演芸見ブんログ

寄席・野球観戦等に行った備忘録を残しています

07/09/05 池袋演芸場・夜の部

2007-09-05 | 芸協定席見ブんログ
春風亭昇々…『垂乳根』

神田きらり…『寛永三馬術 誉れの梅花 愛宕山(前)』

鏡味健二郎…「太神楽曲芸」

桂小南治…『写真の仇討』

桂南なん…『碁どろ』

ぴろき…「ギタレレ漫談」

桂伸治…『お化け長屋』

三遊亭遊三…『子ほめ』

《お仲入り》

やなぎ南玉…「曲独楽」

三遊亭遊雀…『四段目』

桂歌春…『強情灸』

Wモアモア…「漫才」

神田松鯉…『寛政力士伝 越の海勇蔵 稽古相撲』


今席前半はきらりさんをはじめ、トリの松鯉先生に歌春師匠、小南治師匠、遊雀師匠など、私の好きな芸人さんが大挙出演。
本当は5日全て行きたかったほどで、楽日の今日も空模様が不安な中池袋へ急ぎました

昇々さんの「垂乳根」は初めて聴きました。前座噺とはいえ所々に昇太師匠っぽい場面も見られ、慣れてくると面白く聴けるのではないでしょうか?

きらりさんは今日も曲垣平九郎が出ない「愛宕山」でしたが、考えてみれば今席夜の女流はきらりさん1人
奇術も俗曲も夫婦漫才もない番組に華やかな色を出していました

今日の健二郎先生は手拭い立てとお盆の曲芸。
登場するなり『只今は・・・えー・・・何だっけかな?・・・講談をご覧いただきました』
手拭い立ては1本、半分折り、四分の一折りを披露しましたが、四分の一は立てた途端に顔に倒れ・・・大笑いしてしまいました

小南治師匠は初めて聴く「写真の仇討」です。
師匠の口調や間は本当に噛みしめるほど面白さがじわじわ来るんです。

南なん師匠も初めて聴く「碁どろ」。小南治師匠とは一味も二味も違う面白さ!
小南師のお弟子さんが連続で登場し、しかも2席とも初めての噺。
この時点で入場料の元を取った気分です。

南なん師匠の途中、後ろのオヤジの携帯電話が鳴りました。
オヤジだからすぐに切る事ができず、カバンから携帯を取り出すまで鳴りっ放し
で、切るのかと思ったら出やがった!
もう本当にこういう客はカンベンです

で、そのオヤジはぴろきさんの漫談に掛け合いで参加しやがりました!
ぴろきさんはいい人だから「今日はなんか相棒がいるみたいですぅ~」
「私のセリフが2~3秒減って楽ですぅ~」

伸治師匠の出の前に異例の場内アナウンス。
『携帯電話の電源はお切り下さい』
遅いよ!

伸治師匠は陰陽のマクラだったので「皿屋敷」かとばかり思ったら、これも初めて聴く「お化け長屋」で、今日はとにかく初めて噺ばかりで心も弾みました!

遊三師匠はいつものマクラから噺家の名前について。
弟子の小遊三師匠がお弟子さんに「おまえ(遊之介師匠)」、「あん太(春馬師匠)」という名前を付けた話で笑わせた後、なんと『子ほめ』
開口一番で良く聴く噺ですが、大師匠が演じるとこうも違うものなのか!
という、とにかく驚いた一席でした。

南玉先生の独楽はまるで生きていて、先生の意のままに動くかのようです。
場内からも絶賛の声が上がっていました。

遊雀師匠にとって台風接近のこのような天気は、まるでこのマクラをやって下さいと言わんばかりで・・・
詳しいことは池袋でお聴き下さい。
芝居噺のようなので「七段目」かと思ったら、三段少ない『四段目』でした。
定吉の狂気にも似た芝居。遊雀師匠の芝居への造詣が窺える高座でした。

歌春師匠はいつものマクラではなく、江戸っ子のマクラから。
歌春師匠が江戸っ子というと、“八五郎出世”や“大工調べ”、“たがや”などを思い浮かべますが、その後に「強情」という言葉が出たので、こちらも“まさか!”と思ったら・・・。
友達が灸を据えに行く場面の描写は楽しくじっくりと、自らが灸を据える場面は明るくどっしりと演じており、歌春師匠では初めて聴く『強情灸』を思い切り楽しむことができました

私もここ半年余りで多くの定席に通っていますが、今日は初めて聴く噺が3席あった上に、遊三師匠の『子ほめ』、歌春師匠の『強情灸』という、本当に珍しいネタ選択で、
『これが池袋の楽日なのか!?』
という思いを強くしました!

モアモア先生は「常連さんが前に4人もいて、たまには後ろで見ればいいのに・・・」
私は3列目だったので常連さんに入っていないと思いきや、しん先生(背が高いメガネの先生)に、
『あのオニイサンも3日目で、今日はネタを変えて来たと思っているでしょ!』
バレてる・・・

松鯉先生の「寛政力士伝」も楽日です。
講談には落語の前座の前の段階として「空板」という段階があるそうですが、その時に習う『三方ヶ原の合戦』の一部を披露。
さらに空板時代の本牧亭の様子や、軍談→修羅場→武芸物と習って、そこからその人の適性で「金襖物」「侠客物」「世話物」を習うという話を聞かせて下さいました。
相撲や演芸の評論で名高い、故小島貞二先生が双葉山の70連勝を止めた安芸ノ海の付け人をしていた話も興味深く、そこから今日の読み物「越の海勇蔵」の噺へ入りました。
大男揃いの角界にあって五尺五分(約160㎝)の越の海が、親方の柏戸を慕って角界入りしたものの身長が低すぎるため故郷に帰れと言われ、せめて1回は本場所を見たいという希望から内緒で場所入りし、木村庄之助をも巻き込んで“角聖・谷風梶之助”や“雷電爲右衛門”に稽古で勝ち、谷風預かりで力士として大成するという内容。
いやぁ~、本当に面白かった!
もともと相撲好きの私ですが、それを講談で聴けて、それもきらりさんの師匠の松鯉先生で楽しめたなんて・・・

芸協の芝居としては珍しく休演・代演がなく、とにかく贅沢すぎる池袋の夜でした