緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

そのこころは・・。肝性脳症をミタゾラムが悪化させた理由

2007年11月16日 | 医療
ミタゾラムは、ベンゾジアゼピンで
肝性脳症を悪化させます。

このベンゾジアゼピンは
マイナートランキナイザーとも呼ばれます。

一方、このような肝性脳症のような代謝性のせん妄は
抗精神病薬という分類ですが
古い分類でメジャートランキナイザーと呼ばれていた
ハロペリドールを先行させて増量します。

その後でミタゾラムをかぶせて行くと
不随運動が消失し
加えて安定した鎮静となります。

こうした鎮静の時には
患者さんの状態によって
メジャーとマイナーの
2剤の割合を変えながら投与していくと
良い眠りを作り出すことができます。

アンモニアが高く中枢神経症状を呈している状態を
肝性脳症といいますが
抗ベンゾジアゼピン受容体薬剤が
肝性脳症に効果があるのではないかと
予測されるほど
高アンモニア血症の患者さんには
安易なマイナーつまりベンゾは投与禁です。

しかしながら、この不随意運動が万一
錐体外路症状だとしたら
メジャーが投与禁になります。

この不随意運動が何故おこっているかという
病態診断がつけられるかどうかが
辛い時間をウトウトしながら乗り切っていただく
大切な症状コントロールになるわけです。
結果的に、アンモニアが高値であったことが
確認できたので
メジャー優位で正解だったわけです。


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