鎮静はメジャーとマイナーの
バランスを調整しながら投与されます。
代謝性、特にアンモニアが高い肝性脳症のときは
メジャー先行型にすること
メジャーの副作用は錐体外路症状とであり
循環器系に注意をようすること
一方、マイナーの副作用は呼吸に注意すること
大概オピオイドが投与されていますので
マイナー併用時に呼吸回数を確認します。
抗精神病薬のハロペリドールですが
鎮静を考えるときは、むしろ
メジャーという名称を用いて考えると
メジャーとマイナーが頭の中で
シーソーのような関係にあることがわかり
頭の中で、とても整理しやすく
また、緩和ケアチームで関わったとき
主治医にイメージしてもらうのにも
よい名称だと思っています。
調整もしやすく
事故も防げます。
それにしても
突然生じたプルプル・・・
診断に衰えがなかったことに
安堵と嬉さを感じました。
結果的に、この患者さんは
ハロペリドール3Aと
ミタゾラム3Aを一日量として
24時間の持続投与で
穏やかな眠りとなり
最期まで量を変えることなく
見守ることができました。
こんな風に、診断がつき
方針がたち、症状緩和が
ピタッといくと
本当に緩和ケア医冥利です。
コツとしてはせん妄が激しい時は
メジャー優位と覚えておくとよいと思います。
(おわり)
ICUでは厳正な管理の下使うことがあります。
今回の提示のケースについて教えてください。
結局ミダゾラムも使っているようですが、肝性脳症のせん妄と羽ばたき振戦は原因がアンモニアの上昇ですよね。治療として、せん妄にはハロペリというのは良いですが、先生がかかれているようにベンゾが肝性脳症自体に良くないとされているのにミダゾラムを増量しているのは何故でしょう。その辺をニューロトランスミッター、レセプター関係も含めてお教えくだされば幸いです。
また、呼吸管理、循環管理はどの程度なされているのでしょうか。ターミナルとは思いますが・・・。
よろしくお願いします。
当院では、スタッフのミーティングなどで「メジャー」「マイナー」という言葉の意味を勘違いしているスタッフが複数いることがわかったので(メジャーは有名な薬、マイナーはそうじゃない薬みたいな)
メジャー=major tranquilizer
マイナー=minor tranquilizer
という補足を、数ヶ月に1回ぐらい、ちょこっとするようにしています。
こんにちは。
がん患者さんの予後1週間でのせん妄出現率は7~8割と言われます。この時、苦痛感が強いときは鎮静で乗り越えていきます。ハロペリだけでは鎮静は不十分なため、結果的にミタゾラムを併用していくことになります。ただ、ハロペリでこのせん妄をコントロールしておくと、ミタゾラム単剤では悪化させてしまう肝性脳症はコントロール可能となります。このケースではここに至る前にベンゾ投与がされており、結果的に1:1の割合いになりましたが、患者さんの状態によっていは、3:1位のベンゾ少量で良い眠りになることもあります。こうした亡くなる数日前の方のトランスミッターなどがどのようになっているかは不明です。実際に、こうした薬剤の投与量は極めて個人差が大きく、ベッドサイドについて、呼吸と循環系と眠りの状態を見ながら微調整を行っていきます。病状説明を十分にしていくことや鎮静についての話し合いなどは事前に十分に行っていきますが、これらの薬剤で呼吸の抑制も血圧の変動もない範囲で調整可能です。日本緩和医療学会のHPには鎮静のガイドラインがリンクされています。
緩和ケアチームには精神科の先生方の参加が必要です。是非、今後ともよろしくお願いいたします。
hirakata先生
言われてみれば、その通りだなあ~と、改めて感心しました。メジャーの方が有名な薬剤という意味に誤解されるなあと。略さないように心がけようと思いました。
ところで、この2グループの薬剤に、ドロレプタンを併用する医師もいますが、先生は併用されることもありますか?
ドロレプタン、私は入れませんが、山梨大学の緩和ケアチームの飯嶋哲也先生(大学のオーケストラの後輩だったりします)は、硬膜外などにルーチンで入れていますね。多分全身投与の場合にも入れていると思います。錐体外路症状に関連して入れているような話を聞いた気がしますが、よく覚えていません。すみません。
私のところではドルミカム中心で、不穏が見られればセレネース1A・アキネトン1Aを1日数回頓用して鎮静を行うことが多かったんですが、はじめから一緒にしてみたらいいんですね!
先生はその場合、アキネトンを混ぜるなどはされませんか?
昔に自分がひょんなことで錐体外路症状に苦しんだことがあるので(もうこりごり)、抗コリン剤は使い込むほうです。よろしければそのあたり教えてください。
このような鎮静を必要とされる患者さんは、日単位で病状が変化するような場合が多いため、その全身状態では錐体外路症状はまずでません。
それよりもっと全身状態がよく、メジャートランキナイザーを用いなくてはならない場合は、ハロペリではなく、錐体外路症状が出ずらいリスパダール(舌下投与もできます)やジプレキサなどを選択しますので、私は、アキネトンを併用することはほとんどありません。
錐体外路症状を経験されたことがあるのですね。大変でしたね。
セレネース単独でアカシジアを数例のみ経験しておりましたが、お二人のコメントを読んでそれほど神経質にならなくて良い気がしました。また、正直なところ、倦怠感増強による不穏、いてもたってもいられないしんどさによって立ったり座ったりしてしまう状況を見誤っているときもあったかな、と思いました。
そういう場合は、鎮静薬そのものを増やすほうがよさそうですね。
セレネースは一度、統合失調症がベースにある患者さんの不穏症状に1日10A使ったことがありますが・・・、徐々に減らすとウソのように症状が消えていました。大量投与の経験がないので、おそろしかったです。麻酔科Drが、ICUの術後せん妄に対して1日5~6A使うのを見たことがありますが、呼吸・循環状態をみながらマイナーをかぶせるともっと減らせたんじゃないかとか思います。でも、精神科では大量に使っておられたり・・。セレネース、感覚がつかめません。