緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

壁のシミ

2008年11月13日 | つれづれ

風のガーデンを見ていて
中井貴一が机についた傷を愛おしそうに撫でるシーンで
思い出したことがありました。

在宅で過ごしていた患者さんが言いました。

「小さなときから見ていた壁についたシミ・・

 何でもないことだけれど

 そのシミを見つめていられることの幸せってわかります?」

特別なことではなく
自分の中に刻み込まれた
時間の経過が
そんな所にこそあるのだなあと
感じ入りました。

幸せってそういうものなのだなあって。


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8 コメント

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おっしゃるとおりです! (キャサリン)
2008-11-14 00:25:36
40年前に買った 淡いピンク色のドレッサー。 ドラエモンのシールが一枚張られています。 大切にしていた家具に… シールを貼りたくてウズウズしていた娘が、よりに選って。「シールを貼ってよいのは 自分のベッドだけね」約束は守られました。 ドレッサーは娘と共有しています。ドラエモンは貼られたままです。
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Unknown (葉酸)
2008-11-14 02:30:13
ひとりひとり幸せの価値観って違うと思いますが、それは時がたつごとに変わってきますね。

特に何か病気になったりして、治ったりした時は幸せの価値観が高まったりします。

また私にはそのシミを見ているだけで幸せになれるというところまではいってませんが。。
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はじめまして (tobbyK)
2008-11-14 20:02:20
いつも拝見させて頂いている呼吸器内科医です。仕事柄、肺癌・COPD・間質性肺炎等の患者さんのターミナルケアに関わることも多く、先生のブログで勉強させて頂いています。

退院し、在宅に移行された患者さんのお家には出来るだけお見舞いに伺うようにしているのですが、いつもそこで何ともいえない雰囲気を味わいます。長年過ごした家とその方との一体感とでも言いますか・・・。一度小さい我が娘を一緒に連れて行き、ターミナルの患者さんと遊んでもらったことがあります。その光景を見てから、「日々を大切に過ごしたい」と強く思うようになりました。

今後も色々勉強させて下さい。宜しくお願いいたします。
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なんでもないことこそ (えび)
2008-11-14 21:36:49
自分が昔の自分を振り返る・思い出す、
もしくは戻る物って、特別なものでは
ないんですね…

お気に入りの湯呑茶碗だったり
ぬいぐるみだったり
知らない人から見れば くだらない
と思われるものほど
本人にはとっても心にあるものなのかも
知れないですね
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Unknown (momo)
2008-11-15 03:18:19
胃癌末期の義父は盲目です。しかも過去10年程強い睡眠薬を飲み続けて来たこともあり、時には厚く時には薄らと、頭の中に雲が掛かっている様な精神状態です。
既に、音を聞けて匂いを嗅げて幸せを感じる余裕すら無いのが可哀相ですね。
入院後、痰吸引のコツを掴んだようで、食べ物も少しノドを通るようになり、お陰様で寿命が伸びた気がします。がここへ来て転院か在宅か判断を迫られる時期になりました。夫は単身赴任中、義母もボンヤリしています。在宅になれば全てが私の両肩に・・・迷いつつ、当ての無い病院探しが始まります。
良い結果が待っていると信じて頑張ります!

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はじめまして (maki)
2008-11-15 21:00:23
いつもブログ拝見しております。看護師です。初めてのコメントで、このようなぶしつけなお願い事をさせていただく失礼をおゆるしください。
ホームページを拝見し、先生の姿勢に共感し、私も医療従事者として、緩和ケアの一環として、医療にアロマテラピーを広めていきたいと強くかんじています。それに先がけて、今回、アンケートを作成いたしました。現在活動されている先生にもご意見をいただきたく、失礼を承知でコメントさせていただきました。どうかよろしくお願いします。http://enq-maker.com/13Ue-kX
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コメントありがとうございます。 (aruga)
2008-11-15 23:25:14
葉酸さん
死を意識された方の幸せ感は、本質的な人の生きざまにつながっており、そこに感動を覚えるのです。

tobbyKさん
お訪ねくださり本当にありがとうございます。退院された方のお見舞いにいらっしゃっているとのこと・・敬服いたします。さらに、娘さんと見舞われた時の話は、心打たれました。心地よい刺激を頂いたような気持ちです。これからも、よろしくお願いいたします。


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コメントありがとうございます (aruga)
2008-11-15 23:45:43
えびさん
本当に私もそう思います。ふつうのことが、その人その人にとっては宝なのだと思います。イギリスのリーダー的な看護師さんにせん妄になった患者さんへの対応について質問した時、そうしたその人にとっての宝物が、傍にあったり、無くとも思い起こすこと作業を共にすることが心を落ち着かせてくれると話してくださったことがありました。

momoさん
momoさんのお父様にも、きっとこうした宝物があるのではないかしら。大切な曲とか、ご自宅の床の軋む音とか・・何が宝物かは私にはわかりませんが、何かがあるような気がします。外出か外泊でもできたら、雲間が一時晴れることはないかしら・・とはいえ、ご負担が最小限でありますように。

makiさん
makiさんは、看護師さんで、企業に勤務されているのでしょうか。アンケートって、解析されると実感されると思いますが、意味ある結果を得ようと思うと、とても難しいものです。
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