足尾鉱毒事件の問題解決に奔走した田中正造が次のように語っています。
「それ水を治むるものはその心水の如くならざるべからず。世人もし真に心を水の如くせば、此般の災を挽回して以て幸いとすることまた易々の業にして、あたかも掌を指して見んよりも明らかなり。・・・ただこの際における故障物、党派と官民との小反目は何の価もこれなきのみか、いたずらに天下の大事に関する大好機を失せんのみ。」(1910年8月23日)
足尾鉱毒事件を水のような心で公明正大に取り組まなければならないのに、政治の党派争い、官民の癒着など足尾鉱山に関わる利権構造で足尾鉱毒被害者の復興に向けた大好機を逃していると田中正造は言っています。この光景は、現代の原発事故、公害事件、薬害事件も同じような構図です。被害者一人一人の生の声を聞いて官民一体となって心水の如く復興へ向かう絶好の好機に、国会は党派争い、官民は利権獲得に動いているのが今の現実ではないでしょうか。