地方の女たち

夜の街で出会った女達と男達

懲役・・合計25年

2020-12-27 23:28:22 | 日記

成人してから刑務所暮らしの方が長い男。

懲役の合計が25年越えになる。 現在、記録更新中です

何度罪を犯し、何度逮捕されたのか解らなくなるほどの男。

そんな男から突然に手紙が来ました。

ある時は「出てきましたぁ~」と言って突然来ることも有れば、今回の様に突然に手紙が来たりもします。

※ 近年はルールも変更になって、手紙を出せる相手の条件が緩くなったみたいです。

 

彼は私の事を心の奥底で「ひとつの逃げ場」にしているのかも知れません。

冗談を言い合える仲間、真面目な話の出来る相手など、人を選別して付き合うタイプも存在してる。

この男もそういうタイプなのかも知れない。

 

彼の手帳・電話などに私の名前はたぶん書かれていないんです。

私との繋がりを彼の犯罪者仲間で知る者は少なく、たぶん一人だけです。

 

私の事は彼の記憶にあるだけで、住所録などには記載されていないのでしょう。

そう感じたのは彼が三度目の逮捕される前に私の所に来た時です。

その時の彼の話ではキップ(逮捕状)が出ているとのことでした。

 

それで、どうするのだという話になり、夜を徹して話し合う事になった。

その時ばかりは彼も真剣に話をしていたと思います・・・・思いたい。

彼の生い立ちから始まり将来の事まで話し合った。

当時、中年男で前科者。これと言った能力は無い。頼れる身内も無いし、力の有る友人もいない。

自分の事を雇ってくれる人もいない。。。。自分の事を受け入れてくれるのは犯罪者仲間だけ。

 

もし私が彼の境遇なら、、、、と考えると、彼と同じように犯罪に走るかも知れないと思いました。

日頃からそんなどうしようもない状況にならない様に、、、という話を彼にしても意味が有りません。

もう既にどうしようもない状況の真っただ中なんです。

 

刑務所から出た前歴者は5年を過ぎないと勤めることが出来ない職種も多いんです。

結局は幾ら話し合っても答えは出ない。ただキップが出ている状態だと、それこそ何も将来の話は出来ないので、その件は仕舞を付けようとしか言えなかった。

 

話し合った結論として、、、翌日に私が大阪の曽根崎署に連れて行くことに成った。

逃げ切れるものでもなく、不自由な生活をつづけた挙句に逮捕されるより。

さっさと出頭して刑期を済ませた方が良いと判断したが、、、、なかなか踏ん切りがつかなかったのでしょう。

「ついて行ってやるから・・・・」 これで決心したのか覚悟を決めた。

 

翌日に警察に行くと、、、、刑事は私を仲間ではと疑いを持ったのか、事情を聴かれることになった。

本来なら逮捕状の出ている容疑者を説得して連れて来た「善意の第三者」で、感謝されても良いようなもんですけどね。

 

まぁ有る程度、疑われることは予測していたし、何も法に触れる事はしていないし、持ち前の好奇心の方が強くて・・・

刑事の事情聴取を「なんぼでも、いらっしぁ~い」みたいな感じに・・・

終わりに刑事が「色々とお手数をかけてすみません」と言っても

「もうええんか??? 何時でも用事が有ったら言うてや、何時でもええでぇ~」

これにはもう帰ってくれって感じでした(笑)

 

まぁ警察にすれば捜査の過程で、私の情報が無かったのでしょうね。

私の事はその男の頭の中に有るだけで、電話帳とかに私の名前を記載していない事をこの時に知った。

 

彼の犯した犯罪も色々で、逮捕理由は知るだけでも、、、横領・窃盗・薬物などです。

横領と言っても最終的にどんな罪で裁かれたのかは知りません。 知りたくもないので聞く事も無い。

逮捕理由はその時に付き合っていた女から聞いたり、担当した弁護士から聞いたりします。

しかし現実に起訴されるときの罪状とは違う場合もよくある事なので・・・解らない。

 

薬物はテレビなどで言われている様に使用・所持・売買など罪が分れます。

それらと同じように横領も、単純・業務上・遺失物等、、、

窃盗も有償無償での譲受・移動・保管など、、、

それだけではなくて、それらの犯罪の斡旋(仲介)も罪になります。

 

たぶん、その男は上記した犯罪の薬物の自己使用と遺失物等横領罪以外は全てやってますね。

 

上記の中で???と思うのが「遺失物等横領罪」です。 これは中高生などが補導されるケースの多い事件です。

登下校の途中に放置された原付などがあり、バイクに興味のある子供が持ち帰って修理したりして乗ってると・・・

道交法の他に占有離脱物横領に問われます。 捨ててある自転車に乗っても同じ罪に問われたりします。

 

酔っぱらって保管してあるチャリに乗って帰れば・・・窃盗。 放置されたチャリなら占有物離脱です。

 

この懲役太郎と知り合ったのは彼が30才位の時で、場所は大阪でした。

私が大阪で暮らし始めて間もないころです。 その時で既に刑務所暮らしを二度経験していたようです。

成人して10年で2度の刑務所暮らしですからねぇ~。

たぶん初犯の時は執行猶予が付いたと思われるので、逮捕は3度以上と言うことに成りますね。

 

その頃は私も彼に向かって 「もういい加減に足を洗え。」 みたいな事は言ったと思いますが、それ以降はそんな事を言う気にもなりません。

言っても捕まるような事はするなと言う意味を込めて 

「もう捕まらないようにせぇ~よ」そんな感じです。

 

彼が出所して私の所に来た時には、刑務所での暮らしについて詳しく聞きます。

当然ですが私には経験の無い事で、知らない事にはチョッと興味が有ったりするのです。

初犯で行く刑務所から、犯罪傾向が進んだ受刑者が行く刑務所まで経験している彼の話は、やはり別世界の内容です。

 

裁判で刑が確定して行く先は拘置所です。そこでどこの刑務所に行くか決まるまで待機させられます。

行く刑務所の希望は聞かれるが、叶えられることは無かったみたいです。

 

刑務所が決まると移動して大部屋での生活が始まります。

犯罪にもよりますが、出所が近くなると独居(個室)に移ります。しかし、空きが無ければその順番が回ってくるまでひたすら待つだけです。仲間の出所を喜ぶ者もいれば、焼きもちを焼く者も居てるんです。

ここで気を付けなければならないのが・・・

例えば6名で生活していて、独居に行く自分の順番が一番前になった時に、同居している誰かの罠が仕掛けられる場合が有るらしい。

刑務所では私物と言って鉛筆とか便箋とかを決まった数を決まった箱に保管します。

数が多すぎても少なすぎても違反です。それを時々抜き打ちで検査されるのですが、その前に悪意のある受刑者が鉛筆を1本多く入れて違反行為を仕組まれるのです。

違反とみなされると独居に行く順番が一番後ろになってしまいます。

これは一例で、罰則を伴う規則は山の様にあるので、チョっと油断すると何かやられると言うのです。

そんな事が有った時は懲罰覚悟の殺し合いに近い大げんかが始まる原因にもなるので、同居者の入れ替えも有るらしい。

 

とにかく全てが元の有った姿と同じに、、、と言う事を繰り返さなければペナルティーが有ると思って間違いない。

部屋の掃除をするホウキやチリとりの位置、毛布のたたみ方、服のボタンの掛け違い、名札の位置など生活の全てが処罰の対象です。

彼と話をしてると経験のない刑務所暮らしの知識が付いてしまいます、、、何の役にも立たないのに

繰り返しで25年以上の刑務所暮らし。刑務所での懲役(作業)も殆ど経験しているみたいです。

炊場(すいじょう)、、、食事係です。決められたレシピ通りに食事を作ります。ご飯の量も決められていて、受刑者の体格によって少し量が違うそうです。 この係だと冬場は天国で夏場は地獄と言っていました。

刑務所の中の天国・地獄って、、、全部地獄だろ!! と思わず突っ込んだり。

 

彼の言うには図書係は楽だと、、、受刑者が望む本を書庫から取り出した届ける係なんだけど、監視が緩く休憩や雑談が出来ると言うのです。ただ、この係に選ばれるのは大人しくて賢い部類の受刑者だけらしい。彼は出所が近い時期に一度経験しただけらしい。

 

作業は刑務所によって違います。 単純に作っては捨てるのではないので、どうしても地元の企業の協力が必要になるので、その業種によって作業内容は異なってきます。刑務所によってはパン工場があり、受刑者の食事に使っている所も有ります。

 

何度も刑務所暮らしを経験すると、何でも整頓する癖が付くのか、、、

大阪のマンションで数日間泊めた時などは、、、

朝起きると布団をたたんで重ねて部屋の隅に置き、部屋はもちろん、キッチン・トイレ・バス・ベランダ・玄関と、毎日掃除をするんです。ルンバより良く動きま

そして、、、、、

刑務所で炊場係でカレーを作った時に美味いと評判が良かったので、カレーを作ると・・・

当時の彼女と私と彼でスーパーにカレーの食材を買い。 家に帰って私と彼女はカレー待ち。

 

ニコニコしながらテーブルにカレーを運んできた。

私がカレーを口に入れて何か言うのをじっと待つ彼と彼女・・・

 

私はストレートに感想を言った。

不味い 

余りの酷い言い方に彼女が一口食べてフォローしようと・・・ところが変な顔になった

私は容赦なく 「お前、自分で食べてみぃ~」

不思議そうな顔をしながら彼が食べ始めた・・・「うぅぅぅぅぅ~ん、なんか違うなぁ~」

 

カレーの色はしてるが、、、超薄味の黄色い汁です。

 

刑務所の食事は全体的に薄味になってるんでしょう。

ですから外に出たら食べないような甘いものでも無茶苦茶美味しく感じるのでしょう。

流行性の風邪などが刑務所内で流行ると、食べ物が外注になり弁当などが配られるそうです。

私たちが普通に食べてる弁当などは味が濃いので、受刑者たちには無茶苦茶美味しく感じるらしい。

 

もうすぐ正月です。刑務所でも正月は何か特別なものが食事に付くらしい。

例えば、、、ぜんざい等は大人気らしいです。 

今頃はそんな事を楽しみにして、寒い刑務所で暮らしているんでしようか・・・