90代の方に一日2回タイプのオピオイド除放剤、最小量を一回飲んでいただいたら、2日間傾眠となってしまったが、非ステロイド性抗炎症薬では全身を痛い痛いをおっしゃられる。どうしたらよいか・・というコンサルテーションがありました。
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こういうとき、まず除外すべきは、せん妄による疼痛の訴えです。 せん妄とは意識がやや低下し認知に障害がでている状態をさします。 つまり、混乱し、心が落ち着かない状態で痛い痛いとただただ訴えてしまうような場合です。 まず、投薬内容をみると、せん妄を意識した抗精神薬がすでに投与されていました。 こんな時大切なことは、疼痛の訴えが画像などと照らし合わせると病態に合致し了解可能かどうか判断することです。 先日登場した風流先生が、丁寧に診察をしてくれました。 「いや~全身が痛いと言われていましたが、一つ一つ示しながら手は痛いですか?ここはどうですか?と聞いていくと、痛みを感じているのは、左季肋下が主で、加えてその奥の内臓痛のような痛みがありました。 ちょうど、画像に一致しています。」 本当に当院のレジデントは優秀です。 いかにきちんと訴えを聞き、病態診断をつけるトレーニングをつんできたかと言うことがわかります。
結果的に、せん妄はあるかもしれませんが、身体的疼痛の訴えは客観的に理解でき、オピオイドを眠気が出ない程度の極少量投与を行うことで、せん妄も逆に改善するかもしれない(落ち着くかもしれない)と判断しました。
クレアチニンが上昇し始めていましたので、モルヒネは中間代謝産物の影響でせん妄を助長する可能性があることから、フェンタニルを選択しました。 フェンタニルを倍希釈し、24時間持続皮下注射 0.05ml/hで開始するプランを立てました。 1アンプルが 0.1mg/2mlですから、約1/4アンプル分が一日量となります。 これは経口モルヒネ5mg、経口オキシコドン3mg相当になります。 当初眠気を誘った薬剤の半分量ですので、安全に投与できると判断、また、皮下注射ですから、副作用が起こっても直ぐに微量調整が可能です。 この方法を提案したとき、主治医からの質問は、何故、貼付剤を使わないかということでした。 計算すると2.5mgの貼付剤がどれだけ多い量(経口モルヒネ60mg、経口オキシコドン40mg相当)か、これで半面貼付などを行ってもまだ多く、さらに副作用がでたとき直ぐに剥がしても血中濃度が低下するのに半日以上かかってしまうことを説明しました。
そして、フェンタニル 2アンプル(4ml) と生食 4ml を10mlのシリンジに充填し、小型シリンジポンプ PCAボタンつきにセットし、27G翼状針、100cm内容量0.5mlのサフィードチューブをつなぎ、テガダームで上から固定し、開始しました。 開始して早々で、表情が和らぎ、主治医も「あんなに早く効くものなんでしょうか」と、びっくり。 体が楽になると、穏やかです。 量はほぼ至適量と確認できたので、明朝眠気は評価することでよいと判断し、病床から離れました。
ご高齢な方に細やかなオピオイドの調整ができると、ちょっとスキルアップした気分です。
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今日も、お付き合いくださりありがとう。明日も、来て下さいね。
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そして、このブログの患者さんも私の担当でずっと悩んでいるところだったんです。
今日は準夜なので夕方から病棟に行くので、患者さんに会うのが楽しみですが、やっぱり違う方で事件が起きているようです。
昨夜、先輩から電話がきて事件を知りました。
その事件とはいつも私が上手くいかない主治医がまた吠えたようです・・・
私たちの役割って何なんだろうって考えさせられます。
先生また話聞いてください。
でもね、凄いと思うのよ。小さな医者になってる看護師さんが多い中で、看護のプロとして、医師と対等に意見を言い合えているさチキンの病棟。そこに入院している患者さん、本当に幸せだと思うよ。
担当のふたりの患者さんは痛みの増強もなく深夜のときとは違って、とてもいい表情でした。
先生ありがとうございました。
90代の方は担当医に早く緩和にかけたほしいと頼んでいたんですけど、オキシコンチンで眠っちゃうし困ったなぁと思っていましたが、主治医がすごくすんなりフェンタニルを導入してくれたので安心して頼っていこうと思ってます。
吠えた件はこの準夜で絶対私にいろいろ言ってくると思ってかなりブルーでしたが、逃げるように?私には全く触れずでした。
先生からのコメントを読んですごく救われて元気がでました。
私まで元気づけていただきありがとうございます。
患者さんのために医師とはじゃんじゃん意見を言い合えることはとても大切だと思ってるんですけど、私の場合言い過ぎちゃうこともしばしば…もう少し大人にならなくちゃと思う毎日です。
これからも頑張ります!!!