緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

オピオイドで呼吸苦?

2007年06月16日 | 医療

(昨々日から続いています)
呼吸が苦しくなるという文を読むと
私だって、読んだだけで不安になります。
それだけで、呼吸が苦しくなります。

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患者さんは、この後もその薬局に行くことになりますので
即、電話連絡を取りたいと
院内の薬剤部に事情を話しました。
そして、その調剤薬局さんから電話がありました。

「いや~起こりえることは書かなければいけませんから・・」

私は、さらにヒートアップしてしまいました。

副作用を伝えるなら、頻度が高い順に
そして、それぞれに
患者に対応方法を指導するのが
服薬指導です。
安易な表現で不安だけを募らせないで頂きたい==

服薬指導というのは
薬が安全に使えるための支援でしょう。
患者さんに、指導するときに大切なのは
客観的な目安、または
自己判断ができるような目安を伝えることです。

呼吸が苦しいとは、極めて主観的です。

過量投与について、私が指導するときは
まず、眠気が強くなったら、電話をください。
特に、自分で眠ろうとしなのに、寝ていたとか
ウトウトして物を落としてしまうようなことがあったら
連絡をください。
と、説明します。

外来での増量程度で、呼吸の抑制は
眠気なしに来ることはまずありません。
ですから、眠気の目安をまず伝えることです。

それでも、全身状態が極めて悪い患者さんや
発熱の可能性がある方には
呼吸のことを説明することはあります。

でも、オピオイドの呼吸への副作用は
呼吸困難感ではありません。
呼吸の回数が減少するのです。
このような時は、眠気を伴っていますから
ウトウトしていて、呼吸の回数が1分間に10回以下
であったり、無呼吸の時間が30秒くらいあるような
そのような症状です。

ですから、呼吸が苦しいと訴えられることはありません。
もし、患者さん自身が訴えるとしたならば
空気が入ってこないような感じがするとか
意識しないと呼吸を休んでしまうような感じ
といった表現になるのです。

ですから、服薬指導に書かれていた
「呼吸が苦しくなることがあります」
という文章は、不適切です。

私自身、オピオイドの呼吸抑制を
味わったことがあります。
その実体験からも、自信をもっていえます。

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3 コメント

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本当に・・・ (小園)
2007-06-16 10:54:05
有賀先生こんにちわ。
去年横浜の教育課程で先生の講義を受けさせていただきました。貴重な講義ありがとうございました。
認定審査も無事?終わり、後は結果を待つばかり。全然自信はありませんが・・・。駄目なら来年頑張ろうといったところです。
ところで、わたしも先日調剤薬局の服薬指導に閉口しました。オキシコンチン5mgを2錠/日内服していた患者さんに、その薬剤師さんは、“この薬は強いから2錠まではいいけど3錠になったら駄目だよ”と話したらしく、その患者さんは痛みがあるにもかかわらずオキシコンチンの増量に強い抵抗感をしめしていらっしゃいました。もう勘弁してよと言いたいっ!!
結局、5mgを10mgの錠剤に変更し2錠のまま増量しましたが・・・。服薬指導の大切さを実感しました。
やっぱりオピオイド導入時に十分な説明をしなくちゃなと、これからの課題になりそうです。
先生もお忙しいでしょうけど、ブログ楽しみにしています。またネットを通じて色々勉強させてください。これからも宜しく御願いします。
返信する
恥ずかしい限り・・・ (ポニー)
2007-06-16 18:57:13
調剤薬局勤務の薬剤師の同業者としてとても恥ずかしい限りです。でも、調剤薬局で麻薬を取り扱わないところも多いことを考えると…勉強不足なのだと思います。その上、患者さんのことを考えていなさ過ぎる。痛いのは他の誰でもなく患者さんなのですから。もっと勉強して欲しいです。でも薬局薬剤師に聞くと「できれば服薬指導を他の人に代わって欲しい」といいます。そんなことばかり言っているから薬剤師の必要性も問われるのだと思い、悲しくなってしまいます。

ひとつ質問なのですが、眠気について本人ではなく家族が不安に思っている場合、私はよく「痛みがとれることで眠っている場合もあります。もしあまり寝てばかりいるのが心配な場合には(過量の疑い)肩等をたたいて起こしてみたときにすぐに目覚めれば心配ないですよ」とお話しています。本当にこんな説明でいいのでしょうか?
返信する
コメントありがとうございます (aruga)
2007-06-16 22:34:53
小園さん
長い認定コースも終わりに差し掛かったのですね。昨年の一日がかりのまとめ授業を思い出します。これからが、腕の見せ所ですね。
「3錠になったらダメだよ」・・・困ったものです。そんなこと根拠も無い間違ったことを言うより、何も言わない方が健康被害は少ないですよね。

ポニーさん
薬剤師さんは、力量の差がとても大きいなあと感じています。薬剤師会の薬局さんなので、大手なのですが・・
眠気のこと、まったく心配のない眠気の方が多く、トワイクロスのpain management には、キャットナップ(猫の午睡)という言葉で出てきます。気持ちよく、不快感なく眠いときは問題ありません。眠いことが不快となったら注意をしていくようにしています。かつて、緩和ケア病棟にいたとき、ご家族が不安でしょっちゅう患者さんを起こしているということがありました。呼吸数が十分あって(10回以上/分を私は目安にしています)、落ち着いて眠っていられれば心配ないですよ。。位でもよいと思います。(落ち着いて眠っていられるとは、せん妄の要素は少ない状況と考えます。)ポニーさん・・これからも、よろしくお願いいたします。
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