演芸見ブんログ

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07/09/12 世界らくご選抜VOL1 “芸協vs立川” ~東京芸術劇場小ホール2~

2007-09-12 | 講談会・落語会
橘ノ美香…『子ほめ』

立川らく里…『たらちね』

立川談大…『寝床』

三遊亭遊喜…『ちりとてちん』

《お仲入り》

瀧川鯉太…『粗忽の釘』

泉水亭錦魚…『金明竹』

柳家小蝠…『叩き蟹』


なんとまぁ、仰々しいタイトルでしょうか?
「世界らくご選抜」???
「芸協vs立川」???
頭の中に???が渦巻くほどの疑問を抱えて池袋へ。

開口一番は芸協から美香さん。
演目は「子ほめ」でしたが、赤ん坊をあやす様子がいかにも女性らしいなぁと感じる、ほのぼのとした高座でした。

立川流の噺家さんは「四派で深夜」などでしか見る機会がないので興味津々です。
まずは「らく里」さん。「快楽亭ブラ汁」⇒「立川らくB」から二ツ目昇進で名前が変わりました。
「自らことの姓名は…」で始まる名前は演者によって多少の違いはありますが、このらく里さんの言い方は、私が小学生の頃に聴いたオーソドックスなもの。
サゲも「恐惶謹言」「酔って件の如し」で、立川流の基礎というものを垣間見た気がしました。

談大さんの「寝床」は長屋の連中の言い訳が主でしたが、断る理由とその“間”が絶妙。小僧が泣くというサゲまでは行きませんが、ここまでで十分に楽しさが伝わって来ました。

遊喜さんの「ちりとてちん」は、遊喜さんらしくヨイショの場面が可笑しく、虎さんが「ちりとてちん」を食べる場面はもう少し粘っても良かったのではないかという思いです。

お仲入りの後は鯉太さん。相変わらず人差し指で汗を拭うのは何とかならないものでしょうか?手拭いを持っているのに・・・。
時間的な制約もあったのでしょうが、できれば引っ越しの荷物を担ぐ所も聴きたかった。

立川千弗から二ツ目昇進で「泉水亭錦魚」を襲名した錦魚さん。
まずは与太郎ではなく「松公」「松っちゃん」という設定が新鮮です。
借り物場面で会場をほぐし、見事だったのは言い立て。
普通は速さを考えるあまり、言い立ての内容が流されるケースが多いのですが、錦魚さんの言い方は速い中にもしっかりとした口調で、一言一句がよくわかりました。
おかみさんの様子も良く、立川流の力は侮れないと感じた一席でした

トリは小蝠さん。ネタ出しで唯一判らなかったものですが、噺を聴いて納得!
7月に神田春陽さんで聴いた「左甚五郎 蟹」を落語にした物でした。
もっともこの噺、元々は浪曲から出たらしいのですが…。
筋としては「ねずみ」に似ていますが、「情けは人の為ならず」を地で行く人情噺。サゲもしっかりしていて場内も小蝠さんの噺に聴き入っていました

当初は1対1の対決でも良いのにと思ったものの、じっくりと聴かせていただいた後は優劣付け難く、両派の比較に留めておく方がいいでしょう。
VOL2があるかどうかはわかりませんが、またこのような企画があれば伺いたいと思います。