しげる牧師のブログ

聖書のことばから、エッセイを書いています。
よかったら見てください。

朝の露 <第四の獣>

2023-04-19 | ダニエル
「その後また夜の幻を見ていると、なんと、第四の獣が現れた。それは恐ろしくて不気味で、非常に強かった。大きな鉄の牙を持っていて、食らってはかみ砕き、その残りを足で踏みつけていた。これは前に現れたすべての獣と異なり、十本の角を持っていた。」(ダニエル7:7新改訳)

第四の獣とはローマ帝国のことで、聖書預言から言えば現代はローマ帝国の延長線上にある。そしてローマの特徴は鉄の文明である。それまでの国々は金属器として鉄を使っていたがほんのわずかであった。ところが今日、世界の鉄鋼生産量は年間数百万トンを軽く越える。それは人類が用いる金属の90%を占め、想像もしなかった建造物、武器その他の製品が製造されているのである。しかもダニエルが見たローマは恐ろしく不気味で、鉄の牙であらゆるものを噛み砕いた上、踏みつけていた。つまりこの文明と帝国はいちじるしく攻撃的、暴力的なのである。おまけにローマは武器や軍事力においてバビロンやギリシャなどと比較にならない発達を遂げ、想像もできないものを作り出している。▼バビロン、ペルシャ、ギリシャは動物になぞらえることができた。つまり、ライオン、熊、ヒョウというふうに・・。それらは狂暴ではあるが、まだ地上動物にたとえられた。しかしローマはそうはできない。ダニエルは「それは恐ろしくで不気味で、非常に強かった。食らってはかみ砕き、その残りを足で踏みつけていた」と動物名を当てはめることができずに記している。まさにローマ末期といわれる現代文明はこれにあてはまる。最後にこの帝国から現れる究極の反抗者こそ「反キリスト」よばれる王である。私たちの世界は急速にその極点に向かっていることをおぼえたい。▼残酷で容赦(ようしゃ)しない時代がそこまで来ていると考えたほうがよいであろう。しかし幸いにもその支配は数年しか続かないであろう。いと高き方が彼をほろぼし、聖徒たちが治める永遠の国が必ず到来するのだ。神は貴方がその相続人になることを望んでおられる。イエス・キリストを信じることによって・・・。


朝の露 <ダニエルの神の前に>

2023-04-18 | ダニエル
「あなたがたに平安が豊かにあるように。私はここに命じる。私の支配する国においてはどこででも、ダニエルの神の前に震えおののけ。この方こそ生ける神、永遠におられる方。その国は滅びることなく、その主権はいつまでも続く。この方は人を救い、助け出し、天においても、地においても、しるしと奇蹟を行われる。実に、獅子の手からダニエルを救い出された。」(ダニエル6:25~27新改訳)

ダレイオス王がペルシア全土に発布した宣告である。偶像を拝む異国の王が、イスラエルの神をここまで恐れ、敬虔な礼拝を勧めたことは特筆(とくひつ)に値(あたい)しよう。獅子(しし)の穴に入れられたダニエルが、かすり傷ひとつ負わずに守られたことは、ここまで王を感動させたのである。理由はダニエルが神に信頼していたからで、その信仰姿勢に感服(かんぷく)したのであった。▼たぶん王はダニエルから神に関して多くを学んだにちがいない。神の永遠性、全知全能性などへの言及をみてもそれがわかる。ユダヤ民族が捕囚(ほしゅう)から帰還(きかん)できたのは、これら信仰者たちの働きによるところが大きかったと思う。


朝の露 <ベルシャツァル王の愚行>

2023-04-17 | ダニエル
「そこで、エルサレムの神の宮の本殿から持ち出した金の器が運ばれて来たので、王とその貴族たち、および王の側室たちや侍女たちはその器で飲んだ。彼らはぶどう酒を飲み、金、銀、青銅、鉄、木、石の神々を賛美した。」(ダニエル5:3,4新改訳)

ベルシャツァルは、父ネブカドネツァル王が神に打たれ、獣に等しくなった事件を知っていた。しかし父に代わって王位に就くとそれを思わず、不遜にもエルサレム神殿の聖具で酒を飲んだのである。▼汚れた生活をしているバビロンの貴族や王の側室、侍女たちまでそうしたとは、なんと不敬虔きわまりない行為か。彼らは金銀の偶像とイスラエルの神を同列に置き、これを神々の一つと見なし、あざ笑い、御名を汚した。神はベルシャツァルが心から悔い改めて謙遜な王となるのを待っておられたが、ついに審判を下すことを決められたのであった。「『テケル』とは、あなたが秤で量られて、目方の足りないことが分かったということです。」(ダニエル5:27同)▼こうして彼はその夜殺され、バビロン王国は潰(つい)えたのである。現代もまったくこれと変わらない。神は最後の審判を下される前に、全世界の人々の悔い改めを待っておられる。すでに秒読みに入っていることを知るべし。


朝の露 <牛のように草を>

2023-04-13 | ダニエル
「あなたは人間の中から追い出され、野の獣とともに住み、牛のように草を食べて、天の露にぬれることになります。こうして、あなたの上を七つの時が過ぎ行き、ついにあなたは、いと高き方が人間の国を支配し、これをみこころにかなう者にお与えになることを知るようになります。」(ダニエル4:25新改訳)

ネブカドネツァル王は晩年(ばんねん)、悲惨な病気になった。その傲慢(ごうまん)な心を神に撃(う)たれた彼は、牛のように草を食べ、動物といっしょにはだかで起き伏しした。世界最大の帝国・バビロンの王が、四つん這いになり、糞尿にまみれ、野の動物たちといっしょに草を食べている姿、想像しただけでもあわれな姿が目に浮かぶではないか。▼しかし一面、彼は全能者からあわれみを受けた存在だったともいえる。というのは、歴史の中で権力の座に昇(のぼ)りつめて尊大(そんだい)になり、神に対して傲慢な口をきいた支配者たちのほとんどは突然(とつぜん)、悔い改める機会もなくほろびて行ったからだ。たとえばネブカドネツァル王の子、ベルシャツァルは高慢のかぎりをつくし、不敬虔な行動が極に達したとき、一夜にして殺されたのであった(ダニエル5章)。つまり、人間というのは生涯の頂点にのぼったとき、そこで真に謙遜な態度をとれるかどうか、そこが分岐点になるということがわかる。▼ネブカドネツァルは、エベレストの頂上からマリアナ海淵まで一気にすべり落ちたが最後に天の神の存在を知り、ほめたたえる機会が与えられた。神のあわれみを受けたのだった。その意味で、そばに侍(はべ)ったダニエルの存在は大きいといえよう。「その翼は抜き取られ、地から身を起こされて…人間の心が与えられた。」(ダニエル7:4同)

朝の露 <奉献式>

2023-04-12 | ダニエル
「そしてネブカドネツァル王は人を遣わして、太守、長官、総督、参議官、財務官、司法官、保安官、および諸州のすべての高官を召集し、ネブカドネツァル王が建てた像の奉献式(ほうけんしき)に出席させることにした。」(ダニエル3:2新改訳)

バビロン帝国最大の暴君(ぼうくん)・ネブカドネツァル王、だがもしかすると、彼は猜疑心(さいぎしん)のかたまり、小心者(しょうしんもの)だったのかもしれない。ダニエルの神を偉大と認めながら、一方では帝国民の忠誠心(ちゅうせいしん)を自分一人に集中させるため、金像を作り、大奉献式を計画したとも想像できる。不安でしかたがなかったのだろうか。▼ともあれ、この奉献式は黙示録の予型といえるだろう。終末の時代、反キリストとその副官である偽預言者(にせよげんしゃ)は全世界を統一支配し、自分に対する完全な忠誠を誓わせるための礼拝を強要する。「また、この獣(偽預言者)は、あの獣(反キリスト)の前で行うことが許されたしるしによって、地に住む者たちを惑わし、剣の傷を受けながらも生き返ったあの獣の像(反キリストの像)を造るように、地に住む者たちに命じた。それから、その像に息を吹き込んで、獣の像がものを言うことさえできるようにし、また、その像を拝まない者たちをみな殺すようにした。」(黙示録13:14,15同)▼こうして大患難時代に人類は二つに分かれ、獣礼拝を拒否して殉教(じゅんきょう)する人々、生き残るために獣の像を拝む人々のどちらかに属することになる。