3年以上前の依頼から。
肝がん、門脈閉塞、肝障害、腎障害(BUN100以上!)
予後は日にち単位で病状が動きつつあるような状況でした。
著しいダルさと意識レベル低下。
主治医から、何とかなりませんか?と。
う~ん。
予後日単位でのダルさは必然的な症状・・、
BUNが100以上なら、意識混濁もあって当然のような身体状況・・
と説明しつつ、ベットサイドへ。
2日前から、フェンタニル静脈投与が
全身の苦痛を除去することが目的で開始されていました。
と、呼吸回数をみると、10回以下の不規則性あり。
著しい肝障害によるフェンタニル代謝遅延と判断しました。
これも、意識レベルの低下やダルさを後押ししていそうです。
下肢浮腫著明であることから下大静脈の閉塞や圧迫も推測され
この薬剤代謝の遷延から
肝機能障害に加えて、門脈閉塞も予想されます。
幾つかの病態が考えられ、ディスカッションすること30分。
一旦フェンタニルは止めて、
呼吸数が10回以上になったら
1/4量から開始としていただくこととしました。
で、ステロイドを開始。
抗炎症効果が高く、持続時間が長く、
ナトリウムなどに対するホルモン作用が生体に近いということで、
ベタメタゾン 4mg 朝 静注としてもらいました。
ただし、依頼日はまだ午後3時だったので、すぐに一度ワンショット投与で明日につなぎました。
一応、院内の一定の線引きとして
生体のステロイド分泌日内変動にあわせて午後3時までの投与としています。
で、その翌日・・・
主治医に会ったら。
「先生~ありがとうございます!!
びっくりするくらい甦ってくれました!!!」
結果的に、蘇ってくださったのは
3日間程度しかありませんでしたが、
その間、ご家族で話合うことができたのだそうです。
こういうのって、本当に嬉しい!
でも、薬剤はちょっと手伝っただけ。
その人に甦る力があったからだったのでした。
人間は、どんな状況にあっても、
生きている以上、
必ず健やかな所はあるものなのです。
そこをどれだけ支援できるかなのです。
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それだけじゃないですよー!患者さんもご家族も、主治医さんも、先生の一言に出会えてよかったですねー!
状況が正確にわからないから不適切かもしれませんが、最初の主治医さんの言葉に”なんとかならないか、というか、時期的に仕方ないしそのほうが楽かもしれないでしょ”と思ってしまいましたが、違いました。
薬をやめる、で改善した経験はあったと思いますが、ステロイドの併用が勉強になりました。
お話できる時間ができてよかったです。
私自身、BUN100でも、肝障害があっても、適材適所の薬剤は、ここまで効果的なんだ・・と患者さんを通して教えてもらえました。
私こそ、出会えてありがたかったです。
難しい状況でも、何とかならないかと主治医が依頼をくださるというのは、何とかするかもしれないという期待を持って頂けてるのかなあと、これも嬉しいことでした。
一緒によろこんでくださったjunさんに、心から感謝です。