緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

キャリアのドアに、ドアノブはない

2010年10月10日 | 医療

最近、こんな言葉を読みました。

”キャリアのドアには、ドアノブがついていない”

どこで、読んだか記憶が定かではないのですが、
そう・・そうなの・・と、心にストンと入ってきたのを覚えています。

”意識していることは、努力して得た、などというようなものであって
それ以上に無意識に過ぎていっていることのほうが余程多く、
そうした無意識によって人は形成されていくものである。
キャリアなどは、自分が気がつかない
無意識からくるもので形成されたもののほうが確かなことが多い。
そうしたものは、自然とドアが開いてくるものである。”

といったような内容で、

自分探しをしても見つからないと悩む人がいるが
見つかるものは意識下のものであり、
多くは無意識下のものであるから、
自分が見つからないのは当然である・・

ということに対する説明でした。




カウンセリングの目的の一つに
無意識下にあることを意識することが挙げられます。

さらに、長男の卒業式(といってももう数年前のことですが)に
校長が話した言葉を思い出しました。

「教育とは、無意識の経験をどれだけ積み重ねていくことができるか
それが、大変重要なのである・・」

これにいたっては、一つ一つを具体化することは不可能に近い無意識を指しています。
人の厚みの様なものとして表出されるものと言えます。



みずからが、こうあるべきといってドアをこじ開けようとしても
開かないドアは本来進むべき道ではないことが多く、
開けたいとドアの前に立ち、
開かなくてもじっと待っていたり、
遠回りをしてもう一度立ち寄った時に
本当に、そちらに進むのがよいならば
ドアは向こうから開いてくれるものかもしれません。

それ自体は、結局無意識のうちに形成された何かによって
開くべくして開いたドアなのでしょう。



このことは、自分の今までの道のりを考えた時に
当てはまっているなあ・・と思います。
とはいえ、色々なドアを見たり、
これだと思ったドアはノックをしなければ反応してくれませんでした。



脱線しますが、
意識することを遠ざけ、
ドアから近寄ってくれるのを待っているような人もいれば、
ノックもしないで、思いつくままにこじ開けようとする人もいることを経験し、
これらも、無意識に形成されているものが
人なりとして出てきた結果なのだと感じました。




無意識下に自分があることを知るとは、
自分と対話を続けていくこと
自分の中に吹く風を聴く(感じる)こと
なのかなあと思ったこの頃でした。


コメント (5)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 緩和医療に多い適応外投与薬... | トップ | 第2回緩和ケア勉強会のお知らせ »
最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
sさんへ (aruga)
2010-10-17 20:47:23
書きこみありがとう。
この件については、お二人の間で留め置いて頂くことではないでしょうか。
返信する
助かりました (Missy)
2010-10-18 14:28:14
ちょうどキャリアのことで悩んでいたところでした。

>キャリアのドアには、ドアノブがついていない

まさに状況をよく説明している一文でモヤモヤしていた気分が晴れ晴れしました。おかげでネガティブだった自分から抜け出しポジティブに状況を見ていくことができるようになりました。

助かりました。ありがとうございました。
返信する
Missyさん (aruga)
2010-10-22 00:05:24
コメントありがとうございます。
ドアが向こう方開いてきますように!
返信する
お久しぶりです。 (kaida)
2012-03-12 02:35:57
こんばんは。JANICインターンの會田です。
クリスマスの際はお世話になりました。

就職活動も本格化し、自分に何が適職なのか、未だにもやもやしている時に、ふとこの言葉を思い出しました。
素敵な言葉を教えてくれてありがとうございました。
焦らずに、堂々と未来に向かって前進したいと思います。

優君もついに留学ですね。
彼なら多くのことを吸収して帰ってくることでしょう。また帰国後に会うのがたのしみです。
返信する
會田さん (aruga)
2012-03-13 22:52:11
まあ・・驚きました。
コメントくださり、本当にありがとう。
就職活動、大変な時期ですね。大変ながら、自分と対話を続けていらっしゃる會田さん、素晴らしいなあと思いました。

會田さんの留学ストーリーを参考にさせていただきながら、優を応援していこうと思っています。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

医療」カテゴリの最新記事