入療法でした。
クリニカルノートなので、
ランダム化比較試験のような
エビデンスの高さがあるわけではありませんが、
予想以上に効果があるのかもしれないと思いました。
フェンタニル25μgに生理食塩水2mlを加え、
吸入したAIDS1名、
肺塞栓1名を含む
35名(34名酸素使用)のがん患者は、
副作用なく、
呼吸の自覚症状は81%が改善、
酸素飽和度の改善(前94.6%、5分後96.8%、60分後96.7%、p=0.0069)、
呼吸数の安定(前28.4回/分、5分後25.9回/分、60分後24.1回/分、p=0.0251)
を認めた。
Coyne PJ, Viswanathan R, Smith TJ.
Nebulized fentanyl citrate improves patients' perception of breathing, respiratory rate, and oxygen saturation in dyspnea.
J Pain Symptom Manage. 2002 Feb;23(2):157-60
もう少し新しいものもありましたが、
ひとまず、これをご紹介します。
フェンタニル(0.1mg/2ml) 1/4A に 生食2ml ですから、
フェンタニル 1A に生食 8mlを加え、全10ml としたものを
ネブライザーで吸入するという処方になります。
ネブライザーは、吸入しているときはよいけれど
しばらくすると、元通りになってしまうと言われますが、
1時間後も、そこそこ効いている結果にも
へえ~と思いました。
肺包→肺胞の誤植です。
大変失礼いたしました。
すべての薬剤には副作用がありますから、適応外投与の時の副作用には、より安全な投与と思っても、細心の注意が求められます。
責任が持てないと言うことも、強ち責められません。責任を一緒にしょってくれようとする看護師さんは、医師にとっては、大きな支えなのだと思います。
年・・というより、たよりにされているのだと思います?!
言うだけは言いますけどね・・・年取ると言えるようになるから、悪いことばかりではないですね。また教えてください。
今、手元に文献がないので、記憶の範囲で。
気管支や肺包にも、オピオイド受容体、ストレッチ受容体、J受容体など、幾つかの受容体があります。
呼吸困難感は、単に中枢のCO2-つまり化学受容体だけの問題ではなく、肺包で伸展できていると感じる機械的受容体や、気管支での刺激、呼吸筋、高次機能からの不安などの因子が重なって形成されていると考えられています。
それで、気管支などに直接働きかけることで、全身投与による副次的反応を抑えて効果が得られないかというのが、吸入療法の始まりでした。全身状態の悪化により、全身投与では安全域が狭くなる可能性があり、ならば吸入は・・ともなるわけです。
でも、言うほど効果的ではないと・・
と・・言いながら、
ラシックスとモルヒネを混合して吸入してもらうと予想以上に効果的なこともあったりします。
適切な量の全身投与すればよいと思われますが,なぜ吸入なんでしょうか?