今世のテーマ 働く！（ラジカセ訪問販売）

大阪第一ビルに営業所があった、そのラジカセ訪問販売会社には半年ほど勤務してました。最初の一週間は営業トークのデモンストレーションを教えてもらいながら先輩に同行して回るのです。北区の中崎町周辺だったと思います。飛び込んで飛び込んで、ラジカセ本体を通じて音の良さをアピールするのですが何よりカラオケが出来るのが一番の売り！次に音声多重放送が受信できることでした。当時、自宅でカラオケを良い音でエコーの効いたマイクで唄うことは、なかなかできなかった時代です。営業で売る商品はラジカセ本体にマイク、カラオケ用のカセットにラジカセを収納するケースを付けたセット販売で価格が、なんと72200円！これを『今は200円で毎月3000円で！』が締めのトークなんです。ラジカセ本体は全く割引なく定価販売！大阪で値引きもしないでそうそう売れるわけがなく(^^;;でも営業所の人達は売ってるんですね(・・;)週アベと言って一週間の一人当たりの目標は50万円、一台あたりのコミッションは、もう忘れましたが売れてるセールスマンは月の給与が50万円！ま、厚生年金など引かれません。税金のみです。でも今から35年ほど前で50万円の給与は凄いの一言でした。いつかわたしも！と思いながらがんばってみましたが(・・;)そして研修期間が終わって初めて与えられたテリトリーが阪神尼崎。それも裏側で戦国時代に尼崎城があったらしいところです。事業所が少ないエリアでした。訪問先のルールは事業所であって個人の家への訪問は禁止されていたのです。私は、とにかく飛び込んで飛び込んで営業をしました。マイクの感度の良さを伝えるには私自身がラジカセを使って唄うのですが相手は仕事中！『帰れ！こんなとこで唄うな！』とか言われることもあって心が折れることも何度、あったことやら(・・;)中には優しい人達もいて『昼休みの時間に、来たら？話し聞いてあげるよ！』とか言われると本当に嬉しかったですね。商品を売る前に営業マンである自分自身を買ってもらえ！支社長の言葉を思い出したのです。でも、尼崎でラジカセを定価で売る？なんて至難の技でしかありません。やっと『にいちゃん！わかった！買うたる！で？ナンボにしてくれんねん？えっ？値引きあらへんってか？そんな話、どこに転がってるねん？な？ジョーシン行ったりミドリ行ったら安くしてくれるやろ？無理は言わへん。』と、まぁ、ええとこまで行っても値段で大抵、断られます。営業はチームで回ってまして私の上司と先輩は阪神尼崎の表側。国道2号周辺を回ってまして、昼休みの時間にチームで集まり午前の成果や今後の販売戦略のミーティングをしながら御飯を食べます。上司も先輩も(・・;)売ってるんですね～(^^;;やっぱり私の営業力の無さ？かな。尼崎を回って、2週間目に入っても結局一台も売れず肩を落として、ある行政機関やったかな？堅苦しい表札のある事務所に飛び込んだのです。事務所には数名の事務員さんがいて丁度、お昼休みでした。そのうち2人の方が可愛らしい女性でしたので(O_O)私も思わず張り切って営業したのです。『お兄さん？売れてるん？』一人の女性が聞いてきました。年齢は私より2～3歳上かな？って感じです。『いや～(・・;)私も新人で経験がありませんから』と言うと『そうなんや、売れてへんねんね？』更に『このラジカセは気に入ったから買ってあげてもええよ(^^)で、ナンボにしてくれるのん？』やっぱり値引きを言われ定価販売を告げると『えーーっ！定価？今時、誰が定価で買うん？ナンボでもええから値引きしてよ！』わたしは、もう諦めていました。すると、、もう一人の女性が『私も買ってあげる(^^)だから引いて(^^)』男なら可愛らしい女性に、ここまで言われたら何とかしたくなるのが本心です。でも値引きは社内で御法度、何故なら私が値引きすると、後々、ここのテリトリーだけでなく噂が広まり会社全体で値引きして売らなければならなくなるからです。『本当に申し訳ございません。値引きは出来ないんです。』訳を話して謝りました。そして話しを聞いてくれた御礼を言って事務所を立ち去ろうしたとき背後から声が聞こえました。『少し、考えるから、また明日、おいでよ(^^)』私は耳を疑いました。振り向きざま『え？』と思わず声がでました。『だから～(^^)また明日、おいで！ええ返事出来るかは分からへんけど少し考えるわ(^^)』こんな言葉を貰ったのは初めてでした。私は思わず『ありがとうございます！！』と言って事務所をあとにしました。私が未だ21歳頃でしたかね～。