勝海舟は幼少のころ犬にかまれて重体になったことがあります。そのことは勝海舟の親爺・勝小吉の「夢酔独言」に「勝麟太郎犬にかまれる」という箇所に述べられています。かなりの重体だったようで医者の見立てではそうとう難しかったようです。そのような大変な中、勝小吉は息子のために看病しました。
「始終おれがだいて寝て、ほかの者には手を付けさせぬ。・・・とうとうきずも直り、七十日めに床をはなれた。それから今に、なんともないから病人はかんびょうがかんじんだよ。」(勝小吉「夢酔独言」より)
勝海舟は父親の愛に救われました。この愛が江戸無血開城をなしえた幕臣勝海舟を生み、多くの幕末志士との人間的な交流をしながら新しい日本を生み出したのでしょう。