緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

緩和医療に多い適応外投与薬の戦略は・・

2010年10月03日 | 医療
昨日は、午前中は古巣の緩和ケア研修会の疼痛レクチャーを手伝い、
夕方から、女子医大と早稲田の共同大学院シンポジウムに参加。

午前、午後ともに、色々な方にお目にかかることができ
貴重な情報に参加した甲斐を感じました。

今までは、緩和領域の会ばかりでしたが、
他部門で働いている方との交わりや
他領域の会への積極的な参加が
大切だなあと切に感じた週末でした。




保険適応外投与薬が多い緩和医療。
学会からも幾つかの薬剤の
新規開発と適応拡大について要望書を提出しています。

その現状と考え方について、ヒントを得ることができました。

薬事承認と保険適応が一体となっている現状から
切り離していく方向で考え、
今後は、保険への働き掛けを行っていった方が現実的であろうと。

つまり、
適応拡大の要望書を国に出すと
PMDAに行くことになりますが、
エビデンスをはじめとする議論となっていくと
煮詰まってしまう。
ここでの議論を求めるよりも、
保険で査定されない薬剤として認めてもらった方が早いのではないかと。


調べてみました。

例えば、アメリカ。
FDAが薬事法に相当するものに基づいて、適応承認します。
一方、未承認薬であっても、一定の評価を経て
保険適応することが保険部門で可能となっています。
こちらは、社会保障法に基づいているようです。
こういう柔軟性がドラッグラグの解消に繋がるのだろうと思います。

日本では、このFDAに当たるのがPMDA
保険担当部門とは、社会保険診療報酬支払基金となります。

社会保険診療報酬支払基金では、実際適応外投与を認める薬剤を
2009年は30数挙げています。
(以前、記事にしたことがありましたが、
確かテグレトールが神経障害性疼痛?がん性疼痛?
への適応拡大に含まれていました。
記憶が定かではなくすみません)
ここに、今回要望として挙げていた適応拡大の薬剤を
入れた方が現実的だというのです。

(調べながら記載しましたが、間違っている箇所があったら
是非、ご教示のほどを)

こういう制度的なものは、本当に知識不足なので、
是非、10月の理事会で担当理事にあったら話してみようと思っています。


それにしても、今回各学会から出されている要望は
370強となり、その内、280強が適応拡大なのだそうです。
この審査がすべて、PMDAにいってしまうのでしょうか・・

参考までに、
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/06/txt/s0623-20.txt




その他、ゲットした情報・・・・

専門医制度の広告規制。
学会の医師の割合などで限定されていますが
積極的な見直し姿勢のようです。
その大本の理事長と話すことができました。

ただ、この点については、
学術会議の提言の行方もありますから
見守りの必要です。


鈴木寛さんの名刺の肩書が
Senior Vice Minister of Education, Culture, Sports and Technoligy
となっていて、文部科学とは
4つの分野を書いて英語になるのか・・
科学はscienceではなく、Technoligy・・
微かな驚きでした。

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4 コメント

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ご無沙汰しています (そら)
2010-10-05 23:38:04
薬剤のこと、保険へ直接働きかけるアプローチ方法があるのですね。
370の薬品目の審査となると、今のPMDAでは、そうとうな時間がかかるでしょう。
抗がん剤が緩和の薬剤より優先されると思いますし。
貴重な情報、ありがとうございました。
返信する
そらさん (aruga)
2010-10-07 23:33:50
コメントありがとうございます。
私達は、困ったと感じた時に、どこに、どう働きかければよいのか、行政の内部体制情報にかけているところがあります。
今回は、監督者ではなく、直接かかわっている方からの具体的な内容だったので、ともに役に立ちました。
返信する
ドラッグ・ラグ (itopie)
2010-10-08 13:08:20
患者団体または関連する学会等から「ドラッグ・ラグ」を解消するために多くの薬剤の要望が出ています
第5回 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議資料
<http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000ti7f.html>

>薬事承認と保険適応が一体となっている現状から切り離していく方向
1)社会保険診療報酬支払基金は昨年9月28日、保険支払いを認めた医薬品の適応外使用事例を公(http://www.ssk.or.jp/sinsa/yakuzai/index.html)しました。ジアセパム(内服・注射)をてんかんに処方した場合や、インドメタシン(坐剤)をがん性疼痛に対し処方した場合など33件です。これは80年9月に発出された当時の厚生省保険局長通知「保険診療における医薬品の取り扱い」(いわゆる55年通知)に基づく適応外使用に関して、基金内の検討委員会で検討した結果です。

2)いわゆる二課長通知:公知申請について
「適応外使用に係る医療用医薬品の取扱いについて」平成11年2月1日付 研第 4号、医薬審第 104号,厚生省健康政策局研究開発振興課長、厚生省医薬安全局審査管理課長
<http://www.nihs.go.jp/mhlw/tuuchi/1999/990201/990201a.html>
昨日(10/7)の産経新聞の報道にもありましたが、この制度を活用し治験が省略される場合があります。
ただどちらのの方法を使ってもハードルは高いようです。
返信する
itopieさん (aruga)
2010-10-09 15:21:04
こんにちは!
1)は以前、記事にしたことがありました。よく55年通知という言葉を聞きますが、このことだったのですね。
二課長通知も含め、本当に貴重な情報、知識をありがとうございました。
働きかけの根拠が明確となりました。
次は、具体的な動きとして、どこに働きかければよいのか、知りたいところです。
いくつかの情報を合わせると、今後は、大方こちらの方向に流れていくと思われます。
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