ファチマの聖母の会・プロライフ

お母さんのお腹の中の赤ちゃんの命が守られるために!天主の創られた生命の美しさ・大切さを忘れないために!

「急進的な産児制限」の導入

2018年09月07日 | プロライフ

「急進的な産児制限」の導入から転載

●「急進的な産児制限」は、第十四条に定められた、特定の医師に認可される「人工妊娠中絶」によって実現する。「人口削減」を目的とした中絶の導入である。”子どもが邪魔になる”ことを前提とした”間引き”の合法化である。今でもこの法の骨子と法の精神は生きている。

●優生保護法とは、戦前の国民優生法の流れを汲んだ、遺伝的疾患の「断種」を主たる目的とした法律だった。その手段として不妊手術だけでなく、人工妊娠中絶の導入が画策された。1948年7月13日に成立したこの法律は、それ以上にもっと不可解で不愉快な内容をともなっていた。

●第十三条において中絶が認められる場合として、いわゆる「強姦による妊娠」という極限状況に加え、以下の二つの規定が設けられた。
「分娩後一年以内の期間に更に妊娠」した場合、
「現に数人の子を有している者が更に妊娠」した場合がそれである。
つまるところ、「年子」と「三人目」は堕ろせ(る)、とされたのだ。

●あえて(る)と括弧に入れたのは、善良な市民にとってこの規定は、ほとんど(る)が消え、命令形として受け止められるに等しい性質の法制化だったからである。

●世界に先がけた日本の中絶合法化は、女性の権利とか個人の自由とかの問題ではなく、あくまでも人口削減のための奨励策だった。

●この規定が法律の文面から消えた後も、このときのマインドセットは社会から消えてなくならない。今でも妊娠した多くの女性に、年子と三人目の壁が立ちはだかる。

●年子と上に二人以上兄姉のいる人の背筋を凍らせるこの規定は、施行後すぐさま改正論議を呼ぶ。年子と三人目だけでは人口削減が進まないとばかりに、こんどは一人目の子でも二年ぶりの子でも、あらゆる都合の悪い子どもを標的にする。

●1949年6月24日、優生保護法最初の大改正。年子と三人目はターゲットでなくなり、中絶を認める規定は「妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母胎の健康を著しく害する恐れのある場合」の一文にまとめられた。この「経済的理由」こそ正に打ち出の小槌である。もはや年子でなくても一人目でも、事実上理由なくあらゆる中絶が認められることになった。同時に、産まれる前の子どものいのちはもれなく、「経済的理由」という名の親たちの現在の都合と天秤にかけられることになった。

●ジンマーマン神父の証言によれば「ほとんどの家庭で日常茶飯事として人工妊娠中絶が行われる」ようになり、「家族計画の約三分の二は人工避妊でなく人工妊娠中絶によって達成」されることになる。

●「人口爆発」を唱える得体の知れないアメリカの専門家たちと日本のプロパガンダマスコミをつなぐ仕掛け人がいた。戦後初の女性議員となり、後には東京都名誉都民となった加藤シズエ衆議院議員である。優生保護法を立案した四人の国会議員の一人だが、加藤は戦前にアメリカ留学の経験があり、そこで女性運動の草分けであるマーガレット・サンガーと出会っている。

●サンガーは有色人種の切捨てを本気で主張した人種差別主義者で、ナチスにも影響を与えたと言われるほどの過激な優生思想の持ち主だった。たしかにサンガーが家族計画の普及を目的に創設した団体Planned Parenthoodは、今日ではオバマ大統領が全面的に支援する全米最大手の中絶クリニックチェーンへと成長を遂げている。しかしサンガー自身が中絶をよしとすることは生涯なかった。中絶を産児制限の手段と認めることはなかった。Planned Parenthoodが中絶事業に乗り出すのは、創設者の没後、1970年代以降のことだ。人を人とも思わない冷淡なレイシストではあっても、サンガーは中絶に関してはシロである。



「急進的な産児制限」の導入
「急進的な産児制限」の目論見は、この法律の十四条に定められた、特定の医師に認可される「人工妊娠中絶」によっていとも簡単に実現するところとなった。「人口削減」を目的とした中絶の導入である。”子どもが邪魔になる”ことを前提とした”間引き”の合法化である。今ならこんな趣旨の法の成立などありえないだろうが、今でもこの法の骨子と法の精神は生きている。

そもそも優生保護法とは、戦前の国民優生法の流れを汲んだ、遺伝的疾患の「断種」を主たる目的とした法律だった。その手段として不妊手術だけでなく、人工妊娠中絶の導入が画策されたのである。「断種」とはまたその言葉からして気が滅入る。遺伝学が未発達の時代だったとはいえ、優生思想の具現化などもってのほかである。しかし、1948年7月13日に成立したこの法律は、それ以上にもっと不可解で不愉快な内容をともなっていた。

優生保護の観点から中絶が認められる具体的な疾患が規定されたのだが、それ以外にも、十三条において中絶が認められる場合として、いわゆる「強姦による妊娠」という極限状況に加え、とってつけたように以下の二つの規定が設けられた。

「分娩後一年以内の期間に更に妊娠」した場合、および「現に数人の子を有している者が更に妊娠」した場合がそれである。

つまるところ、「年子」と「三人目」は堕ろせ(る)、とされたのだ。

世界に先がけた日本の中絶法バージョン1は、あろうことか、生々しいほど具体的に年子と三人目(以降)を標的にしたのである。

あえて、(る)と括弧に入れたのは、善良な市民にとってこの規定は、ほとんど(る)が消え、命令形として受け止められるに等しい性質の法制化だったからである。世界に先がけた日本の中絶合法化は、女性の権利とか個人の自由とかの問題ではなく、あくまでも人口削減のための奨励策だったことを見落としてはならない。ジンマーマン神父の記述にある、三人目の赤ちゃんに向けられた敵意は“合法的に”醸し出された世間の目だったのだ。

この規定が法律の文面から消えた後も、このときのマインドセットは社会から消えてなくならない。今でも妊娠した多くの女性に、年子と三人目の壁が立ちはだかる。結婚している夫婦であっても、年子は世間体が悪いから堕ろすようにと親親戚から圧力がかかるといった話は珍しくない。また先日の西日本新聞の記事に、三人目が産めなくて後悔する母親がリアルに登場する。

年子と上に二人以上兄姉のいる人の背筋を凍らせるこの規定は、施行後すぐさま改正論議を呼ぶ。ただしくは”改正”ではなく、”改悪”に向けて。中絶推進派の攻勢は止まらない。年子と三人目だけでは人口削減が進まないとばかりに、こんどは一人目の子でも二年ぶりの子でも、あらゆる都合の悪い子どもを標的にする。

1949年5月、朝日新聞に「解決迫られる人口問題」と題した座談会の抄録が掲載された。ここで中絶推進派の急先鋒・林 髞(たかし)は「現在の人口を四割減らすのが急務だ」とし、あわせて「社会の浄化」のために「妊娠しても堕ろすことが出来るなら、二十年後には大体パンパンガールの八十%、ヨタ者、やくざの八十%が減ると見込んでいる」と堂々と持論を述べている。

目を疑いたくなるこんなトンデモ発言が大新聞の活字になるのである。今なら林(当時慶応大学の大脳生理学の教授)が公職追放になるのはおろか、林を後押しする姿勢をみせた朝日新聞は発行禁止だろう。ところがトンデモどころか、林の主張の方向に世論は動かされ、同年、優生保護法は中絶推進派の思惑どおりのバージョンアップに成功する。

1949年6月24日、優生保護法最初の大改正。年子と三人目はターゲットでなくなり、中絶を認める規定は「妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母胎の健康を著しく害する恐れのある場合」の一文にまとめられた。この「経済的理由」こそ正に打ち出の小槌である。もはや年子でなくても一人目でも、事実上理由なくあらゆる中絶が認められることになった。同時に、産まれる前の子どものいのちはもれなく、「経済的理由」という名の親たちの現在の都合と天秤にかけられることになった。

こうして、ジンマーマン神父の証言によれば「ほとんどの家庭で日常茶飯事として人工妊娠中絶が行われる」ようになり、「家族計画の約三分の二は人工避妊でなく人工妊娠中絶によって達成」されることになる。目論見どおりジェノサイドは遂行されていく。

しかし、ここで、ひとつの大きな疑問に直面する。そもそも産児制限とは、避妊をおこなうことであり、不妊手術という極端な方法まで含む人工避妊の徹底によって実践されるものである(後に世界を席巻する産児調節ピルの危険についてはここでは触れない)。「中絶による産児制限」などという発想は、当時は世界の誰も想像すらできないことだった。“産児制限の母”と称された、かのマーガレット・サンガーでさえも。

「人口爆発」を唱える得体の知れないアメリカの専門家たちと日本のプロパガンダマスコミをつなぐ仕掛け人がいた。戦後初の女性議員となり、後には東京都名誉都民となった加藤シズエ衆議院議員である。優生保護法を立案した四人の国会議員の一人だが、加藤は戦前にアメリカ留学の経験があり、そこで女性運動の草分けであるマーガレット・サンガーと出会っている。

サンガーに傾倒していた加藤は、その来日の手引きもしながら、サンガーを時の人に仕立てあげる。今で言えばマザー・テレサと同じくらいマーガレット・サンガーは日本で有名人となる(両者の言動が水と油ほど違っているとしても)。小学生たちは産児制限という言葉とセットで「サンガー女史」という名前も諳んじた。加藤の思惑どおり、日本はサンガーの思想を国の法律として実践する世界で最初の国となったのである。

サンガーは有色人種の切捨てを本気で主張した人種差別主義者で、ナチスにも影響を与えたと言われるほどの過激な優生思想の持ち主だった。たしかにサンガーが家族計画の普及を目的に創設した団体Planned Parenthoodは、今日ではオバマ大統領が全面的に支援する全米最大手の中絶クリニックチェーンへと成長を遂げている。しかしサンガー自身が中絶をよしとすることは生涯なかった。中絶を産児制限の手段と認めることはなかったのである。

Planned Parenthoodが中絶事業に乗り出すのは、創設者の没後、1970年代以降のことだ。人を人とも思わない冷淡なレイシストではあっても、サンガーは中絶に関してはシロである。

サンガー=産児制限=中絶=人口削減の達成

しかしながら当のサンガーも与り知らぬところで、日本で産児制限と中絶がつながれてしまう。でっちあげである。国民はだまされたのである。加藤シズエのPRの才能は、電通もひれ伏すほどだったかもしれないが、事実関係の検証もないままこれを喧伝したマスコミの責任は大きい。

日本は、戦後の混乱期のどさくさに乗じて、まんまと中絶を産児制限の方法として合法化するという離れ業をやってのけた。かつてソ連で女性を労働力として確保するために中絶を合法とする時代があったものの、スターリンの時代になると禁止される。第二次世界大戦終了時点において、主要国で中絶を合法としていた国はない。(つづく)

激しいレイプの末に妊娠した12歳の少女。 中絶を選ばなかった彼女が得たもの。

2018年09月06日 | プロライフ
激しいレイプの末に妊娠した12歳の少女。 中絶を選ばなかった彼女が得たもの。からの転載

●リアナ・レボレドは12歳の時、激しい暴行を受けてレイプされた。

●医師はリアナに中絶は当然の権利であると説得した。「しかし中絶すればあのレイプが忘れられて自分の痛み苦しみを和らげることができるのか?」赤ちゃんのいのちを終わらせることは誰のためにもならない。

●レイプはリアナさんの人生を生き地獄に変えた。どれだけ洗い流そうと必死になっても心の闇をぬぐい去ることはできない。この苦悩から逃れるためには自殺の二文字が浮かぶ。しかし彼女は、自分のことだけを考えていたらダメ、自分のからだの中で芽生えた小さないのちのことを考えなければいけないと思う。

●しかし、今35歳のリアナは、生まれた娘が自分のいのちを救ってくれたことを、あのとき死に物狂いで求めた癒しを与えてくれたことを理解している。「2つのいのちが救われた。私は娘のいのちを救った。娘が私のいのちを救ってくれた。」レイプの後の自分の人生に明確に目的と意味を見出せたのは、もうすぐ大学を卒業する23歳になる娘のおかげだ。「“ママ、いのちをくれてありがとう”って娘が言ったのは4歳だった。そのとき私は確信した。この子が私を再生させてくれたんだって」

●リアナは娘のいない人生を想像もできない。それによって娘を得て愛することができるためならば、もう一度あの屈辱も痛みも苦しみもぜんぶ耐えることができると言う。「その現実(レイプ)がどれだけ絶望をもたらそうと、娘を心から愛するために、それに耐えねばならないのだとしたら、私はもう一度でもその現実を受け入れる」



激しいレイプの末に妊娠した12歳の少女。 中絶を選ばなかった彼女が得たもの。

リアナ・レボレドさんはそのとき12歳。メキシコシティーの家の近くを歩いていると、突然2人組の男にクルマで連れ去られ、激しい暴行を受けてレイプされる。顔がわからなくなるほどの半死の状態で発見されたリアナさん。「ほんとうに恐かった。もう殺されると思った」と当時を振り返る。

事件後、発見されたのは傷ついたリアナさん本人だけではなかった。彼女の中に誕生したひとつの新しいいのちもともに。

医師はリアナさんにレイプの“副産物”を抱え続ける必要はないことを伝える。この先、あの忌まわしい夜の思い出を引きずって生きていかなくていいのだからと。中絶は当然の権利であることを彼女は納得する。

しかしリアナさんは医師に問う。中絶すればあのレイプが忘れられて自分の痛み苦しみを和らげることができるの? 医師が「いいえ」と答えたとき、彼女は悟る。赤ちゃんのいのちを終わらせることは誰のためにもならないことを。

「もし中絶によって何も癒されないんだったら、中絶に意味はないでしょう」と彼女は言う。

「ただ誰かが私のからだの中にいることはたしか。生物学的な父親が何者か知らないし知りたくもないけれど、その子は私の子。私の中で育っている。その子が私を必要としているのはたしかなこと。だから私にとってもその子は大切…それで(養育のために)、仕事を見つけて働かなくちゃと思ったの」

レイプはリアナさんの人生を生き地獄に変えてしまった。どれだけ洗い流そうと必死になっても心の闇をぬぐい去ることはできない。この苦悩から逃れるためには他に方法はないんじゃないかと、12歳の少女の脳裏に自殺の二文字が浮かぶ。しかし彼女は、自分のことだけを考えていたらダメ、自分のからだの中で芽生えた小さないのちのことを考えなければいけないと思うようになる。

今35歳のリアナさんは、娘さんが自分のいのちを救ってくれたことを、あのとき死に物狂いで求めた癒しを娘さんが与えてくれたことをはっきり理解している。

「2つのいのちが救われたの。私は娘のいのちを救った。けれど、娘が私のいのちを救ってくれた」とリアナさん。

レイプの後の自分の人生に明確に目的と意味を見出せたのは、もうすぐ大学を卒業する23歳になる娘のおかげだと。

「幼い子どもが、いのちが与えられていることを幸せだって口にするなんてなかなか考えられないでしょう。でも本当なの。“ママ、いのちをくれてありがとう”って娘が言ったのは4歳だった。そのとき私は確信した。この子が私を再生させてくれたんだって」

「娘はいつもそばにいてくれた。娘は私に本物の愛を教えてくれたかけがえのない人。これからもずっと娘に感謝するわ」とリアナさん。

リアナさんは娘さんのいない人生なんて想像もできないと言う。驚くべきことに彼女は、それによって娘さんを受け入れて愛することができるようになるならば、もう一度あの屈辱も痛みも苦しみもぜんぶ耐えることができると言う。

「その現実(レイプ)がどれだけ絶望をもたらそうと、娘を心から愛するためにはそれに耐えねばならないのだとしたら、私はもう一度でもその現実を受け入れる」

現在ロサンゼルス在住のリアナさんは、レイプされて妊娠した女性を支援するNPOを立ち上げ、どんないのちも愛されるに価するという大切なメッセージを世界に伝えている。

※ソース https://www.lifesitenews.com/news/woman-who-chose-life-after-brutal-rape-at-12-has-no-regrets-says-her-daught



1948年7月13日をめぐる狂想曲

2018年09月05日 | プロライフ

1948年7月13日をめぐる狂想曲からの転載

●1948年7月13日、優生保護法が成立する。世界を唖然とさせた、人工妊娠中絶を認めた法律である。この法律の施行によって「団塊」のベビーブームは終わる。

●日本の戦後とわたしたちの今日を決定づけた「1948年7月13日」をもたらした力学は、アメリカの意思とは無関係に突き進んだ。人口削減の手段として中絶を導入するなどという悪魔的な発想は「鬼畜米英」だって思いもしなかった。世界に先がけて中絶法を成立させ、その後各国の中絶合法化の流れに影響を及ぼした責任は、すべて日本にある。とりわけマスコミの責任は大きい。

●メディアが事実を歪曲し人々を煽りたてる状況は、当時も今日と何ら変わるところはなかった。なかでも毎日新聞が「総力を挙げて日本の赤ちゃん攻撃の先頭に立ち」、戦時中の「生めよ、増やせよ」政策の逆を行くキャンペーンを張った。

●「急進的な産児制限」とはすなわち中絶のことである。それが「政治的に正しい」=ポリティカルコレクトネス(PC)であるという世論をマスコミがでっちあげてしまうのだ。いまだにその恐怖の延長線上にわたしたちの今日があるという事実がさらに恐ろしくて哀しい。新聞、ラジオによる赤ちゃんを攻撃するキャンペーンは目覚ましい成果をあげる。「増やすな、産むな」が、国民を総動員する新しい合言葉となり、世紀の立法へと突き進む。

●1948年、専門家とマスコミが作り上げた紋切り型の見解は、日本は8,000万人以上の人口を養うことができない、それ以上人口が増えると、1)永久に合衆国の食糧援助に頼る、2)永久に人間以下の生活水準に甘んじる、3)生活空間を求めて再び戦争に走る、という三つの選択肢しかない、だった。

●デマが新聞社説等で大まじめに吹聴された当時の世相は戦時中より悲惨ではないか。それまでの交戦国に対する敵意が、今度は自国の赤ちゃんとお母さんに向けられる。予防的見地に基づく「ジェノサイド」を正当化する屁理屈が用意され、それをマスコミが金科玉条のごとくに祭り上げる。日本の日本による日本のためのジェノサイドである。狂気の沙汰と言うほかない。自虐史観という言葉があるが、まさに自虐を実践してしまったのが戦後の日本なのだ。

●当時は小学生でも「産児制限」という言葉は知っているのが当たり前の世の中だった。それ無しには日本に未来は無いと小さな頭にも刷り込まれるほど「プロパガンダ」は徹底していた。

●中絶件数は数年のうちに10倍になり、年間100万を超えるようになる。大量殺戮をもたらした不幸な戦争が終わった後で。平和になったはずの世の中で。




1948年7月13日をめぐる狂想曲

note for life (2)

南山大学の教授職等をつとめ、日本に倫理神学の礎を築いたアントニー・ジンマーマン神父が、宣教師として来日したのが1948年1月のことだった。

その年の7月13日、優生保護法が成立する。世界を唖然とさせた、人工妊娠中絶を認めた法律である。 この法律の施行によって「団塊」のベビーブームは終わる。

「麻痺し、萎縮し、極貧に陥った日本に600万の兵隊と引き揚げ者が海外から帰国してきて、食糧配給の列に加わりました。そして、再会した夫婦が戦後のベビーブームをもたらしたのは当然の成りゆきでした。人口は1945年の7,200万から1948年は8,000万に膨張し、人口学の専門家群が一夜の中に出現し、声を合わせて、人口調節運動の必要を説いたのです」と記すジンマーマン神父は、優生保護法成立前後の当時の日本の混乱状況をもっとも冷静にウォッチできた人物である。その頃の多くの資料が失われている中で、神学者として高い評価を得た外国人宣教師の証言は貴重である。

日本の戦後の人口問題についてジンマーマン神父がのこした論考を追ってみる。

「1948年、日本は人口過剰と産児制限の話で持ちきりでした。ダグラス・マッカーサー元帥が率いる連合軍の司令部は、そのような日本の状態を見極めるために、強力なアメリカ人専門家のチームを動員しました。(…)その中の何人かは公然と日本の経済・社会的生存のためには、産児制限が必要であると主張したものです」とジンマーマン神父も述べているとおり、GHQの政策として優生保護法の導入が図られたとする見方は少なくない。中絶の合法化は、敗戦国日本のさらなる弱体化を意図した戦勝国アメリカによって押し付けられた占領政策であると。

しかしながら占領政策憂国論は的外れだったようである。ジンマーマン神父によれば、マッカーサー元帥は公的には彼らの勧告を採用せず、公開書簡で、彼らの考えが「個人的なものであり、占領軍の権威ある意見とか見解に基づくものではない」と発表したというのだ。

この指摘は極めて重要である。日本の戦後とわたしたちの今日を決定づけた「1948年7月13日」をもたらした力学は、アメリカの意思とは無関係に突き進んだのだ。人口削減の手段として中絶を導入するなどという悪魔的な発想は「鬼畜米英」だって思いもしなかった。世界に先がけて中絶法を成立させ、その後各国の中絶合法化の流れに影響を及ぼした責任は、すべて日本にある。とりわけマスコミの責任は大きいだろう。

しかし、アメリカ人の専門家による報道へのリークは、全国の報道関係者にもてはやされ、結局、アメリカが日本に産児制限政策を採用することを迫っている、ということに、なってしまいました。日本の諸悪は人口過剰によるもので、解決策として急進的な産児制限を主張することが政治的に正しいと、多くの人が考えるようになりました。

ジンマーマン神父が描く報道関係者の暴走は、とても60年以上も昔の話とは思えない。メディアが事実を歪曲し人々を煽りたてる状況は、当時も今日と何ら変わるところはなかったということだ。なかでも毎日新聞が「総力を挙げて日本の赤ちゃん攻撃の先頭に立ち」、戦時中の「生めよ、増やせよ」政策の逆を行くキャンペーンを張ったのだという。

「急進的な産児制限」とはすなわち中絶のことである。それが「政治的に正しい」=ポリティカルコレクトネス(PC)であるという世論をマスコミがでっちあげてしまうのだ。なんと恐ろしい。いや、いまだにその恐怖の延長線上にわたしたちの今日があるという事実がさらに恐ろしくて哀しい。

新聞、ラジオによる赤ちゃんを攻撃するキャンペーンは目覚ましい成果をあげる。「増やすな、産むな」が、国民を総動員する新しい合言葉となり、世紀の立法へと突き進む。

1948年、専門家とマスコミが作り上げた紋切り型の見解は、日本は8,000万人以上の人口を養うことができない、それ以上人口が増えると、1)永久に合衆国の食糧援助に頼る、2)永久に人間以下の生活水準に甘んじる、3)生活空間を求めて再び戦争に走る、という三つの選択肢しかない、というものでした。

この外国人宣教師の明快な分析に誰か反論できるだろうか。これが本当なら、国の弱体化ひいては破滅に向かう道を日本は自ら選び取ったのかと呆れるしかない。こんなデマが新聞社説等で大まじめに吹聴された当時の世相は戦時中より悲惨ではないか。それまでの交戦国に対する敵意が、今度は自国の赤ちゃんとお母さんに向けられる。

予防的見地(?)に基づく「ジェノサイド」を正当化する屁理屈が用意され、それをマスコミが金科玉条のごとくに祭り上げる。日本の日本による日本のためのジェノサイドである。狂気の沙汰と言うほかない。自虐史観という言葉があるが、まさに自虐を実践してしまったのが戦後の日本なのだ。

ジンマーマン神父の述懐において、日本が集団ヒステリー状態に陥った当時の様子を生々しく伝える描写がつづく。

人口減を提唱するプロパガンダは、ちょうど日本上空を吹き荒れる台風のように、手が付けられなくなっていました。北海道北端の稚内から、九州南端の鹿児島に至る日本の隅から隅まで、産児制限の方法が教えられるようになりました。劇場ではそのやり方を教える映画が上映され、PTAでもその件で話し合いがなされ、新聞も毎日、関連記事を書き立てるという時代でした。

小さないのちを守る会の辻岡健象代表によれば、当時は小学生でも「産児制限」という言葉は知っているのが当たり前の世の中だったという。それ無しには日本に未来は無いと小さな頭にも刷り込まれるほど「プロパガンダ」は徹底していたのだ。

1948年7月13日に優生保護法は成立するが、その後のさらなる混乱状況について、ジンマーマン神父は次のようにリアルに記す。悪夢が現実になった。

約8,000人の産婦人科医が、人工妊娠中絶手術を施す資格を得るために、所定の課程を終了しましたが、これは正に打ち出の小槌でした。助産婦は赤ちゃん減少の影響をもろに受け、時には縄張まで定めて、コンドームを売って収入を補ったものです。

産ませることが仕事の助産師が産ませないために奔走するとは世も末である。法律の施行と同時にジェノサイド計画は進行する。中絶件数は数年のうちに10倍になり、年間100万を超えるようになる。大量殺戮をもたらした不幸な戦争が終わった後で。平和になったはずの世の中で。

子供を少なく産むことこそ社会に対する義務であると、母親たちが考えるほどでした。「政府の指示に従わないで、恥知らずにも次から次に子供を産む」人並みでない女性は、すぐに悪口を言われました。住まいも、一律に二子家庭がやっと入れるように小さく作られるようになりました。隣に三人目の赤ちゃんの泣き声が聞こえようものなら、隣人たちはお祝いの喜びではなく、敵意をむき出しにしたものです。

三人目の赤ちゃんが敵視されるのは必然だった。最初に成立した優生保護法は、まさしく「三人目」を標的にしたからである。(つづく)

★アントニー・ジンマーマン神父の引用はその論考「過熱した日本の人口調節」より。Originally an article in Social Justice Review 126, July/August 1994. Translated with permission from the same Institute and the author by Fr. John A. Nariai, Humanae Vitae Research Institute, Japan


「いのち」を選ぶために:今、呼ばれていますーリガヤ・アコスタ博士 (ヒューマン・ライフ・インターナショナル) 講演

2018年08月23日 | プロライフ
PRO-LIFE Activism - Call of the Times / 「いのち」を選ぶために:今、呼ばれています(リガヤ・アコスタ博士 (ヒューマン・ライフ・インターナショナル) 講演)





Part 1: PRO-LIFE Activism - Call of the Times - by Dr. Ligaya Acosta (Human Life International) 「いのち」を選ぶために:今、呼ばれています ー リガヤ・アコスタ博士 (ヒューマン・ライフ・インターナショナル)




Part 2: 「いのち」を選ぶために:今、呼ばれています  ー リガヤ・アコスタ博士 (ヒューマン・ライフ・インターナショナル)

カトリック麹町聖イグナチオ教会 English Center主催
場所 : 岐部ホール 会議室 404 -
日時:7/08(日) 14:30~

Location: St. Ignatius Church, English Center, Tokyo, Japan
Location: Rm. 404, Kibe Hall -
Sunday July 8th, 2018, 2:30pm~

「いのち」を選ぶために:今、呼ばれています プロライフ=「いのち」を選び守ることの大切さ、なぜそうするのか、その動機に気づかせ、避妊、中絶の問題、世界的なアンチライフ=死の文化がどのように広められているのか、理解を進める。講師自身の回心の体験を語る。
"Pro-Life Activism: Call of the Times" - a talk that inspires/elicits more dedication and commitment to the pro-life cause, and enable them to gain more understanding on the evils of contraception and abortion and the global anti-life agenda......includes a sharing of my own personal conversion from being rabidly pro-choice to being staunchly pro-life. Dr. Ligaya Acosta 

リガヤ・アコスタ博士 Human Life International アジア・オセアニア地域ディレクター Asia-Oceania Regional Director of Human Life International (HLI) フィリピン保健省に長年勤務、2004年に「自然な家族計画」の研修を受けたことをきっかけに、それまで信じ進めてきた避妊など産児制限の対策、人口過剰の神話の深刻な誤り、偽りに気づく。大きな回心を経験し、現在は生命尊重pro-life、家庭の価値を広めるため Human Life International のメンバーとして活動、フィリピン国内や世界各地に招かれ、若者、家族、神学生・司祭、修道者などさまざまな聴衆のために講演を行う。
Dr. Acosta worked many years at Department of Health in the Philippines. Her life changed when she was designated as Program Manager for Natural Family Planning in early 2004, where she first trained with the U.S. based Family of the Americas Foundation. Here, she discovered the deadly deception of contraceptives and sterilization and the myth of overpopulation. She experienced a major conversion, which led her to become a staunch pro-life activist. As Regional Director of HLI, Dr. Acosta travels in the Philippines and around the world to give talks to various audiences, young people, families, religious and clergy. Human Life International
教皇庁の認可を受けたカトリックの国際団体。生命尊重・家庭の価値を広めるために研修会、講演活動、メディア資料制作を行っている。
HLI is an international pro-life organization recognized by the Holy See. It promotes values of life and family, organizing conferences, talks, production of media resources.




総人口、9年連続減少=生産年齢層は6割切る-総務省

2018年07月14日 | プロライフ
総人口、9年連続減少=生産年齢層は6割切る-総務省

総務省が11日公表した住民基本台帳に基づく2018年1月1日現在の日本人の総人口は、前年同期比0.30%(37万4055人)減の1億2520万9603人で、9年連続の減少となった。

減少幅は過去最大。東京圏を除くほとんどの地域で人口が減り、年齢別では15~64歳の生産年齢人口が初めて全体の6割を切った。

全国の出生者数は2年連続で100万人を割る94万8396人で、過去最少を更新。11年連続で死亡者数が出生者数を上回り、過去最多を更新する39万2378人の自然減となった。

三大都市圏の人口は6453万4346人と過去最多を更新し、全国の人口に占める割合は12年連続で50%を超えた。ただ、名古屋圏と関西圏では人口減少が続き、東京一極集中の傾向が鮮明となっている。

都道府県別で見ると、人口が増えたのは東京圏の1都3県と愛知、沖縄両県の6都県のみで、増加率は東京(0.55%)、沖縄(0.20%)、埼玉(0.06%)の順で高かった。逆に減少率が高かったのは秋田(1.39%)、青森(1.19%)、山形(1.07%)の順で、東北地方で減少が目立った。市町村別では、全国1747団体中1469団体で人口が減った。

年齢階層別で見ると、15~64歳の生産年齢人口が総人口に占める割合は59.77%。1994年以降、毎年減少傾向にある。

外国人住民の人口は249万7656人。前年比17万4228人(7.50%)増で、過去最大の伸び幅だった。日本人と合わせた総人口は0.16%減の1億2770万7259人となった。(2018/07/11-17:09)








日本に必ず来る「人口急減」がもたらす大恐怖

2018年04月05日 | プロライフ
日本に必ず来る「人口急減」がもたらす大恐怖」より転載

●2030年から2035年にかけて、すべての都道府県で総人口が減少する。
●2015年時点から比較すると、2045年にはもっとも減少する秋田県は約4割減少し、2人に1人は65歳以上の高齢者になる。
●東北地方の高齢化の進行度合いは深刻。総人口が5000人未満になる市区町村が全体の4分の1以上を占める。

●18歳から26歳までの世代の人口は今後10年ごとに約100万人ずつ減少していく。
●結果として、消防、警察、自衛隊の人手も不足する。上下水道や道路などの土木インフラや小学校のような教育施設を維持することも危うくなる。
●約30年後には、学校がゼロとなる「ゼロ自治体」が小学校で846、中学校で986発生する。これは現在の市区町村数の半分程度に相当する。

●医療、介護や年金などの社会保障給付費は、2016年度の116.2兆円が2041年度には190.7兆円に増える。
●医療保険医療費(国民医療費から自己負担や公費負担などを除いた医療費)は、2015年度の39.5兆円が2025年度には53.8兆円、約36%増加する。
●健保組合の被保険者1人あたり保険料は、2015年度の47.6万円が、2025年度には65.7万円に急増する。

●各種の長期予測が示す「不都合な真実」を直視しなければならない。私たちの覚悟と知恵が問われている。



日本に必ず来る「人口急減」がもたらす大恐怖
公的人材さえ不足し、社会保障費も膨張する
山田 徹也 : 東洋経済 記者

2040年には団塊ジュニア世代がすべて65歳以上に

2030年から2035年にかけて、すべての都道府県で総人口が減少し、2045年には秋田県の2人に1人は65歳以上の高齢者になる――。

国立社会保障・人口問題研究所がこの3月に発表した地域ごとの人口予測は衝撃的だ。2015年時点の人口を100としたときに、2045年の人口がどのくらいに減少するかをみると、もっとも減少する秋田県は約4割減少し、現在102万人の秋田県の総人口は60万人になる。

また、東北地方の高齢化の進行度合いは深刻で、65歳人口の割合の高い上位5県はすべて東北地方が占める。市区町村別にみると、総人口が5000人未満になる市区町村が全体の4分の1以上を占めることも予想されている。

人口減少と高齢化が同時進行すれば、おそらく労働力の取り合いが起きる。飲食・宿泊業や建設、農業などでは今でも人手不足が深刻になっている。しかし、今後は公的分野にも人手不足の波が襲いかかることになりそうだ。

消防、警察、自衛隊の人手も不足する

一例が、「公安系」と呼ばれる消防や警察、自衛隊の採用活動で、自衛隊が現在募集対象にしているのは、18歳から26歳までの若者だ。

しかし、国立社会保障・人口問題研究所の2017年推計によれば、この世代の人口は今後10年ごとに約100万人ずつ減少していくことが予想されている。その対策として、防衛省では「2030年までに全自衛官に占める女性自衛官割合(2016年末で約6.1%)を9%以上にすることを目標にしている」(人事教育局人材育成課)とし、これまで女性自衛官が就くことができなかった陸上自衛隊の普通科中隊や戦車中隊、偵察隊などを2017年4月に開放するなど、女性自衛官の職域を拡大している。

消防も将来の人材確保に取り組んでいる。消防庁によると、管轄人口が3万人未満の消防本部では消防職員の充足率が6割程度しかない(2015年4月時点)。外国人はこれら「公権力の行使」を伴う公務員に就くことはできないが、将来人手不足が深刻になれば、そう言ってもいられないかもしれない。

人口が減少すると、上下水道や道路などの土木インフラや小学校のような教育施設を維持することも危うくなる。

日本政策投資銀行の推計によると、2046年には水道料金を6割以上値上げしないと、独立採算の公営企業として運営されている水道事業は経常赤字に陥る。

また、東洋大学の根本祐二教授の試算では、1学級あたりの児童生徒数(40人)や学校あたりの学級数(12学級以上18学級以下)といった学校施設設置の目安にしたがって試算すると、児童生徒数が3割減少する約30年後には、学校がゼロとなる「ゼロ自治体」が小学校で846、中学校で986発生する。現在、市区町村数は1741あるので、半分程度に相当する。

総合不動産サービス会社・CBREの大久保寛・エグゼクティブディレクターは「外国人労働者が増えるなら別だが、今のように従業員が1カ所に集まる形でのオフィス需要は減少し、みんなが丸の内でなくてよくなるかもしれない」と話す。人口減少はオフィス需要を通じて地価に影響を与えうる。

社会保障給付費は116兆→190兆円に

医療や介護など社会保障分野でも数十年単位の長期予測が存在する。

国は社会保障にかかわる費用について、2012年に2025年度までの数字を試算して以降、手を付けていない。

しかし、総合研究開発機構(NIRA)が今年3月に公表した推計によると、医療、介護や年金などの社会保障給付費は、2016年度の116.2兆円が2041年度には190.7兆円に増えると予測している。

都心部でも今のように人でごった返す光景も見られなくなるかもしれない

健康保険組合連合会(健保連)が2017年9月に公表した医療費の将来予測では、医療保険医療費(国民医療費から自己負担や公費負担などを除いた医療費)は、2015年度の39.5兆円が2025年度には53.8兆円、約36%増加するという。それに伴い、健保組合の被保険者1人あたり保険料は、2015年度の47.6万円が、2025年度には65.7万円に急増する(事業主負担を含む)。

問題はこうした負担の増加に日本社会や日本経済が耐えられるかだ。健保連の松本展哉・企画部長は「これ以上保険料が上がると、雇用や個人消費など経済にも影響を与えかねない」と懸念する。

毎年巨額の財政赤字を垂れ流し、すでにGDPの200%を超える公的債務を抱える日本の財政は、人口減に伴う経済社会の激変に耐えられそうもない。財務省が2014年に公表した2060年度までの財政の長期推計によると、現実の経済の近い前提(実質経済成長率1%、名目経済成長率2%で、2020年度のプライマリーバランスは赤字)の場合、たとえば、2021年度に対GDP比で12.89%の財政収支改善を行わないと、2040年度過ぎに対GDP比の債務残高は500%まで膨張し、借金は永遠に返済できなくなる。

対GDP比で12.89%という金額は、2021年度時点の数字(2021年度の名目GDPは640兆円)に直すと約82兆円に相当する。仮にこの時点の消費税収を税率1%で3兆円とするなら27%相当だ。消費税率を8%から10%に引き上げるのでさえ2度も延期し、3度目の延期もあるかもしれないとされる中、これほどの消費税率は政治的にはほとんど不可能な数字だと言える。

各種の長期予測が示す「不都合な真実」をどこまで直視できるか。人口減少の荒波を超えていく、私たちの覚悟と知恵が問われている。



「憧れの世田谷」に取り残された、高齢者たちの残酷な現実 実は、日本の未来の姿がここにある

2018年02月23日 | プロライフ
「憧れの世田谷」に取り残された、高齢者たちの残酷な現実
実は、日本の未来の姿がここにある
からの転載


若い活力がみなぎる東京23区のなかに、高齢化進展度が国の平均に迫る3.3ポイントを示す区がある。世田谷区だ。2010年まで、同区の高齢化率は23区中20位前後で推移していたが、15年に11位へと急上昇した。


「憧れ」のなかで見落とされていたもの

リクルート住まいカンパニーの「みんなが選んだ住みたい街ランキング(関東版)」によれば、2017年の「住みたい行政区市」のトップは港区。世田谷区は第2位に名を連ねている。16年も同順位だったが、15年以前はずっと世田谷区が1位だった。

世田谷には「憧れ」という言葉がよく似合う。平均所得水準は、都心3区(千代田、中央、港)と文京、渋谷、目黒に次ぐ7位。持ち家比率は葛飾、台東、荒川、足立の各区に次いで5位。核家族(夫婦のみ、夫婦と未婚の子、ひとり親と未婚の子の世帯)の持ち家比率に限ると2位。東部や下町に比べてはるかに地価が高いことを併せて考えると、資産面で東京のトップクラスに君臨する。

少し古いデータになるが、2010年の国勢調査による世田谷区の大卒者の割合は、都心3区と文京区に次ぐ5位。男性に限ると中央区を抜いて4位となる。

専ら管理業務にあたる会社役員、ベンチャー企業のトップなど専門技術的な仕事を行う会社役員、大企業の部長職など専ら管理業務にあたる正社員を「エスタブリッシュメント3職種」と呼ぶと、その合計割合は所得水準と同じ顔ぶれに続く7位にのぼる。ひと言でまとめるなら、世田谷区は、高所得(高資産)、高学歴、高職種を兼ね備えた「三高のまち」と言える。

加えて世田谷区は、専業主婦の割合が23区中2位と高い。いまでこそ隔世の感があるが、一世代前まで、専業主婦がいる家族は憧れのライフスタイルだった。

高度経済成長期に上京してきた団塊の世代は、男なら世田谷に家を持つことを、女なら世田谷で専業主婦になることを夢み、選ばれた人たちだけがその望みをかなえることができた。そしていま、彼ら彼女らの高齢化と歩を合わせるように、この老舗の高級住宅地で新たな問題が芽生え始めている。…

老人クラブへの加入率が22位と低いのも同じ文脈で理解できる。

筆者の友人の父親は、大企業の重職を務めた人だった。定年してから家に引きこもりがちになった父親に対し、近所に囲碁を楽しむ高齢者の集まりがあることを耳にした友人は、「一度行ってみてはどうか」と勧めたそうだ。ところが、すかさず返ってきた言葉は「あんな奴らと碁が打てるか!」だったという。「三高」のプライドが、老後の生活をガンジガラメにしてしまった象徴的な逸話と言えないだろうか。

かつての栄光を捨てることができない結果が生み出す、一種の「生活習慣病」。私はそれを「世田谷病」と名づけることにした。


世田谷インテリは「老いが早い」

プライドを保ち、妥協せずに生き続けることは、なるほどひとつの人生美学かも知れない。しかし、刺激に欠けた生活は、高齢者の頭と身体を確実に蝕んでいく。その果てに向き合わざるを得ない未来は暗く重い。

要介護・要支援認定者の割合も、重篤な要介護状態にある要介護3以上の認定者の割合も、世田谷区は23区で一番高い。高齢者の「老い」が進んでいるという事実は、「世田谷病」が着実に広がり始めていることを物語っている。

その一方で、世田谷区は入所型高齢者福祉施設の定員充足率(高齢者数に対する施設定員数の割合)が21位、特別養護老人ホームの定員充足率は23区で最低のレベルにある。唯一の救いは、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が多いこと。居住面積あたりの集積密度は有料老人ホームが23区最高、サ高住も3位である。

資産にゆとりがあるのなら、これらは有力な選択肢となる。ただし、そのキャパシティはざっと見積もって5000人分くらいだ。世田谷区には20万人近い高齢者がいるから、世田谷に住むことができた人たちのなかでも、さらに選び抜かれた人でないと、おいそれとは恩恵に浴せない計算になる。

高所得・高学歴・高職種をきわめた「世田谷インテリ」たちは、インテリなるがゆえに、本人が望まない、予想もしなかった家族への負担を強いる人生の終末期を迎えているのである。


プライドの先に潜む末路

いつ来るかもしれない孤独死の恐怖を抱える高齢者のひとり暮らし。その対極となる姿と言えるのは「3世代同居」だろう。政府も「少子化社会対策大綱」に盛り込んで推奨している。同居に問題がないわけではないが、やはり羨ましい老後の形である。23区で3世代同居の高齢者が多いのは、江戸川区、葛飾区、足立区などの東部地区。ひとり暮らしのお年寄りは当然少ない。

一方、世田谷区は、3世代同居の高齢者の割合もひとり暮らしの高齢者の割合も23区中最低。世田谷を除く22区では、3世代同居が多いとひとり暮らしの高齢者が少なくなり、ひとり暮らしの高齢者が多いと3世代同居が少なくなる傾向にあるのに、世田谷区だけは特異なデータが出ている。

3世帯同居もひとり暮らしも少ない世田谷区で一番多いのは、夫婦2人で暮らす高齢者の割合である。子供が巣立ったあとも、ずっと夫婦2人で暮らし続ける姿からは、孤高なプライドが垣間見える。そうした世帯で、配偶者が亡くなったときにいろいろな問題が起きることは容易に想像がつくだろう。

ところが世田谷区では、配偶者と死別してひとり暮らしをしている高齢者の数は、他の区とさほど変わらない。それなのに、高齢者全体に占めるひとり暮らしの割合が23区で最も低いというのはどういうことなのだろうか。

答えは単純で、配偶者と死別した高齢者自体が少ないのである。その割合は港区に次いで下から2番目。男性では一番低い。もちろん、奇跡的に夫婦とも長生きしているということではない。配偶者を失った高齢者たちは「憧れの世田谷ライフ」を手放し、子どもが住むまち(あるいはその近く)へと移っていくのである。

世田谷ライフを謳歌した果てに訪れるのは、そんな悲しい末路である。

東京は、地方に比べると平均所得も学歴も高い。さらに言えば、日本全体がずっと豊かになり、高学歴になった。かつて日本のなかで世田谷区が占めていた地位は、いま世界のなかで日本が占める地位と見ることもできるだろう。

そう考えると、世田谷病はやがて「東京病」へと拡散していき、さらに「日本病」となって蔓延していくのかもしれない。



1000万人単位で人が消える「日本消滅」の危機に打開策はあるのか 『未来の年表』著者が提言

2018年02月21日 | プロライフ
1000万人単位で人が消える「日本消滅」の危機に打開策はあるのか
『未来の年表』著者が提言
からの転載



少子高齢化がこれから本格化するという日本の未来を具体的に描き出し、41万部のベストセラーとなった、『未来の年表─人口減少日本でこれから起きること』。著者・河合雅司氏に「刊行後の反応」を聞いた。


イギリスのTV局からも取材が

─昨年6月の刊行から半年が過ぎましたが、読者からの反響はいかがでしょうか。[…]

60代の男性からいただいたお手紙には、本を読んで、自分やそれよりも上の世代が残した問題の深刻さを痛感し、それを若い世代にツケとして回すことが申し訳ない、といったことが綴られていました。

その方は若い世代に少しでも少子高齢化、人口減少問題を考えてもらいたいと、この本を10冊以上も購入されて、若い方にプレゼントされているそうです。

衆議院議員の石破茂さんは、本がボロボロになるまで読んで、全国の講演先でも薦めてくださっているそうです。野田聖子総務相や松山政司少子化担当相にお会いしたとき、「自民党の同僚議員や官僚に読むよう宣伝していますよ」と話されていました。本当にありがたいことです。

与野党の勉強会や、国交省、総務省、農水省、厚労省、人事院などからも講演や講義をしてほしいという声をいただいています。

先日は、イギリスのTV局からも取材を受けましたよ。世界史上類を見ない日本の少子高齢化は、世界的な関心事となっています。アジア諸国や西欧諸国もこの先、少子高齢化が深刻化していきますからね。

─内容についての感想で、印象に残っているものは?

今の生活が足下から崩れていくような変化に対して、これほど早く影響してくるとは思わなかったという衝撃とともに、将来をかなり悲観的に捉えた読者が多いようですね。そういう方の中には、第2部に書いた「戦略的に縮む」というキーワードをネガティブに捉える方もいます。

「縮む」という言葉には、どうしてもマイナスイメージがあるようです。ある講演では、「演題から“縮む”という言葉を削除してください」と主催者から要請されたことがありました。

高度経済成長を実現させ、豊かになった社会を目にしてきた私より前の世代などまさにそうですが、拡大して数字が伸びることこそが成功だという固定観念があります。

しかし、皆さんは勘違いしているかもしれませんが、この本で提言している「縮む」ということは、決して「衰退」や「負け」を意味しているわけではありません。やりようによっては現状の豊かさをより豊かにもできるし、より日本が世界から尊敬される国になれると思います。[…]

私は楽観論者です。日本の未来を悲観してはいません。


すでに兆候が出始めている

─なぜ人口予測は外れないのかを、改めてお伺いしたいです。

まず、この世に誕生して生活している人たちというのは年齢を重ねていき、大きな災害などが起これば別ですが、日本のように衛生面がしっかりしていて経済力もある国では、一部の世代人口だけが極端に減るということはありません。

1歳の子供が50年後には51歳になることが推定でき、5年後にどれくらい高齢者が増えるかも、20年後にどれくらいの方が亡くなっているかも大まかに計算できます。

人口を変化させる出生数についても、国が発展を遂げて社会が落ち着いてくると、一人の女性が生涯に子供を産む数を示す合計特殊出生率は低下してくるのが通例です。この出生率と出産可能な女性人口などで、将来的な出生数もほぼ割り出せます。

これまでの少子化の影響で、出産可能な年齢の女性が大きく減っていくことが決まってしまっています。これは、政府が掲げる「国民希望出生率1・8」を実現しても、出生数減に歯止めがかからないことを意味します。

そうした人口動態の将来推計をベースに書いた『未来の年表』は、数年の違いはあるかもしれませんが、大きくは外れません。

─実際、本に書かれていることの端緒がすでに起こり始めています。

たとえば、2017年下半期のニュースを拾うと、「2021年 介護離職が大量発生する」に関連して、親族の介護に携わった経験のある管理職の47・5%が「退職を考えたことがある」という民間の調査結果が出ている。

「2030年 百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える」に関しては、山形県の老舗百貨店が1月末に閉店予定ですし、みずほFGが2024年度末までに拠点を約500から約400に減らすと発表しています。

そう、それだけではありません。2020年を機に少子化がぐっと進むと言われていますが、すでに2016年の年間出生数は100万人の大台を割り、17年は94万人ほどとなります。年間出生数が4万人も減るのは危機的状況です。

また、「2026年 認知症患者が700万人規模に」と書きましたが、認知症リスクを高める糖尿病が強く疑われる患者数も2016年調査で推計1000万人に上り、認知症予備軍も右肩上がり。今後も本著で予測する出来事を想起させるようなニュースが、当たり前に出てくるでしょう。

─人口減少、少子高齢化は待ったなしの未来。我々でも身近にできることとして、どんなことがありますか。

まず我々が求められるのは高齢化していく社会への対応でしょう。2022年には団塊の世代の先頭である1947年生まれが75歳となります。並行して、子供が独立して残された老夫婦の一方が亡くなるなどして、高齢の独居世帯がますます増えていきます。

そうなった時、家族で住んでいた広い住居で高齢者ひとりが生活するのは限度があります。人手不足が進み、社会サービスを十分に受けられない可能性もある。子供の手もなかなか借りられません。


今からできる工夫


─民間の企業でもできることは何でしょうか。

たとえば「この仕事は本当に30代の人がやる必要があるの?」という仕事を30代にやらせているケースがたくさんあります。それなら高齢者でもできる、という仕事は山ほどあるはずです。

逆に30代の人達には若い世代にしかできない仕事に特化してもらうことです。そのほうが若い世代からしてもやりがいが出てくるでしょう。単に年齢だけで区分けしていくような働き方を変えるのは、政府の改革を待たずとも経営者の判断や工夫でできる課題だと思います。

企業の工夫で言えば、商品開発の時点から高齢者のニーズを取り込む試みがもっとあっていいと思います。家電メーカーで言えば、8Kなど高画質テレビの開発に躍起になるよりも、小さな音でも聞こえるスピーカーを開発したほうがよい。高齢者には宅配便が鳴らすインターフォンの音が聞こえないっていう方もいますから。駅のエレベーターの数だって今後、増設していく必要が出てくると思います。

─では少子化問題に対して、我々ができることは何でしょうか。

少子化の問題については、家族計画など個々人の価値観に根差しているので、周囲が口を出すのは難しいところがあります。やれるとすれば若い世代の結婚への気運を高めるよう気を遣ったり、子どもを産む喜びや子育ての楽しさを語ったりするとか。

少なくとも「結婚は人生の墓場だ」とかマイナスなイメージを植え付けることはやめる。あとは、これから結婚する世代や子育て世代の転勤をやめてしまうとかね。

─最後に、これからお書きになりたい内容は、どんなものでしょうか?

『未来の年表』ではこれからの日本をかなり俯瞰できたと思っています。[…]


イギリスのテレビ局も驚愕した日本の「国難レベルの人口減少」

2018年02月20日 | プロライフ
イギリスのテレビ局も驚愕した日本の「国難レベルの人口減少」
「この島国で本当にそんなことが…」
から転載



「新書大賞2018」(2月10日発表/中央公論新社主催)で2位に輝いた『未来の年表』は、昨年6月の発売以来、43万部を超える大ベストセラーとなっている。すでに台湾で翻訳出版されるなど、日本が少子高齢化にどう立ち向かうか、世界がその動向を注目している。とくに強い関心を寄せるのは、同じ島国であるイギリスだ。

イギリス人の寄せる関心

「いまの日本は少子高齢化が進み、人口が大きく減り始めています。日本の総人口は約1億2700万人ですが、このままだと50年で3分の2の数になり、100年で半減していく。

100年あまりで人口が半減しようとしている人口大国は、世界の歴史のなかでもひとつもない。北朝鮮のミサイルの脅威や大災害と同じように、国家を滅ぼし得る脅威であり、これを私は “静かなる有事” という言葉で説明しています」

43万部を超える大ベストセラー『未来の年表』著者の河合雅司氏が語る、こんな言葉が英語に翻訳されると、目を見開いて、「Oh really?」と声を漏らした人がいる。

イギリスのテレビ局「チャンネル5」のニュース特派員として来日し、このたび河合氏にインタビューを行ったピーター・レーン氏だ。[…]

ピーター氏は「この人口問題の臨界点はいつと見ているのか?」と問うた。その表情からは、河合氏に会った時に見せた笑みはもう消えていた。

これに対して、河合氏はこう答えた。

「2020年には女性の人口の半分が50歳以上の社会となる。それについては、出産適齢期を過ぎた女性が、日本の女性人口の半分を占めるという見方もできる。そうなれば少子化は一気に進むでしょう。機械的な計算をすれば、西暦3000年に日本の人口は2000人になると試算されています」

「2……thousand……people?」

ピーター氏の開いた口は、なかなか塞がらなかった。

河合氏への取材を通して、ピーター氏は日本の人口減少の問題をどう考えているのだろうか?

日本の人口問題が海外でどう見られているのかに強い関心を抱いていた私たちは、ピーター氏への「逆取材」を試みた。

イギリスで生まれる3人に1人が移民の子

―河合氏の話を聞いてどう感じた?

日本の人口減少問題が、北朝鮮のミサイルの脅威と同じように深刻であるということがわかり、非常に興味深い。

しかし、ミサイルの脅威のようには、人口減少の恐怖というのは直に感じとれるものではない。問題を実際の危機として実感することが難しいところに問題があるように感じた。


―日本では移民に対して消極的だが、それをどう思う?

私自身は多文化な環境で育ち、ヨーロッパ人というアイデンティティを持っている。しかしイギリスで生まれる子供の3人に1人が移民の子供になっている一方、仕事・学校・医療のサービスが十分に受けられないという、ネイティブ・イギリス人が多くいるのも事実。

結局、多くの人がブレグジット(EU離脱)を選んだのも、移民が溢れすぎているからだ。……移民と純粋なイギリス人とのいい比率を知っていれば私は今頃、総理大臣にでもなっていただろうね。

移民はたしかに効果的だが、戦略的、かつ選択的になる必要がある。産業の中で人材が足りない場所を国が見極めてマッチングするとか、コントロールすることが大事だろう。

―イギリスもいずれは日本と同じ道を歩むのではないか?

イギリスは若い移民労働者に頼っているところが大きく、ネイティブのイギリス人の出生数を増やす政策などは行っていません。ブレグジット後がどうなるかもわからないし、同じ島国であっても、イギリスはヨーロッパ大陸との距離が近い。他国と距離がある日本と決定的に違う点だ。

とはいえ場合によっては、ゆっくりだがイギリスも日本と同じ道を辿ることもあるかもしれない。そういう意味で今後の日本の動向は注目に値する。日本はロボット技術が進んでいるということもあり、それが答えになるかどうかはわからないが、ひとつの対策として、その可能性は高いのではないか。

「課題先進国」ニッポン

日本での人口問題に関心を示しているのは、何もこのたび取材に訪れたチャンネル5だけではない。

イギリスの週刊新聞「エコノミスト」では、「日本は世界史上最も高齢化の進んだ社会になる」、少子高齢化で「大きな損害を被る」国だとして日本は取り上げられている。その内容もかなり具体的だ。

<日本の高齢者比率は長いあいだ世界最高を維持しており、今なお比率は高まっている。2010~50年期に、日本の被扶養者率は40ポイント上昇し、2050年までには、被扶養者数と労働年齢の成人数が肩を並べるだろう。過去を振り返っても、このような状況に直面した社会は存在しない>(『2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する』)

他方、人生100年時代の人生設計について論じてベストセラーとなった『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』著者のリンダ・グラットン氏も、安倍政権が目玉政策に掲げる「人づくり革命」の具体策を検討する「人生100年時代構想会議」の有識者議員の一人に起用され、少なからず日本に関わり、この先を注視することになる。

なぜそうまでして、日本に関心を持つのだろうか。河合氏は言う。

「イギリスをはじめとして、世界は今後人口が増えていく傾向にありますが、じつは2060年頃には、高齢化と人口減少に傾くとされています。

まだまだ先のことのように思えますが、すでにこの問題に関心ある人たちは対策が必要であることを自覚しているのです。

人口問題は対策をとっても効果が出るのに、20年は必要とされる。そうしたなか、先行する日本がどう動くのかに関心が高まっているわけです。…


「生命」を軽視して何が「国体」か?【国体文化】平成 29 年 10 月号より

2017年12月11日 | プロライフ
「生命」を軽視して何が「国体」か?
【国体文化】平成 29 年 10 月号より転載

「生命」を軽視して何が「国体」か?
里見日本文化学研究所特別研究員 ポール・ド・ラクビビエ

「国体」の危機

日本中から子供が居なくなりつつある。このままの勢いで行くと、日本は今に老人ばかりとなり、ひいては急速な人口減少を迎える。

他の諸問題、皇位継承有資格者の不足に伴う皇統断絶の恐れを始め、少子高齢化に伴う社会保障制度の危機、人手不足を理由とする外国人移民の受入れなどは、全て新しい生命の不足、ひいては国民としての生命力衰退に由来する。このままでは、日本人によって構成されている生命体系としての国体が消えてしまう可能性がある。これこそ、国体の大危機である。余計なお世話かも知れぬが、日本にとって、これより深刻な問題はないと思う。いくら「戦後レジームからの脱却」だの、「天皇陛下を中心とする国体の脱却」だのと云ったところで、それらを受け継ぐべき若者たちの数が減ってしまったら、過去から受け継いできた伝統、連綿たる国体に対する自覚と信念の大部分は失われることにならう。

逆に、子供の数が増えれば、皇室を始めとする各々の一家に伝統や歴史の継承者ができる。また、経済活動を維持するために、移民などに頼る必要もなくなる。ゆえに、国体護持は、日本人の生命を擁護することから出発せねばならぬ。そうでなければ、どんなに努力しても無意味であろう。

 「生命」の尊厳を冒す堕胎

では、日本人の生命を擁護するためには何が必要か。まず何よりも、「生命」の絶対的尊厳を確立することだ。具体的には、「人工妊娠中絶」などという婉曲表現を用いることにより「堕胎」すなわち「赤ちゃん殺し」を肯定する発想を打ち砕かねばならない。少なからぬ現代日本人は、「堕胎」に後ろめたさを感じつつも親のエゴを近代主義によって合理化・合法化し、罪なき赤ちゃんを見殺しにしている。

現行の刑法においても堕胎した女性は「一年以下の懲役」、堕胎を手伝った医療従事者は「三月以上五年以下の懲役」と定められているにもかかわらず、母体保護法には「妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの」、「暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの」の人工妊娠中絶が認められている。これらの規定は、連合国軍による占領下の昭和二十三年七月十三日に成立した優生保護法が基になっている。とりわけ、経済的理由に基づく人工妊娠中絶を合法化する部分は施行直後の昭和二十四年六月に加えられた。その背景には、連合国関係者の子を妊娠した日本人女性の堕胎を可能にするという身勝手な理由に加え、日本の再生を妨げようとするアメリカの意図、より正確に言えばアメリカ支配層に入り込んだリベラル左派の意図があったと見るべきだろう。

これに対し、カトリック教会と生長の家は昭和四十年代に《優生保護法改正期成同盟》を結成した。将来の優れた労働力の確保という観点から、日経連も中絶の抑制を主張したこともあり、国会に改正案が上程されたものの、フェミニスト団体などの反対運動を受けて成立には至らなかった。平成八年、障害者差別に繋がる「優生」の語を避け、優生保護法から母体保護法へと法律の名称が改められたものの、堕胎を巡る規定は改正されぬままだ。

その結果は、実に恐ろしい。厚生労働省による以下の統計を見て欲しい。

何百万の日本人が、両親のエゴにより、この世の空気を吸うこともできぬうちに生命を断たれたのだ。また、堕胎は両親とりわけ母親に大きな精神的ダメージをもたらす。にもかかわらず、人を救うはずの医療従事者が、赤ちゃんを殺しても罪に問われぬどころか報酬を受け取っている。人口の増加が阻まれたこともさることながら、両親や手を貸した医療従事者は「赤ちゃん殺し」の罪を犯しているのだ(その上、死んだ胎児が科学実験の対象として冷凍されるということさえある)。これを、生命体系としての「国体」に対する破壊行為と言わずして何と言うか。

覚悟は宜しいか

読者各位に問いたい。貴方は、それでも平気なのか。

悪魔でない限り、平気では居られまい。

そうである以上、「国体」を守るには、まず堕胎を禁ずることが必要だ。それは、「生命」を救うことであると同時に、エゴイズムを克服することでもある。「生命」に対する畏敬と個人を単位とする近代主義の克服なくして、真の意味における「国体」護持は不可能だ。幸いなことに、日本においてはフランスよりも堕胎は正当化されていない。法律を改正して堕胎を禁ずることは、難しくないはずだ。

法律を改正するためには、世論の喚起が必要だ。筆者は、去る七月十七日(海の日)、「命の行進・マーチフォーライフ」に参加した。これは、優生保護法が成立した七月十三日に因み、なおかつ「海の日」と「生みの日」の語呂合わせに基づき開催されたものが開催された。これは、一番小さく、一番か弱く、(原罪を除いて)罪のない、愛さずにいられない赤ちゃんの「生命」の尊さを訴え、堕胎の禁止を求めるものだ。

堕胎の禁止を公的な場で訴えることに大切であるが、個々人の日常生活において出来ることもある。それは、多くの子供を授かることだ。それは、測りしれぬほど嬉しいことであり、光栄なことであり、大事なことであり、幸せなことである。また、躊躇や無気力として現れるエゴイズムを拭い去る契機でもある。

皆さん、心配することはない。日本たる国民よ!

陛下の忠誠たる臣下よ!

覚悟は宜しいか。現代の戦いは、「生命」のための戦いだ。武器でもなく政治でもなく、家族を以て、家を挙げて戦わなければならない。多くの子供たちが立派に育ちさえすれば、国体の護持は自ずから成り立つのだ。ゆえに、私は神の御前で以下の祈りを繰り返すのだ。

「主よ、我らに家族を与え給え!主よ、我らに聖なる家族を与え給え!主よ、我らに多くの聖なる家族を与え給え!」

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命の行進・マーチフォーライフ

【執筆者略歴】一九九〇年フランス生まれ。セルジー・ポントワーズ大学数学部卒業。同大学院にて歴史学を専攻した後、来日して慶應義塾大学大学院経営管理研究科にてMBA取得。現在は、外資系銀行に勤務しつつ、フランス国体と日本国体の比較研究を続けている。


お腹の赤ちゃんを大切にする加賀市生命尊重の日条例

2017年12月05日 | プロライフ
石川県加賀市(2015年の人口67,186人)は、今年6月26日 平成29年第2回 加賀市議会定例会で「お腹の赤ちゃんを大切にする加賀市生命尊重の日条例」(議案第48号)可決し、条例として定め、交付しました。

○お腹の赤ちゃんを大切にする加賀市生命尊重の日条例

平成29年6月26日
条例第27号

(趣旨)
第1条 この条例は、お腹の赤ちゃんを社会の大切な一員として温かく迎えられるように、お腹の赤ちゃんと妊産婦を大切にするまちづくりの実現に向け、お腹の赤ちゃんを大切にする加賀市生命尊重の日(以下「生命尊重の日」という。)を定めるものとする。

(生命尊重の日)
第2条 生命尊重の日は、7月13日とする。

附 則
この条例は、公布の日から施行する。


お腹の赤ちゃんを大切にする加賀市生命尊重の日条例
平成29年6月26日 条例第27号
(平成29年6月26日施行)


「お腹の赤ちゃんを大切にする加賀市生命尊重の日条例(案)」についての意見募集結果

公募期間平成29年5月11日(木)~平成29年5月24日(水)

周知方法 市ホームページ、かが交流プラザさくら(加賀市健康課)、市役所総合案内、山中温泉支所、各出張所、各図書館、各地区会館で供覧

提出方法持参、郵送、ファクシミリ、電子メール応募件数39件(市内23件 市外16件)

意見の結果と市の考え方

意見の概要
1妊娠中の胎児の命を尊重していくことは人としてとても大切なことです。これまでは子どもを生むのも、育てるのも母親ということが当たり前のようにありました。子どもを生むのは母親にしかできませんが、子どもを育てるのは家族、地域社会の役割でもあると思います。子どもは1人では育ちません。子ども及び子育て家庭を地域社会で守っていくことが大切だと思います。その為にも、望まない妊娠を減少させるために学童期からの「いのちの授業」が絶対に必要だと思います。女性が自分自身を大切にしていく為に興味本位や暴力による性交渉を廃絶し、誰からも祝福される妊娠、出産につなげていくことこそが、母子共の生命が尊重されていくと思います。
「加賀市生命尊重の日条例」と「いのちの授業」を一体として取り組んでいただきたいと思います。
【市の考え方】
お腹の赤ちゃんを大切にする機運を高めていくには、制定がひとつのきっかけと考えております。
子育てには親が、家庭が、地域社会が、子どもを大切に育て見守り続けることは重要であり、またその親自身も支えあう環境によって安心した子育てへとつながるものと考えております。そのためにも提案いただいたことも参考とさせていただき、いのちの大切さに関する啓発活動を行ってまいります。

2安心して妊娠・出産・子育てができる加賀市。妊産婦もお腹の赤ちゃんも社会の一員として尊重されるまちづくりをめざす今条例に賛成です。

3お腹の赤ちゃんを大切にする加賀市生命尊重の日条例(案)の趣旨に賛同いたします。

4日本一赤ちゃんを大切にする加賀市になってほしいので今条例に賛成します。応援しています。

5安心して妊娠、出産、子育てができる加賀市にして欲しいので賛成です。

6子供の命を尊重する事に大いに賛成します。応援します。

7赤ちゃんを大切にする加賀市になってほしいので賛成します。

8条例の制定におおいに賛成いたします。もう少し早い時期に案内があればもっともっと市民の皆様より賛成の意をいただけたと思います。

9加賀市生命尊重の日条例制定に賛成します。

10「お腹の赤ちゃんを大切にする加賀市生命尊重の日」に賛成です。妊娠して不安が少しでも軽減し、出産、育児と住みやすい加賀市になる事を希望します。

11弱い命をないがしろにしないための対策等「生命尊重の日」を応援します。

12加賀市民として新しい命が一人でも多く誕生する事を心より願っています。「生命尊重の日」大賛成

13条例の制定には賛成いたします。

14賛成します。

15賛成です。

16私は妊娠中に息子の病気を知らされ、どんな姿で産まれてこようと自分たちの子なので、育てていける!と思い出産し、育ててきました。なので「お腹の赤ちゃんを大切にする」という部分は良いと思います。しかし、息子とともに、ボランティアや講演活動をしていますが、ここ最近の子どもたちからは「死んだ人や」「近寄らないで、うつる」など心ないことばをあびせられるようになってきました(以前はない)。
「お腹の赤ちゃん」と限定せず、すべての大切な命を尊重する日にしてほしいと願います。そのためには、保育園から命の教育をしてほしいと思います。
【市の考え方】
お腹の赤ちゃんを「いのちの始まり」と考え、産み育てたくなるような環境整備や地域社会の意識を高めることが、次世代を担うすべての子どもたち一人ひとりに対して思いを寄せることにもつながるととらえております。提案いただいたことも参考とさせていただき、いのちの大切さに関する啓発活動を行ってまいります。

17・「お腹の赤ちゃんは母親の一部ではない」ということを知りました。
・親の都合で中絶される胎児が多くいることを知り、経済的な援助や心のサポートがあれば産声をあげられた赤ちゃんも沢山いたと思う。
・加賀市がいのちの始まりからすべての命が温かく迎えられる社会になってほしいと思います。・若い人達に知ってもらう機会を作り、伝えてほしい。
【市の考え方】
妊娠期の女性が持つ不安や悩みは心身の不調や家庭環境の問題など、多様であり、妊娠期から切れ目のない一人ひとりに応じた相談、支援に努めております。個々の相談対応と産み育てたくなるような環境整備や地域社会の意識の向上のために若い年代も含め、いのちを大切にする啓発活動として考える機会を設けていきたいと考えております。

18安心して妊娠出産子育てができる加賀市になってほしいので条例に賛成します。それが加賀市の人口増加にもつながるのではと思っています。
【市の考え方】
市は子育て環境の整備として、これまでも「子育て安心パッケージ」と銘打って子育て支援策を展開しておりますが、この制定がさらに人口増加にも影響するものと思っております。

19出産や育児、就学への行政の応援・支援は、少子化の今日、全国的に展開されているが、妊娠した妊産婦が安心して出産にまで至ることを行政が市民の先頭にたって支援する。素晴らしいことです。また、この条例制定は、妊娠中絶の減少にも歯止めとなることと思い、心より賛同いたします。安心して若い家族が住める環境づくりを、今後も一貫して支援して下さることを切に願って止みません。

20「生命尊重の日」がある事により少子化対策につながっていけばとても良い事だと思います応援します。

21条例等はないよりあった方が良いと思う。しかし、市としてどのような取り組みを進めるかが大事である。「子育て応援ステーション設置」とあるが、市民はどれくらい知っているか。市や他市の産婦人科と連携して広く妊婦さんにこのような施設がありますよ、こんなことをしています(ものすごく具体的に)というようなパンフレットを作り紹介してもらうことが重要であると思う。
【市の考え方】
平成28年10月から設置している「子育て応援ステーション」として、市内及び小松市の産婦人科や市内保育園等にリーフレットの設置及び新聞や広報かが10月号で活動の紹介をしております。また、母子手帳交付時には妊婦さんに相談を聞きながら情報提供をしております。今後も市民に広く伝わるよう、パンフレットの作成も含め周知をしていきます。

22なぜ、7月13日が生命尊重の日になったのですか。
【市の考え方】
7月13日は母体保護法の制定された日であり、母体の生命と健康の保護を目的としております。加賀市は母性の尊重とお腹の赤ちゃんも一人のひととして尊重されるよう「シンボルの日」として定めたものであります。

23条例の制定には賛成です。ただし、第2条の「生命尊重の日は7月13日とする。」については唐突に感じます。7月13日とする理由を分かりやすく記述したほうが良いのではと思います。


参考ご意見(市外の方の意見につきましては参考ご意見とさせていただきます)

24加賀市の「お腹の赤ちゃんを大切にする加賀市生命尊重の日」の制定に賛成するとともに、素晴らしいことであると思います。今を生きている私達は、一人の例外もなく全員が、それぞれの母親のお腹の中で40週(=280日間)を過ごして生まれて来ています。人は、お腹の中で過ごした期間も生まれて数年間の期間も明確な記憶はありませんが、幼児期以降にすくすくと逞しく育っていくためには、このお腹の中の40週間とその後の数年間を、特に大切に温かく扱ってあげることが不可欠です。人間にとって、この期間(胎児と赤ちゃん)は例外なく特に弱い存在であり、外部からの絶対的な保護がなければ、間違いなく生命は途絶えてしまいます。近年、日本国内において「生命軽視」と考えられる事件が頻発しており、「こんな状態で、日本は本当に先進国と言えるのか?」と悲しさと憤りを感じることが多々あります。そんな中にあって、加賀市が全国に先駆けて条例で「お腹の赤ちゃんを大切にする生命尊重の日」を制定することは、同じ県民として誇らしく、その意義はとても大きいと思います。必ず実現されんことを祈ります。

25賛成です。命は授かりもの、決して作るものではないと思います。胎児も人間。私たちと同じ一人の人間です。小さな命を大切にする条例案に賛成します。

26本条例を設置することの意義を、条例の実現化のために強いリーダーシップをとられた宮元市長の先進性とそのご努力に心から敬意を表します。他市にも波及することを期待します。

27素敵な取り組みに敬意を表します。日本一、石川県一で先がけて取り組みエールを送ります。我が市にも、日本の至る地にも、そんな条例が制定されたらいいですね。

28小さな命、弱い命がないがしろにされている現実を考えると、一年に一日でも生命の尊さ、かけがえのなさを再確認するそんな日があれば良いと思います。

29ある障害者の母親がこの円ブリオ運動に賛同しており私にメールがありました。大正時代の金子みすずの詩を述べ「みんなちがってみんないい」んですねとメールにありました。障害児を我が子に持つことは大変なことです。特別支援学校で長年仕事をしおり、その実態はよく理解しています。障害児が生まれる可能性は誰にもあります。円ブリオの趣旨を大切にするには、彼らが生を受けたあとのフォローを一層強めていく必要があるし、市政の方向や一般市民の理解と支援が不可欠であります。長く、金沢手をつなぐ親の会を支援してきて、生まれた後の周囲の理解支援の大切さを強く思っています。

30今生きているのも、不思議なご縁で活かされているのだと思います。講演会の講師である水谷もりひと氏は「両親がいてその前には2組ずつの夫婦というように30代くらいさかのぼって足し算をすると16億2453万8026人の先祖がいるのです。この中の1人でも欠けたら皆さんは存在しない」と言われていましたが、1人でもかけるとそれだけの人生が生まれないから少子化になるのもあたりまえだと思います。将来日本人は0人になるという人もいますが、国として人口問題を真剣に考える必要があると思います。

31胎児はれっきとした人間です。子どもの社会の宝、かけがえのない生命です。その生命を加賀市が先頭になって温かく迎えようとされていることに頭が下がります。加賀市が風穴を開けていただけたらと心よりお祈りしております。

32お腹の赤ちゃんと妊婦を大切にする今条例に賛成します。生命を尊重するまち。きっと笑顔あふれる住みやすいまちになるでしょう。

33加賀市による「お腹の赤ちゃんを大切にする生命尊重の日」制定に賛同します。お腹の中の小さな赤ちゃんにも私達と同じく、大切な命が厳然として存在します。この条例が日本中に広がる動きの第一歩となりますよう応援いたします。

34豊かな時代とは逆にいのちが軽んじられている様に感じられる昨今です。「お腹の赤ちゃんを大切にする生命尊重の日」が生命の大切さを考える日になる一日となると思います。加賀市から全国にいのちがあたたかく迎えられる社会になってほしいです。応援しています。

35以前に加賀市内在住の障がい児をもつ親子の講演で「産まれてくる子がどんな子でも自分たちの子供なら育てていけるね」との言葉に共感し、子どもたちや育児中の親、祖父母等たくさんの人々に対して、今年3月に「命を親子で考える一日」として、その親子の講演会を主催しました。会場には91名が参加し共感を得ることができました。今後も「この時代の子供たちにとって大切なのは何か」を考え、この親子の講演会を企画していきます。加賀市でもこの親子の講演会を開いてほしいです。

36赤ちゃんは天からの授かりものと言われる。命の誕生や選別は人間の支配する領域ではないと私は思う。すべての授かった命の大切さを考えるためにもすべての命の始まりである胎児の命を大切にする条例は賛成である。行政が望まない妊娠をした女性への相談窓口、経済的に妊娠や出産を躊躇う女性の支援、あるいは産前産後休暇の整っていない職場の女性のための子育て支援など切れ目のない支援をすることは女性にとって大きな力だと思う。逆境の中で生まれてくる命はもちろんすべての命は周囲の人たちの支えがないと守れない。加賀市の行政が積極的に支援することは理想の社会の実現のはじまり、第一歩だと思う。

37安心して妊娠、出産、子育てができる加賀市にしてほしい。生命尊重の日条例に賛成します。

387月13日は母胎保護法の定まった日とお聞きしました。加賀市生命尊重の日条例とすることで母胎保護法の現実を多くの人に意識してほしいと思いました。のぞまない妊娠で安易におろしてしまうことのないような加賀市になることはすばらしいと思います。
39生命はだれのもの?それは、一人の人格としてみとめる社会だと思います。生命尊厳の社会を築いていけたら良いと思います。

7月13日は、ファチマの聖母の日、生命尊重の日

2017年12月03日 | プロライフ
Webみやざき中央新聞
くるみの談話室 2693号(2017/05/01)
7月13日を生命尊重の日に
より転載

代表 松田くるみ
先日、「生命尊重センター」の研修会に呼ばれて講演をしてきました。

同センターは、産みたくても産めない事情のあるお母さんをサポートして、お腹の赤ちゃんを無事に生んでもらうことを目的にしています。

「8週までの胎児」を英語で「エンブリオ」といいます。その「エン」を「円」にかけて『円ブリオ基金』と名付け、ひと口1円の募金でお腹の赤ちゃんを救おうという活動をしています。

始まりは1982年、マザー・テレサが来日した時に遡ります。マザー・テレサは「日本は美しい国ですが、心の貧しい国です」と、日本の中絶の多さを嘆かれました。それを受けて「胎児も社会の大切なメンバー」と訴えてきました。

私がこの活動に関わるようになったきっかけは、大学3年生だった娘の妊娠です。娘は親元を離れて県外にいたのですが、たまたまその土地で開催された「円ブリオ講演会」に参加し、そこのメンバーと繋がったのです。

そのメンバーの人たちが助産師さんを紹介してくれたり、出産費用の申請を手伝ってくれたり、相談に乗ってくれたりと、みんなで応援してくれて、思い出深い出産となりました。

あの時生まれた子は7歳になりました。昨年の春、小学校の入学式に私も出席し、正門で一緒に撮った写真は私の宝物になりました。

実はあの当時、同じ大学に娘を含む3人の学生妊婦がいて、「頑張って産もうね」と励まし合っていたそうです。しかし、1人は親の反対で出産を断念したと後で知りました。

今回、研修会に参加して、「お腹の赤ちゃんは母親の一部ではない」ということを知りました。最近の「赤ちゃん学」では、受胎した時から生命は始まり、赤ちゃんは自発的に動く独立した生命体であるといわれています。

ところが今の日本の法律(旧優生保護法・現在の母体保護法)では、胎児は独立した人格を持っていない「間」であるとされています。そのため、親の都合で中絶ができるのです。

生命尊重センターでは、「この法律が成立した7月13日を『生命尊重の日』に制定しよう」と活動しています。条例化に向けて動き出している自治体も出てきています。

残念なことに、現在日本には年間18万人、1日に約500人の生まれることが叶わなかった胎児がいます。その中には、経済的な援助や心のサポートがあれば産声を上げられた赤ちゃんもたくさんいたはずです。

もしご関心があればどうぞこの活動をご支援ください。毎月発行されている『生命尊重ニュース』は年間3,000円で定期購読できます

生命尊重の日

2017年12月02日 | プロライフ

生命尊重の日より転載

7月13日の「今日は何の日?」は「生命尊重の日」です。
また「生命尊重の日」にちなんで「世界の最多出産記録」「母体と母胎の違い」など母体にまつわる面白い雑学を紹介します。

今回は「生命尊重の日」について解説していきます!
なぜ7月13日が「生命尊重の日」なのかというと、1948年7月13日に「優生保護法」(現在の「母体保護法」)が公布されたことが由来となっています。

「生命尊重の日」については医師・法律家・教育者・主婦等で構成される実行委員会によって1984年から実施されている記念日となります。
母体保護法という法律はあまり耳馴染みがないかもしれませんが、不妊手術及び人工妊娠中絶に関する事項を定めること等によって、母性の生命健康を保護することを目的として制定された法律となります。

元々は「優生保護法」という名前だったとおり、優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するための法律でした。
しかし、遺伝性疾患や精神障害を理由にした不妊、中絶手術を容認するような内容だったため、このような内容の法律は障害者への差別になるとの批判が強まりました。

そのため「優生思想」に基づく部分を削除することにより、1996年からは「母体保護法」となりました。

今回は「生命尊重の日」にちなんで「母体の雑学」を紹介します。

世界の最多出産記録
テレビ番組でたまに大家族の暮らしなどを題材にしたものが放送されますが、子供が多いと本当に賑やかですよね。
お母さんが10人も子供を産んでいれば大変な大家族ですが、世界に存在している最多出産記録は比べ物にならないんです。

世界で最も多く出産をした女性についてギネスブックに掲載されているそうですが、なんとその数が合計69人にもなります。
69回も出産は出来るはずもないので、当然ながら双子や三つ子、四つ子を何回も産んだそうですが、それでも大変ですよね。

18世紀のロシアの農民の奥さんがこの記録を保持しているそうですが、1725年から1765年の40年間の間に、合計で27回の出産をしたそうです。
その合計69人の内訳は、双子が16組、三つ子が7組、四つ子4組だったそうです。

超高齢化社会に突入している日本ですが、ここまでとは言わず女性がたくさんの子供を産んで安心して育てられる環境になるといいですよね。

母体と母胎の違い
妊娠している女性に使われる言葉として「母体」と「母胎」という言葉がありますよね。
どちらも「ぼたい」と読み、なんとなくのニュアンスでこの言葉を使っているかもしれませんが、実は「母体」と「母胎」には明確な意味の違いがあります。

まずは「母体」についてですが、母体の意味は妊娠している女性や出産後の女性の身体そのものを指して「母体」と呼びます。
「母体」は妊娠している時にはもちろん使われる言葉ですが、「産後の母体の健康を守る」といったように、「母親になった身体」という意味で産後にも使われる言葉のため、身体そのものという意味合いが強いことがわかりますよね。

続いてはぼ「母胎」についてですが、これは妊娠をしている女性が赤ちゃんを体内で育てるための胎内に対して使われる言葉です。
母体が身体そのものを指しているのであれば、こちらは赤ちゃんを育てるための身体の一部を指して使う言葉なんですね。

以上が母体の雑学でした、いかがでしたか?


胎児は痛みを感じている―アメリカで20週中絶禁止法案が下院通過

2017年11月29日 | プロライフ
アメリカ 20週中絶禁止法案が下院通過、上院では苦戦に直面―胎児は痛みを感じているより引用

ペイン・ケイパブル・アンボーン・チャイルド・プロテクション(痛みを感じ得る胎児の保護)法案(The Pain-Capable Unborn Child Protection Act)は2017年10月3日、下院を通過した。
●クリストファー・H・スミス議員 Rep. Christopher H. Smith(共和党)は、20週で未熟児として生まれる子供は笑うことも泣くことも、痛みを感じることもできる、同様に、20週の胎児は痛みを感じる、子宮の中にいるか否かを基準に、子供を分けて扱うべきではない、と述べた。
●ミア・B・ラブ議員 Rep. Mia B. Love(共和党)は「すべての人間の生命は法の支配の下に保護されるべきだ」と述べた。
シャーロット・ロージアー研究所 Charlotte Lozier Institute のチャック・ドノバン所長 Chuck Donovan は、上院で民主党がおそらく法案を阻止するだろうと述べた。「事実として、米国は、そのほとんどの州で20週後の人工妊娠中絶が許されている、世界で7つの国の一つだ」と述べた。



アメリカ 20週中絶禁止法案が下院通過、上院では苦戦に直面―胎児は痛みを感じている

共和党主導の下院で、胎児が痛みを感じ得る胎児の後期中絶を禁止する法案が可決されたというワシントン・タイムスの記事をご紹介いたします。

共和党主導の下院で、胎児が痛みを感じ得るする法案が可決された。これで5年間で3度目となる。

ペインケイパブル・アンボーンチャイルド・プロテクション(痛みを感じ得る胎児の保護)法案は3日、下院の党路線に近い237対189で最初のハードルを越えた。

上院では苦戦となる見込みであり、共和党は民主党の議事妨害を覆すだけの票数を持っておらず、2013年と2015年には同様の法案が阻止されている。

マーチフォーライフのジーニー・マンチーニ会長は、法案の見込みについてはまだ楽観視していると言っている。部分出産中絶法は2003年に成立したが、可決に数年を要したことと比較してマンチーニ氏は次のように述べた。

「望みを持っている。こういった歩みをこちら側で始めなければ、向こう側で進むことはない。部分出産中絶の禁止は、長い時間かかったが成立した。だからそれに近いものだと見ている」

ペインケイパブル法案は、アリゾナ州のトレント・フランクス議員(共和党)が提出したもので、20週後の人工中絶を違法とするが、レイプ、近親相姦、また母親の生命に危険がある場合は除かれる。

ホワイトハウスは2日に、法案が通過した場合、トランプ大統領は署名するつもりであることを再確認する声明を発表している。

声明にはこう書かれていた。「政権はH.R.36、ペインケイパブル・アンボーンチャイルド・プロテクション法案を強く支持し、下院がプロライフ的な保護を確実に行おうという取り組みを継続していることを称賛する」
法案を巡っては下院で通過するまでに感情的な議論があった。

ニュージャージー州のクリストファー・H・スミス議員(共和党)は、20週で未熟児として生まれる子供は笑うことも泣くことも、痛みを感じることもできると述べた。スミス氏は子宮の中にいるか否かを基準に、法律が子供を分けて扱うべきではないと言っている。

「この子供たちは支えを受けているのであり、子供に手を出すのであれば、いったん生れて手足を切断しようとすれば痛みを感じる」とスミス氏は話した。「同様に、20週の胎児は痛みを感じる」

ユタ州のミア・B・ラブ議員(共和党)はこう述べた。「すべての人間の生命は法の支配の下に保護されるべきだ」

「痛みを感じる命はすべて苦しみから解放されるべきだ」とラブ氏は述べた。「この下院、国民の下院の議会で命のために弁護と要求を続けているということが信じられない」

20の州では20週での中絶禁止が法律で定められている。しかし、そのような法律に反対する人は憲法違反だと主張している。

「生命が女性を最も過酷な状況に立たせるとき、国の最高裁は女性がする決断はその女性のものであるべきであり、政府から如何なる干渉も受けるべきでないと言っている」とルイーズ・マッキントッシュ・スローター議員(ニューヨーク、民主党)は言った。「ロー対ウェイド事件は女性が頼りにする防火壁のようなものだが、年月が過ぎ、議会で新たに審議が行われるたびに、政治家はいつか砕け散ることを願って少しずつそれを削り取ろうとしてきた」

ニュージャージー州のボニー・コールマン議員(民主党)は、キャリーという地元有権者の例を挙げた。その女性は胎児の異常を診断されて子供が苦しむのを望まないために後期中絶を受けた。

「医者はこのような健康状態の幼児は出生後、数日以上生存することも稀だと伝えた」とコールマン氏は語った。「キャリーは『私たちは落ち着いて中絶することを決めた。自分たちの小さな娘を苦しませたくなかった。むしろ娘のためにその苦しみを負おう』と言っていた」

20週以降の中絶は米国の中絶全体の約2パーセントだ。議会予算局はペインケイパブル法によって毎年約1万の後期中絶を防ぐことになると推定している。

スーザン・B・アンソニー・リストの調査部門であるシャーロット・ロージアー研究所のチャック・ドノバン所長は、上院で民主党がおそらく法案を阻止するだろうと述べた。

しかし、ドノバン氏は3日の投票が重要なのは、議員が後期中絶に賛成または反対を表明せざるを得ないので、米国での処置の普及に対する認知が高まるからだと述べた。

「事実として米国は、ほとんどの州で20週後の人工妊娠中絶が許されている、世界で7つの国の一つだ」とドノバン氏は述べた。「教育によって、それが合法的だということだけでなく、赤ん坊は早産を生き抜いているということを知らせることができる。生存能力という概念はすべて中絶法が作り出したものだが、このような子供たちを今では実際ほとんど救うことができる」

(翻訳 H・T)

過去1世紀で10億超~世界の中絶件数

2017年11月27日 | プロライフ
過去1世紀で10億超、世界の中絶件数-米報告書
累計1位中国、日本は5位 
より転載

過去1世紀の間に世界100カ国・地域で中絶された胎児の数は計10億人以上
●1920年に旧ソ連が世界で初めて人工妊娠中絶を合法化。
米民間団体「グローバル・ライフ・キャンペーン(GLC)」「中絶世界報告書」を発表した。
●累計中絶件数が際立って多いのは現・元共産主義国で、トップの中国では3億8275万の胎児が堕ろされた。2位のロシアは2億1626万件。
●米国では累計中絶件数は5783万件で第3位。
●日本は5位、ベトナムが6位、インドが7位、韓国が9位、カザフスタンが10位。

●日本では戦後、連合国軍総司令部(GHQ)占領下の1948年に優生保護法の施行で中絶が合法化され、急速に増加した。
●産児制限運動の提唱者マーガレット・サンガー氏が設立した「全米家族計画連盟」がトルーマン、アイゼンハワー両大統領に影響を与え、他国に人口抑制を促すことが米政府の基本政策となった。





過去1世紀で10億超、世界の中絶件数-米報告書
累計1位中国、日本は5位
より引用

 過去1世紀の間に世界100カ国・地域で中絶された胎児の数は計10億以上――。米国の民間団体が最近発表した報告書でこのような実態が明らかになった。1920年に旧ソ連が世界で初めて人工妊娠中絶を合法化して以来、世界各国で中絶が爆発的に増加。累計件数が最も多いのが、「一人っ子政策」の下で強制中絶が行われてきた中国で、日本も5位と上位を占めた。

 各国の中絶件数をまとめた「中絶世界報告書」を発表したのは、米民間団体「グローバル・ライフ・キャンペーン(GLC)」。信頼できるデータが得られる100の国と地域を選び、1921年から2015年までに行われた中絶件数を合計したところ、10億1843万5000件と10億の大台を突破したことが判明した。

 報告書によると、旧ソ連が1920年に中絶を合法化するまでは、ほとんどの国が中絶を禁止、または母体を保護する場合に限定していた。だが、その後、世界の潮流は「中絶容認」に一転し、現在までに142カ国が合法化した。

 累計中絶件数が際立って多いのは現・元共産主義国で、トップの中国では3億8275万の胎児が堕ろされた。2位のロシアは2億1626万件で、これは現在の人口の1・5倍に相当する数だ。

 米国は連邦最高裁が女性の妊娠中絶権を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」を境に急激に増加。累計中絶件数は5783万件で第3位だ。

 アジアでは中国以外にも、日本が5位、ベトナムが6位、インドが7位、韓国が9位、カザフスタンが10位と、上位10カ国中6カ国を占めている。また、強制中絶が今も行われているのは、中国と北朝鮮のアジア2カ国だけだ。

 報告書を作成したGLCのトーマス・ジェイコブソン事務局長は「アジアは世界で最も胎児に残酷な地域だ」と指摘。また、中国やインドなどは中絶件数を完全に報告しておらず、実際はもっと多い可能性が高いという。

 日本では戦後、連合国軍総司令部(GHQ)占領下の1948年に優生保護法の施行で中絶が合法化され、急速に増加していった。

 2017年1月25日にワシントン市内で行われた報告書の発表イベント(Family Research Council, Washington, D.C. 25 January 2017)に同席したシャーロット・ロージアー研究所 Charlotte Lozier Institute のチャック・ドノバン所長 Chuck Donovan は「米国は第2次世界大戦後、日本の国力を削(そ)ぐ方法として、合法的な中絶の導入に大きな影響を及ぼした」と指摘した。ドノバン氏はさらに、産児制限運動の提唱者マーガレット・サンガー氏が設立した「全米家族計画連盟」がトルーマン、アイゼンハワー両大統領に影響を与えた結果、他国に人口抑制を促すことが米政府の基本政策となったとし、中絶の世界的な増加は「米国に大きな責任がある」と批判した。

 ジェイコブソン氏は、全世界で10億件を超えた中絶を「史上最悪のジェノサイド(大量虐殺)」と表し、生命の尊厳を守る国際的な運動が必要だと主張した。

【注】統一教会(統一協会)系の新聞である世界日報の記事では、ドノバン氏が発言していない内容を発言したとされている。
「米国は第2次世界大戦後、日本の国力を削(そ)ぐ方法として、合法的な中絶の導入に大きな影響を及ぼした」とし、「中絶の世界的な増加は米国に大きな責任がある」と批判した、と言ったとあるが、事実はそうではない。ドノバン氏の発言内容は、Transcript of Remarks of Chuck Donovan on the Release of “Abortion Worldwide Report”にある。
トマス・ジェイコブソン氏が「史上最悪のジェノサイド」だと表現したことは事実である。"Indeed, in less than one century, abortion has become the Greatest Genocide ever, far surpassing all wars and democides combined."
ただし、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)が関与して、人工妊娠中絶や避妊による産児制限が日本に普及するよう巧妙に仕向けていたのは歴史的な事実である。
日本の少子化は、GHQによる "人災" だった