ある担当医から電話がありました。
患者さんは、ちょっと気難しいところがありました。
「患者さんが、涙を流されて
”私は今、どうして生きているのかしら・・”っておっしゃるんです。
今まではそんなこと全然おっしゃらなかったのに。
うつになられたのでしょうか。
どうして差し上げるのがよいのでしょう。」
若い研修医の医師でした。
本当に、よく勉強していて、1年生の時から私は一目置いていました。
「先生だって、どうして医師になったんだろう。
医師として自分に価値を見いだせなくなってしまうようなことはない?」
「毎日、毎日、考えてしまってます」
「まあ、毎日なの?
それに似てるのよ。
病気が治ることは難しいと感じた人で、
生きている意味や自分の存在意義を考えない人は
多分、いないと思うのよ。
それと、うつは違うのよ、
それが、スピリチャルペインなのよ
今まで、中々話してくださならなかったかもしれないけれど、
先生に、そうこぼしてくださったことは、
先生に心を許してくれたんじゃない?」
「そう考えていいんでしょうか。
最近、(動けない患者さんに)飲み物を冷蔵庫から何度も出して差し上げたり、
首が痛いと言われて、
位置をちょっとずつ変えたりして差し上げていたのがよかったんでしょうか・・」
「この先生は、私の痛みをわかってくれると思ってくださったのよ。
きっと。
だから、心の痛みをそっと先生に出されたんだと思うのよ」
「少し、楽になりました・・
ありがとうございました」
そんな、話を朝一番の電話でしました。
その日の深夜。
その患者さんは、頸動脈から出血があり
翌朝、息を引き取られました。
研修医の先生・・
どんな気持ちかなあ。
生きることの難しさ、
心の奥底の声を聴いて、
きっと、何か感じ続けてくれることと思います。
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ちゃんと「向き合って」いらっしゃる。^^
だからこそ、語ってもらえる人は選ばれた人ですね。
だけど、語られた言葉に『なにか答えなければ』と思ってしまったり、解決できないことに頭を抱えてしまうというのも、私はよくわかる気がします。
そんなとき、間違ってないよって言葉をもらえる事って、この上なくありがたいことだと思います。
若い先生には、貴重な経験を頂ける患者さんだったでしょうね。
また、若い先生は有賀先生に、胸の内を語ることができるからこそ、次に進む力を得られたようにも思います。
信じられる人がいて、本当に話したいことが伝えられる、そうした相手を人生の中で得られることは本当に素晴らしいことですね。
自分が生かされている意味
または 病気になった意味
これからどうしたら良いのか
進路に惑うのも
ちょっと違うけれど 人生の意味を問いかける
そんな機会の一つ
患者さんにしっかり向き合われている
若き先生
わたしも向き合えるようになっていきたいなぁ
私も、努力しないと。とても暖かいお話をありがとうございます。
で、しょう?! そうなんです。その心情を理解しようと一生懸命なのです。
きみさん
>語ってもらえる人は選ばれた人
はっとしました。
本当にそうです。
中にはいるんです。
話してっていったのに、話してくれませんでしたという医師が。
話していただけなかった意味を吟味すべきだと伝えることの大切さ。改めて気がつきました。
患者さんが人生について考えるのも、医療者が人生について考えるのも、壁はないものだと思います。自分の身近な体験を思い起こせば、一見難しそうに感じられる患者さんの言葉も、気づくことができます。
気づけなければ、患者さんの心の叫びを聞き逃してしまうことになります。
真摯に人生に向き合ってこそ、聞き取ることができるものではないかと思うこのごろです。
みえママさん
本音をこぼす相手は、きちんと選んでいるものですね。聴くという行為は、トレーニングである程度良くなりますが、やはり、感性や人間性なしには語れないものでもあります。
人の痛みを、どうしても分かることができない医師がいることに、最近ショックを受けました。教育にも限界を感じていて、実は、疲弊ぎみです。だから、この出来事がものすごくうれしかったのだと自分の心を読み解きました・・
通り掛かりで目にして
そして読み入ってしまいましたので
コメントをさせていただきました。
生きている意味や自分の存在意義・・・
普通に生活をしているわたしでも
この命題の答えは難しいですね。
でも健康ゆえに、ついおろそかにしたり
後回しにしたりしてしまいますよね。
ホントは大切なことなのに。
まして病気であれば
なおさら切実に考えることなんでしょうね。
深い話、ありがとうございました。
津波は、私たちに健康であっても、こうしたことを問いかけてくれました。
お立ち寄りくださり、ありがとうございました。