カラスといちごとクロッカスと

身の回りの鳥や小動物、庭の花や畑の野菜など、日々日々、季節季節の情報を、
個人の目をとおしてお届けします。

アスター、ニューヨークの

2022年10月11日 06時10分55秒 | キク科
2021.09.19撮影

今の季節のカナダ南部(アメリカとの国境線に近いところ)やアメリカでは、アスターがきれいに咲いています。上の画像は、アスターのうちでも、ニューヨーク・アスター(Aster novi-belgii)のものです。

頭花の構造は、冒頭の画像のように、舌状花と筒状花がはっきりと分かれているものが基本ですが、園芸種の「八重」のは、真ん中の部分がほぼ舌状花に変わっているものもあります。

用語については、昨日もご紹介しました以下のサイトなどでお確かめください。大阪大学全学教育推進機構のものです。


英語で Aster(アスター)と呼ばれているものは多岐に渡り、それは、日本語でも「キク」と呼ばれているものが多岐に渡るのと似た事情だと思います。

キク科(Asteraceae)の植物は膨大な数である(英語版Wikipediaによると、3万種以上)上に、庶民が「キク」、あるいは、Aster(アスター)と命名するものが必ずしも学問的な分類とは一致していない。それどころか、学問の方でも、かなりな頻度で分類を改定する(汗)。結果、名称が交錯します。

そのひとつは、Asteraceae(キク科)という科名にしても、英語では Aster(シオン属)から、日本語ではキク属(Chrysanthemums)から、来ている。ですから、ヨーロッパ系の人が Asteraceae(キク科)と聞けば、アスターを思い浮かべ、日本人が聞けばキクを思い浮かべるんでしょう。

おまけに、南北アメリカ原産の「アスター」と呼ばれているものは、現在は、Aster 属(シオン属)から独立させられ、他の複数の属に分けられています。今日取り上げているニューヨーク・アスターの新しい属名は、Symphyotrichum です。和名は今のところないようです。現在でも Aster 属のままの植物の例としては、日本のヨメナ(嫁菜 Aster yomane)などが挙げられます。

2021.09.27撮影

Symphyotrichum は、一般の人々の間では、根強く Aster と呼ばれています。その中で代表的なのが、次の2種です。原産は、いずれも北アメリカ。

学名旧名 Aster novae-angliae
学名新名 Symphyotrichum novae-angliae
和名 ネバリノギク(粘り菊)
英名 New England aster「ニューイングランド・アスター」
特徴 総苞片がそり返る、粘った毛がある、草丈は高め

学名旧名 Aster novi-belgii
学名新名 Symphyotrichum novi-belgii
和名 ユウゼンギク(友禅菊)
英名 New York aster「ニューヨーク・アスター」
特徴 草丈は低め(園芸種に高いものはある)

ここでお見せしている画像は、全て、うちのニューヨーク・アスターです。前には、わたしは、各種何種類もアスターを育てていたんですが、ほんと、全滅なんです、大木に成長した木々のおかげで。今は、新しく導入したこれしかありません。

次の画像の花の下の総苞の部分(「ガク」に当たる)をご覧ください。その下の小さい葉も。そこには、粘り気の出た毛はありません。目で見てもわかりますが、指で触って確かめておきました。よって、これは、ニューヨーク・アスターです。(この画像はフラッシュをたいて撮ったので、花の色が赤目に出ていますが、他の画像と同じ個体です。)

2022.10.09撮影

わたしの住むカナダで一般の人がニューイングランド・アスターとニューヨーク・アスターを区別することは、ほぼありません。そっくりだし。「アスター」と言うだけ。

園芸種が数えきれないぐらいあり、多種の花の色(藤色、青紫、赤紫、紅色、バラ色、ピンク、白、等)を楽しませてくれます。また、他の近縁種との掛け合わせもあります。庭にどれを植えるかは、最終的にはどの種か、より、どの園芸種か、になります。草丈、姿、花の色、など。

ところで、Aster novae-angliae が New England aster「ニューイングランド・アスター」と呼ばれるのは、納得がいくと思います。novae が英語の new に当たる「新しい」で、angliae が英語の England に当たる「イングランド」です。イギリスからの移民がアメリカ大陸に至り、ニューイングランドを築き、その地で見たアスターを New England aster「ニューイングランド・アスター」と名づけ、それがそのまま学名になった。

でも、Aster novi-belgii がなぜ New York aster「ニューヨーク・アスター」と英語では呼ばれる? belgii は「ベルギー」じゃないの? それは、現在「ニューヨーク」と呼ばれる地が、オランダの植民が始まったころには Belgica Foederata「ベルギー合衆国」と呼ばれ、そのころ、ベルギーはオランダの一部だった。また、汗。

以下の画像では、アスターが季節の推移を感じさせる時期に咲くことがわかります。背景に夏に咲いた植物の薄茶色い葉が見えます。

2022.09.22撮影

花盛りもご覧ください。

2022.10.01撮影

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秋空に映える、キク科の植物

2022年10月10日 08時20分05秒 | キク科
2022.10.01撮影

いいお天気ねえ、と散歩をしていたら、青い秋空に、キクイモ(菊芋 Helianthus tuberosus)が高らかに咲いていました。花盛り。下から見上げて撮った画像です。

学名 Helianthus tuberosus
和名 キクイモ(菊芋)
英名 Jerusalem artichoke「エルサレムのアーティチョーク」
キク科(Asteraceae)ヒマワリ属(Helianthus)

キクイモ

キクイモの属するキク科は、大きなグループで、
キク科の下に分類される属と種は、
英語版Wikipediaによると、1,900以上の属にわたり、32,000以上の種
日本語版Wikipediaによると、約950の属にわたり、約20,000の種
と書かれています。

日本語版の情報は、古い情報なのでは、と思われます。

Asteraceae(英文+画像)

キク科

上の、英語版の方のWikipediaに、大変きれいなキク科の花のポスターが出ています。どうか、ぜひ、目をお楽しませください。

次のリンクをクリックするだけでポスターが開きます。ポスターの右手下に青い背景に More details と書いてありますが、そこをさらにクリックすると、説明文のページに行きます。中ほどよりやや下に日本語で花の名前が書かれています。

A poster of twelve different species of flowers of the family Asteraceae, belonging to the three most representative subfamilies: Asteroideae, Cichorioideae and Carduoideae(画像+和文説明)

2022.10.01撮影

今日ご紹介のキクイモ(Helianthus tuberosus)は、実際に食べられるイモです。キクイモとは別に、キクイモモドキ(Heliopsis helianthoides var. scabra)というものがありますが、モドキの方も食糧になる、という情報は、わたしにはありません。

キクイモモドキは、ヒマワリモドキ(Heliopsis helianthoides)の変種です。ヒマワリモドキについては、前に書きました。

ヒマワリ、、、と言っても、ニセヒマワリ

2022.08.21撮影(ヒマワリモドキ)

キク科の花の作りは、ご存知の方も多いと思いますが、以下のサイトにわかりやすい図示がありますので、よろしければ、ご覧ください。大阪大学全学教育推進機構のサイトです。タンポポについての解説の予備知識として、次の用語を使って説明されています。

・頭花
・小花
・筒状花(管状花)
・舌状花
・総苞片

第3号 教えて先生! クイズ

キク科の、一般にわたしたちが「花」と呼ぶものは、生物学用語では頭花と呼ばれ、これが、小花の集まりです。そのキク科の「花」のうち、ヒマワリ(Helianthus annuus)等の頭花(小花の集まり)は、周辺が舌状花で、中央が筒状花です。上のヒマワリモドキの画像と次のキクイモの画像でお確かめください。

2022.10.01撮影(キクイモ)

キクイモという命名は、「イモの取れるキク」ということでしょうが、それを言うなら「イモキク」ではないであろうか・・・わたしは、「キクイモ」という名称を初めて聞いた時、イモがキクの花のような形をしているのか? そんなことがあり得るのか?? と思ったんです。

英名は Jerusalem artichoke「エルサレムのアーティチョーク」なんですが、わたしはこれを初めて聞いた時、「???」でした。もちろん、日本語のキクイモになど、全く結びついていません。エルサレムとどういう関係が? アーティチョーク(チョウセンアザミ Cynara scolymus)は、まあ、植物としては同じキク科にしても、食料のアーティチョークとは姿があまりにも異なる・・・

アーティチョーク

後にわかったのは、食糧にするイモがアーティチョークのような味がする、ということらしいです。

そして、エルサレムの方は、一説によると、、、、、

⑴ イタリアからの移民がアメリカに定住した
⑵ 彼らは、キクイモを、その花の形の類似性から「ヒマワリ(Girasole)」と呼んだ
(gira「旅」sole「太陽」、girasole「太陽に向かって動く」=「向日葵、ヒマワリ」)
⑶ Girasole という語は、その移民たちの出身地である南イタリアの発音では
「ジラソーレ」ではなく、「ジラスーラ」のようなものである
⑷ これが、英語の Jerusalem「ジュルーサラム」に変化した

日本語ではイスラエルの首都を「エルサレム」と呼びますが、原語の発音に近いのはこの日本語の方で、英語の発音は語頭が変化しています。

2022.10.01撮影

キクイモは、わたしも時々食べます。木の実のような風味がして、美味しいです。スライスして生で食べる人もいますが、わたしはとてもできない。少なくともわたしには、消化の悪い食物です。

基本的には、ジャガイモ(Solanum tuberosum)と同じ感覚で調理することができます。

あ、ここでも tuber が出てきましたね。「塊茎」という意味です。学名は苦手と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、学名を見出すとおもしろいこともたくさんあります。

・ジャガイモ(Solanum tuberosum)
・キクイモ(Helianthus tuberosus)

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秋咲きクロッカスの色が・・・

2022年10月09日 07時11分35秒 | イヌサフラン科
2021.09.19撮影

この花は、八重の「秋咲きクロッカス」です。わたしがここのblogのアイコンに使っている花です。和名は、イヌサフラン。これを「クロッカス」と呼ぶのは、本当は、間違い・・・

もうすでにご紹介した花なのですが、少々気になったことがあるので、もう一度取り上げます。


名称が交錯しているので、先にそれをまとめておきます。わたしが気になっているのは、名称とは別のことです。

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学名 Colchicum autumnale
和名 イヌサフラン
和俗名「秋咲きクロッカス」
英名 Autumn crocus「秋のクロッカス」
イヌサフラン科(Colchicaceae)イヌサフラン属(Colchicum
・秋咲き
・有毒

*「クロッカス」と俗に呼ばれど「クロッカス」ではない
* 正式名称に「サフラン」が入っていれど「サフラン」ではない
* いっそのこと学名から「コルキクム」と呼んだ方が混乱がない?
(「コルキクム」ではなく「コルチカム」というのは、
学名を英語読みしたものを、さらに日本語発音したものです。)

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学名 Crocus sativus
和名 サフラン
英名 Saffron crocus「サフラン・クロッカス」
英別名 Autumn crocus「秋のクロッカス」:イヌサフランと同じ呼び名
アヤメ科(Iridaceae)クロッカス属(Crocus
・秋咲き
・香辛料を取る

* これがサフランである
* サフランは、クロッカスである

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学名 Crocus(各種)
和名 クロッカス
英名 Crocus「クロッカス」
アヤメ科(Iridaceae)クロッカス属(Crocus
・春咲き
・園芸用として広く植えられる

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では、わたしの気になっていることについて、次の今年の画像と、冒頭の去年の画像と、を見比べてくださいませんか。何かお気づきになることがありますでしょうか。画像の加工は全くしていません。花の姿も、光線の具合もなるべく似ているものを選んであります。

2022.09.27撮影

以上は八重の花ですが、一重の花が、それよりも2週間ほど早く咲きます。一重の花が今年咲いた時に、八重で後で感じることを、すでに感じていたんです。

次の画像は、去年の一重の花です。

2021.09.08撮影

次は、今年の一重の花の画像です。去年のと、今年のと、ちょっと光線の具合が異なるのですが、これより近いものが手持ちの画像になかったので、これでお比べください。

2022.09.10撮影

今年、一重の花が咲いた時、わたしはびっくりしました。花の色が、去年までと比べ、あまりにも白っぽいことに。それで、記憶違いかと思い、去年の画像を見てみたのですが、去年の花はきれいなピンクです。

その時は、え? 変、と思っただけで特に気には留めなかったのですが、2週間遅れの八重の花が咲いた時に、また白っぽいので、どうして? と思いました。

今年は庭のあちこちで異変と言っていいかな、と思うことが起こっているので、これもそのひとつかと思いますが、それにしても、花の色がここまで変わると、興味を通り越して、不安になります。

うちのイヌサフラン「秋咲きクロッカス」は、株自体が小さくなっている(=個体数が減っている)わけでも、個体それぞれの大きさが小さくなっているのでも、ありません。ですから、球根自体は元気なんだと思います。

うちの大きく茂ってしまった木々は、業者に入ってもらって、大きい枝を取り払ってもらいました。すると、蘇ってきた植物もあるし、蘇ってきていない植物もあります。回復するのに数年かかる植物もあるのかもしれません。それか、回復しないところまで行っているのもあるかもしれません。

でも、なぜ花の色が白っぽくなる?????

今年の八重はこんな感じ。

2022.09.27撮影

今年の一重はこんな感じ。

2022.09.10撮影

わたしは一体何をどうすればいいのでしょう。

「肥料」としては、落ち葉が十分に行き渡っているはずです。そのようにして毎年この球根植物を育ててきて(と言うか、放ったらかしにしてきて)、花がきれいに咲いてきたのに・・・

来年、様子を見てみます。春に大きめの葉が出、夏までに枯れてしまい、秋に花が咲きます。

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アライグマと、庭で出会った

2022年10月08日 06時30分10秒 | アライグマ
2022.05.30撮影

わたしの住むカナダの西海岸、バンクーバーには、アライグマ(洗熊 Procyon lotor)がたくさん住んでいます。

土の中を探っていたり、人間のゴミを漁っていたり、します。人の多いところに住んでいるアライグマは、エサをくれるのではないか、と人間に近寄ってきたりします。わたしは見たことがありませんが、木にも登るし、必要なら、泳いだりもするそうです。

アライグマ

微笑ましいのは、親を先頭にして子どもが5〜6頭も高い塀の上をバランス良く歩いていたり、家族で戯れていたり、することです。周りに人間がいるのは、全くお構いなし。

人間の家屋の一部に潜り込んで寝ぐらにしたりすることもあります。すると、ペスト・コントロール(野生動物駆除屋さん)を雇うことになります。ここカナダでは、アライグマは「処分」されるのではなく、人の少ない遠隔地に放されることになります。アライグマ一家全てを一度に捕獲するのは、なかなか大変で、専門知識と技能と道具が必要なようです。

うちのあたりでは、前は、アライグマはほとんど見かけなかったのですが、ここ数年、住環境の変化に伴い居住範囲がこちらへ移動・拡大してきたのか、あるいは、何らかの理由でこの地域で個体数が増えているのかもしれません。

それぞれの個体の縄張りは交差するらしく、交差する部分で出会うオスとメスが仲良しし、結果、多夫多妻になるそうです。ほお、オス、メス、平等か、と思えば、オスは子育てに全く関与しないそうで、なんだ、そういう動物、多いよね、となります。

今年の5月の終わり(5月30日)に、うちのリビングの窓から、お隣の広い敷石の上に、アライグマがいるのに気づきました。基本的には夜行性の動物が、臆した様子もなく、芝生と敷石だけの隠れるところがない空間に、まだ「陽の高い」うち(カナダの夏時間の午後8時)から突っ立っているんだ、とびっくりして、すぐに、二重ガラス窓越しですが、撮影しました。それが冒頭の画像です。

その数秒後に向きを変えたのが、次の後ろ姿です。わたしのうちとは反対方向に直ぐに歩み去って見えなくなったので、その時はそれで、大胆なアライグマがいることだ、ということは忘れました。

2022.05.30撮影

上2枚の画像を撮った20分後(これは後で撮影時間を見てわかったことです)、うちの前庭に何やら動物がいることに気づきました。以下の画像が、数日前の記事の冒頭でご紹介した画像です。これも、リビングから二重ガラス窓越しに撮りました。

ケモノさんを、リビングから見た ⑴

2022.05.30撮影

その後、すぐ、お顔を見せてくれたために、このケモノさんがアライグマであることがわかります。そして、最終的には、このアライグマさんはわたしの庭から出ていきました。

ケモノさんを、リビングから見た ⑶

さて、8月も末(8月20日)に迫り、バンクーバー市の今年の散水制限はつらかったなあ、もう庭がカラカラよ、どうしよ、と思いながら、ふらふらと前庭の東の敷石(上の画像に写っている敷石)の上に歩いていきました。そして、そこで、画像で言うと左を向いてたたずみ、自分の空間を楽しんでいると、

わたしひとりじゃないじゃないですか、この空間にいるのは。でっかい生き物がそこにでんと座っている。わたしのほんの目の前の、いろいろな植物が植わっているはずのところに(季節のまだ早い、上の画像には、それらの植物が見えます)。あんまり至近距離だったので、あんまり怖いものはないわたしも、ぎくっとしました。

すぐにその生き物がアライグマであることがわかり、それにしても大きいわあ〜〜、オスの大きく成長したのからしら、存在感あるわ〜〜、近寄らない方がいいわね、とか思いながら、実は、白状すると、わたしは固まっていたんです。

すると、そのアライグマのでっかいのが、わたしを見上げた後、わたしは存在しないかのような風情で、のろのろと動き出しました。別に、わたしから逃げているわけでもないのです。

そして、それが動いた後見えたのは、お尻の乗っかっていたところ。土がハゲハゲ・・・

2022.10.07撮影

上の画像は、その時に撮っていなかったので、今、庭に出て撮ってきました。今は、もう落ち葉が始まっていますが。

上の画像に見えるチューリップ(Tulipa)は、どこに植わっているか分かるように、わざと硬い茎をやや残して切ってあったんですが、見えない! スイセン(Narcissus)類が消えちゃったのは分かるにしても、なぜここまでむき出し? アヤメ(Iris sanguinea)をこんなになぎ倒して・・・もっと手前にも、アヤメはあったはずなんですが。そこ、変、と最近思ってたんです。

2022.06.06撮影

立ち上がったアライグマさまは、その後、わたしの存在には全く興味ないように、庭のあちこちを、ゆっくりと、こっちへ来たりあっちへ行ったりしました。つまり、去っていくのではなく、庭中を思うがままに動いていたんです。

わたしは固まったまま、この大きいアライグマを目で追うだけでしたが、それがケモノ道の発見につながりました。

アライグマが立ち去った後、わたしは、前庭中を周り、ケモノ道を確認しました。

次の、前にもご紹介したケモノ道の画像は、かなりな本数あるケモノ道のうちのひとつです。

ケモノ道じゃあ
2022.08.20撮影

その後、アライグマの観察を続けたところ、わたしの前庭は、若いオス(推定)とこの大きいオス(推定)の縄張りが交錯している土地のようです。さらに、裏庭には、メスが訪れ、現在(10月)の時点では、子どもを5匹ほど連れています。

なお、大きい方のオスは、後ろ脚が1本ないようです。それで、特に動きが遅く、座り込むことが多いのかもしれません。座っている時、いかにも「よっこいしょ」という感じなんです。

若い方は、体が小さめ、細め、なので、ネコかとも取り違えてしまいます。頭部を見れば間違うことはありません。

アライグマに関しては、もっと書きたいこともありますが、今回は、ここで一旦置きます。



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ケモノさんを、リビングから見た ⑶

2022年10月07日 05時47分31秒 | アライグマ
2022.05.30撮影

アライグマさんが、真ん中の敷石から、さらに西の「植え込み」に入り込みました! でも、でっかい尻尾が外に出てますよ〜〜、だ。

画像中、手前左に、葉の赤い植物がありますが、それは、成長途上の「ふさ毛のついた黄色のミソハギ」(Lysimachia ciliata)です。

オカトラノオ家の、黄色い姉妹たち

「3人の黄色い姉妹たち」のうちのもうおひとり、「大きい黄色のミソハギ」(Lysimachia punctata)は、次の画像の右下に出ています。まだ茎が伸び切る前の姿です。

さて、下の画像に進む前に、上の画像ですが、アライグマさんが向かっている目と鼻の先に、しばらく前に、きれいな色の小鳥の羽がまとまって散らばっていたんです。まだそこにそのままあるかも。アライグマさん、あなたの仕業じゃないでしょうね。違うとは思うけど。それをやったのは、うちにやってくるネコさん?

アライグマは、果物や木の実が好きで、それに加え、簡単に捕ることのできる昆虫、魚、鳥の卵(鳥自体ではなく)、動物の死骸、などを食します。それと、人間の残飯。また、人間の与えるエサ。アライグマは、動きが敏捷でないので、捕まえにくい(生きている)鳥や動物を食料にすることは滅多にないそうです。アライグマのような雑食は、人間ともども、世にはびこる・・・

それより、そこに丈の低い白い花がチロチロとありますね(上の画像と下の画像)。それは、ドイツスズラン(ドイツ鈴蘭 Convallaria majalis var. majalis)ですよ。ドイツだろうが日本だろうが、どっちでもいいんですが、スズランには毒がありますから、食べないでね。わかっていると思うけど。

もうちょっと進む(次の画像の、下、真ん中)と「クリスマスローズ」の1種、ヘレボルス・アルグティフォリウス(Helleborus argutifolius)もあるでしょ? 緑の花の(ガクですけど)。

それも食べると、お腹、痛い、痛い、になりますよ。アライグマさんは、手で物を触って確かめるのが好きなのよね。でも、そのヘレボルス、お肌によろしくないかも。手のひら部分は毛皮におおわれていないので、触りたいなら、お気をつけて。

2022.05.30撮影

アライグマさんが、東から3つ目(西から2つ目)の「植え込み」を突破しました。アライグマさんなりの足早で立ち去ろうとしています。この体の向きから見ると、アライグマさんは、この敷石は横切らずに、南下するもよう。ありがとう、ありがとう、最も西の「植え込み」には、入らないのね。

敷石を伝って、柵まで行って、そこから西隣の敷地へ越えてくれるのね。でも、柵の間が通れる? ネコさんより横幅あるよね。それとも、よじ登る? 登るのはお得意みたいなので、問題ないか。

心配は、杞憂でした。

2022.05.30撮影

なんで戻ってくるのよ。キミ、右脇腹でこすっているのがどなたか、存じ上げておるのか? キレンゲショウマ(Kirengeshoma palmata)さまであられるぞよ。わたしがお水を差し上げたところである。そんなところへ、ずけずけ、ずかずか、と。以下の画像は、去年の花。上の画像の時点では、ツボミもまだついていない。

2021.09.02撮影

シラタマノキの、サラール(Gaultheria shallon)さまにも失礼である。サラールさまは、カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州の花卉業界では花形な存在。葉のついた枝が、切花の緑ものとして大量に消費され、輸出されます。

かわいい、ハートの、シラタマノキ

2022.05.30撮影

あのねえ、そこで何してんの? 棒がいっぱい立ててあるでしょ。それは、そこに新しい植物が植わっている、という印。一向に何も育ってこないのは、あんたさんのせい?

その辺、シャクナゲ(Rhododendron)がイビツになっているでしょ。周りの木が成長して大きくなって、そこは日陰になったの。それを誤魔化すのに、今年、いろいろ植えたのよ。ホトトギス(Tricyrtis)はどこへ行った? テンナンショウ(Arisaema)は? それなりに出資したのよ。

2021.05.11撮影

結局、アライグマさんは、「植え込み」の画像の奥に写っている木と、それからさらにその奥にあるオレゴングレープ(Mahonia aquifolium)の陰へ消えて、見えなくなりました。カメラをつかんだまま外へ走り出て探したんですが、どこへ行ったかわからずじまい。柵の両側の行き来はしているみたいなので、それをどのようにしているか目撃したいものです。

明日は、うちの前庭で、わたしが実際にアライグマさんとご対面して、ケモノ道があるのを知ってしまった経緯を、お話しします。

ケモノ道については、以下をご覧ください。

ケモノ道じゃあ

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ケモノさんを、リビングから見た ⑵

2022年10月06日 07時36分53秒 | アライグマ
2022.05.30撮影

ああ、やっと、球根の植わった所から出てきてくれました。撮影者の撮影技術の不足は不問にして、アライグマさんがあまりにも不意に動いたので、このような画像になってしまいました。

ねえ、ここからどこへ行くつもり?

昨日からお見せしている庭は、わたしのうちの前庭です。うちの前庭には、形状の異なる敷石が3列並んでいて、それら敷石をはさんで、全部で「植え込み」が4つあります。両端の「植え込み」は、それぞれ両隣の敷地に柵を挟んで接しています。

東のお隣さんは、木の全くない芝生のお家。これはわたしの住むバンクーバー市では違法です。このことについては、いつか書きます。西のお隣さんはわたしよりも長く庭を作っている人で、珍しい植物をたくさん持っています。わたしのうちよりも大木があるお家です。

昨日(10月5日)の冒頭の画像、今日の冒頭の画像、次の画像、の敷石は、みんな、最も東側の敷石です。デコボコになっているのは、モミジバフウ(Liquidambar styraciflua)が大木に成長し、根が太って上がってきたためです。

2022.05.30撮影

アライグマさん、最も東の敷石を横切ったと思ったら、今度はそんなところに潜り込むんですか。道理で、白いサツキ(Rhododendron indicum)の下にもケモノ道ができたわけですね(ケモノ道ができたことは、この画像を撮った時点では、わたしにはわかっていない)。

サツキ

ピンクの花がチラチラとサツキの下に見えていますが、それは、ケマンソウ(華鬘草 Lamprocapnos、別の学名 Dicentra)のうちでも、Dicentra formosa と呼ばれる、北米西海岸原産の野草です。

2021.04.29撮影

その茎はポキッと折れやすいんですよ。どうか、折らないでくださいね。泣きますよ、ケマンソウが。ケマンソウの英名は Bleeding heart「出血している心・心臓」。ああ、今までこのハート型の花の茎が不可思議にもいっぱい折れていたのは、キミ(あるいは、キミたち)がやってたのね。

2022.04.20撮影

次の画像は、真ん中の敷石です。この画像では、アライグマさんが、東から2番目の「植え込み」をすでにくぐり抜けて、さらに次の「植え込み」に侵入しようとしているところです。

2022.05.30撮影

画像の右側に見える濃い朱色の花は、八重のレンゲツツジ(Rhododendron molle)です。

レンゲツツジ

2021.05.14撮影

上の画像で、朱色のレンゲツツジと白のサツキの後ろにある、まだ葉のよく出ていない木は、ムクゲ(Hibiscus syriacus)です。

ヒラヒラ花びらのムクゲは、ハイビスカス

アライグマさんの行動は、まだまだ続く。

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ケモノさんを、リビングから見た ⑴

2022年10月05日 08時06分20秒 | アライグマ
2022.05.30撮影

ケモノさんを、リビングから見たんです。窓の二重ガラス越しにレンズの倍率を上げて撮影しました。

実況中継を行います。

ふさふさしっぽのケモノさんですね。ネコさんでしょうか。しっぽのリングが素敵ですよ。

うちの庭によく来るネコさんかしら。まさかそんな所で不幸なネズミさんを捕らえた? それなら、テイクアウトでちゃんとお持ち帰りくださいね。食べ物を粗末にするネコさんはお断りですよ。

2022.09.29撮影

でも、ネコさんにしては、後ろ姿がお太りになっておられますわね。ネコさんじゃないんでしょうか。

あ、ケモノさん、そんなとこ(冒頭の画像の30秒後)、入っていかないでください。もちょっとそこより先に植わっていたチューリップ(Tulipa)を数本なぎ倒したのは、あんたさんですか。

2022.05.04撮影

そのうちの1本は1品もので、わたしが大切にしていたのよね。生えてくる場所的に見て、わたしが前に植えた元はパロット咲きのが、いっしょに植えた他のは消えてなくなり、これだけやや「先祖返り」して長生きしているのだと思います。花のきれいな時の姿が、上の画像のような状態です。

【チューリップの咲き方図鑑】パーロット咲き

あ〜あ、これ、折られて、仕方ないから、一輪挿しの生花にしたのよ。その後は、ドライフラワーにしましたけど。でも、もっとお庭で咲いていてほしかったわあ。来年用の養分を貯めるためにも。

わたしがブツブツ言っているうちに、ケモノさんは、冒頭の画像の位置から向こうの植え込みに潜り込んで、丈が高めの植物の中にしばらく消えて、モミジバフウ(Liquidambar styraciflua)の太い幹の後ろを通って、、、

モミジバフウでいい感じの、カラスのご夫婦(わたしの最初のblog記事)

2022.05.30撮影

、、、そして、その陰から出てきました。あ、あなたでしたか! その特徴的な目の部分の黒いバンド。

アライグマ(洗熊 Procyon lotor)さんですね。そこに何か食べ物になる昆虫の幼虫でもいますか。

アライグマ

2022.05.30撮影

お耳をこの角度で眺めると、かわいいわあ。白い縁取りがあって、モコモコしている。でも、なでなでしたい、などと、近寄ってはいけません。

アライグマは視覚があまり良くないので、あなたに出会うと、じっと見つめ返してくれるかもしれませんが、それは、あなたへの愛情表現ではありません。

アライグマは獰猛というのではないのですが、そして、むしろ、おとなしそうに見えるのですが、後ろ足で立って、前足を使って人間に傷を容易につけることができ、また、噛みつくこともあります。狂犬病などを持っている可能性もありますから、絶対に触らないでください。

日本には本来いなかった動物ですが、ペットが放されたりして日本でも繁殖している、と聞きます。本当に触らないでくださいね。

あの〜〜、アライグマさん、そこ(上の画像)、掘るのやめてくれません? そこ、今年、初めて、アシダンセラ(Gladiolus murielae)を大量に植えてあるのよ。芽が出るのが遅いようなの。いじらないで。

2022.08.30撮影

明日に続く。

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ケモノ道じゃあ

2022年10月04日 04時17分47秒 | 動物
2022.08.20撮影

けもの道であります。ケモノが何度も通って、踏みかためた道でありまする。ここを通っているケモノは、何? というか、だれ?

わたしのうちは、カナダのブリティッシュ・コロンビア州、バンクーバーの街の中心からやや離れた住宅地にあります。シカやクマは出てきませんが、出没する動物や鳥は結構います。

現行犯で目視しないことには、どの動物が通っているのかは、わかりません。この道の幅と、地面の固まり具合から、大体の憶測はつきますが・・・

見てくださいよう〜〜(泣、泣)、クサキョウチクトウ(フロックス)の茎が踏み倒されているんですよう〜〜。フロックスの茎は硬いので、これをやられると、根本で折れてその茎は根から取れてしまうんです。救いようがないんです。

季節が早ければ、他の芽が出てくるんでしょうけど、成長した茎が根元から折られると、回復しません。その年の成長と開花は、それでなくなってしまいます。折れている茎(要するに、全草)があると、わたしは、その茎を拾い上げてコンポストにするしかなかったんです。

ああ、それで、わたしの大事にしてきたフロックスの園芸種 ‘Franz Schubert’「フランツ・シューベルト」も咲かなかったのかな? わたしの大事なフランツさま。こよなく愛してきましたのに。

わたしの「フランツ・シューベルト」がどんな花か、次で見てやってくださいね。今年でもうダメになってしまったかも・・・樹木が大きくなってしまって陽が十分届いていない、ということもあって・・・

シューベルトは、お好き?

上の画像のケモノ道は、次の画像のように続いていきます。フロックスの林を縫っていきます。その辺に何種類もフロックスがあるのよ。(グスン、グスン)

2022.08.20撮影

その林を出ると(以下、画像)、数種類のワスレグサ(忘れ草 Hemerocallis fulva)(別名:キスゲ、カンゾウ)の植わっている・・・あ、あ、あ、平地になっているではないか・・・。

今年はバンクーバー市では厳しい散水制限で庭に水やりが十分できていず、花が終わった植物の葉が早々に茶色くなっていきました。画像の手前はやや陰になっているので、まだ緑ですが。

このワスレグサの枯れ葉のベッドで、おくつろぎして、日光浴をしてくれたのね。うわあ〜〜、だれだ〜〜。

ワスレグサ

2022.08.20撮影

今度は、このケモノ道を抜け切って後ろを振り返ってみる(次の画像)と、先のケモノ道に対して、三角形の長い方の2辺のように元へ戻っていく道もあります。この道の両側にも、前の道と同じようにフロックスがあります。

そこ〜〜、禿げているじゃないですか、そこにもフロックスがあったはずなんですよ! ワスレグサの葉が勢いよく茂っている時には、目線がその葉で覆われていたので、こんなになっているとは気づかなかったのね。

2022.08.28撮影

今日お見せしている画像は、この「あるケモノ」さんと庭で直近で遭遇してしまった後、撮ったものです。今夏の例年よりきついバンクーバー市の散水制限で、今、庭の植物はほぼカラカラ状態。そんな植物の間を縫って作られているケモノ道を確認するのは、容易でした。

このガッチンこで出くわしたケモノさんと同じ種類のケモノさん(同一個体ではないようです)が庭にお越しであることは、前から知っていたんですが・・・植物が青々としていた時には、わからなかったのよね、ケモノ道。それにしても、ここまで道をつけてくれているのは、よほどしげしげと通っていたのよね。数個体が出入りしているのかも。

庭を仔細に眺めてみると、ケモノ道は他にも数本ありました。

次の画像(撮影日は別の日ですが)は、ケモノさんがご休憩なさった場所です。そこに尻餅をついて、しれっとしているのを、目で見ました! あのね〜〜、そこまで植物をぺったんこにしなくてもいいでしょ〜〜。どいてくれる〜〜?

2022.09.28撮影

明日は、このケモノさんにご登場願います。

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キウイは、マタタビじゃあ

2022年10月03日 07時19分20秒 | キウイ
2021.06.22撮影(毛深くて赤い若い枝、右背景に見える太い幹)

3日間(9月30日〜10月2日)、キウイについて書いてきました。

キウイには性別があるのか
キウイフルーツの成長
キウイの収穫と、それから後

今日は、キウイの植物としての分類について書いて、キウイについての連載を終わりにします。画像には簡単な説明をそれぞれつけておきます。

2013.06.12撮影(縦に伸びる成長した枝、横に伸びる木化した枝)

うちのキウイフルーツは、果肉が緑の最も商業ベースに乗っているActinidia deliciosa です。deliciosaなんて、すごい名前ですよね。英語で言うと delicious(美味しい)。

でも、キウイフルーツって、マタタビ(木天蓼)の1種なんですよ〜〜 マタタビって、ネコがアレする? そう。キウイフルーツって、「美味しいマタタビ」!!

マタタビ科(木天蓼属科 Actinidiaceae)マタタビ属(木天蓼属 Actinidia)に属する近縁種をWikipediaの「マタタビ属」から抜粋引用します。名称ごとに、印分けします。

◯ マタタビ(木天蓼 Actinidia polygama)
◯ ミヤママタタビ(深山木天蓼 Actinidia kolomikta)
◯ オニマタタビ(鬼木天蓼 Actinidia chinensis):中国原産
□ シナサルナシ(支那猿梨 Actinidia chinensis)【オニマタタビの別名】
□ タイワンサルナシ(台湾猿梨 Antinidia callosa):台湾原産
□ サルナシ(猿梨 Antinidia arguta)
☆ キウイフルーツ(Actinidia deliciosa):中国南部原産

2022.09.28撮影(緑のキウイフルーツには毛、葉柄は赤)

以上の和名を見てみると、命名法が統一されていない。学名ではないのだから、当たり前かもしれませんが。

・中国原産のものが「シナサルナシ(支那猿梨)」
・台湾原産のものが「タイワンサルナシ(台湾猿梨)」
と命名されているのなら、
・中国南部原産のキウイフルーツは「ミナミシナサルナシ(南支那猿梨)」
と命名されるべきだと思うのですが、、、

また、なぜ、Actinidia deliciosa だけが、「キウイフルーツ」という、「〇〇サルナシ」でも「〇〇マタタビ」でもない和名になったのでしょうか。それは、多分、和語を使った和名が出来上がる前に、「キウイフルーツ」という言い方が食べ物として日本で流布したからだと思います。いや、でも、それは、学問的に見て、軟弱だあ。

「キウイフルーツ」という名称は、「美味しいマタタビ(Actinidia deliciosa)」を栽培するニュージーランドの農家たちが、輸出用に命名したものです。ニュージーランド特産の鳥キウイの姿にちなんだ、という説と、単にニュージーランドと言えば鳥のキウイ、というので選んだ、という説と、ふたつあります。

2022.09.28撮影(車庫の周りをはっているキウイの「カーテン」、この裏に果実)

次に人間の食用になるものをまとめてみます。

・キウイフルーツ(Actinidia deliciosa):キウイフルーツ
・シナサルナシ(Actinidia chinensis):ゴールデンキウイ
・サルナシ(Antinidia arguta):キウイベリー(コクワ)

このうち deliciosa「美味しい」が果肉が緑の普通のキウイフルーツで、わたしが今までお話ししてきたものです。そして、chinensis「シナの、中国の」が果肉が黄色いゴールデンキウイ。と言っても、食用として販売されているものは、両者とも、果実がより大きく、より美味(びみ)なように品種改良されたもの。

2022.09.29撮影(伸びた枝の剪定は成長期に5回ぐらい)

そして、最後に挙げた arguta「あざけりの」というのは、植物の和名でよく使われる「イヌ」とか「コ(小)」とかに当たるのかな、と思いますが、Antinidia arguta にはちゃんと和名があって、それは、サルナシです。(「サルナシ」って、ひょっとして「サル」と貶めた「ナシ」?) あるいは、地域によっては、コクワといいます。(これも、「コ」と貶めた「クワ」?) 

英語では kiwi berry「キウイベリー」と言います。「ベリーのように小さなキウイ」という意味です。

このキウイベリー、わたしは、カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州にあるカナダ国営の農業試験場へ行った時、そこで育てられているのを試食させてくれたことがあります。その時は、まさか、日本にある植物だとは思いませんでした。味は、まあ美味しいかな、と思いました。大きさがやや大粒のブドウを扁平にしたぐらいで、ひと口に入れるのにはちょっと大きいと思い、かじって食べたのを覚えています。畑の向こうの原野には、子グマ2頭とその母グマが遊んでいました。

2021.06.04撮影(花盛りの雄花)

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キウイの収穫と、それから後

2022年10月02日 11時09分32秒 | キウイ
2022.09.28撮影

一昨日(9月30日)、昨日(10月1日)、と続いて、キウイについて書いてきました。今日は、キウイフルーツの収穫と、その後の取り扱いについて、お話しします。

キウイには性別があるのか

キウイフルーツの成長

冒頭の画像は、現在のキウイフルーツの姿です。今の時期(9月末〜10月始め)には、キウイフルーツは、もうたいへん立派です。でも、今すぐに収穫するのではありません。収穫前に、果実に気温の暖かみの恩恵をできるだけ受けさせようと思います。

わたしの住むカナダのバンクーバーは、カナダではたいへん温暖なところです。でも、夏の暑さは長く続かず、果実類の成熟がそれほど進まないのです。トマトなんかを作ってみると、それはよくわかります。

それで、キウイフルーツの収穫も、これから暖かい日があることはあるまい、と思われるまで待ってから、します。早くに取り入れた実は追熟しない、という自身の経験から、少なくとも、わたしは、できるだけギリギリまで待ちます。収穫は例年10月半ばで、今年はこれから様子見。

2022.09.30撮影

上の画像で茶色い木化したように見えるものがピンと飛び出ているのは、それは、キウイの果実の茎です。元は、雌花の花茎であったものです。

わたしは、キウイフルーツを収穫するとき、この花茎(果茎?)を果実のすぐ近くのところで切ります。そうすると、花茎のついていない果実は扱いやすくなります。また、このように花茎をツルに残しておくことにより、どのツルが雌株かわかり、剪定をする時の目安になります。

以下の画像で、細く長い髭のようなものは、雄花が散った後の花茎です。雌花の花茎とは随分異なります。なお、左手後ろの方にチロチロと出ているものは、キウイではなくクロチク(Phyllostachys nigra)の枝先です。

2022.10.01撮影

収穫ですが、気温がもう上がらない、下がる一方、と思った日から、晴れた日が数日続けば、行います。晴れた日をはさむのは、果実をできるだけ自然に乾かすためです。傷があるものは取り入れずに、野鳥のために木に残しておきます。

収穫したキウイフルーツは、洗わずに室内で半日ほどさらに乾かしてから、保存用のジップロックの類に入れます。そして、冷蔵庫に入れます。

ジップロックの口はぴっちりとは閉めません、なぜなら、果実の温度が冷蔵庫に入ることにより下がって、水滴が出るからです。その水滴の空気抜きとして、隙間を作っておきます。水滴があまりにも出て果実が水に浸かるまでになると傷みますから、たまっている水は流し出したり、拭き取ったりします。

キウイフルーツの収穫と管理は、結構時間が食います。それで、ちょっと、休憩に花を見ましょ! 雄花のツボミとまだ開ききらない花です。これの花茎が、上の画像のヒゲになるのです。

2022.06.24撮影

さて、冷蔵庫ですが、キウイを大量に収穫するなら、小さいのでいいので、専用の冷蔵庫をあつらえることをお勧めします。理由は、冷蔵庫を開け閉めするのがキウイフルーツの保存に良くないのです。専用なら、開け閉めが最低限で済みます。キウイ専用にするのはもったいないなら、キウイフルーツの入っていない半年間〜8ヶ月(夏場)は飲み物を冷やすのにいかがでしょうか。

キウイフルーツは、4ヶ月から6ヶ月、優に冷蔵庫で持ちます。その間、冷蔵庫内で、低温の環境ではあっても、徐々に追熟していきます。すぐに食べたければ、必要分だけ取り出して、リンゴなんかを同じ袋に入れて、リンゴから出るエチレンを利用して、直射日光の当たらないところで、室温で追熟を早めます。袋は密閉せずにわずかに空気を通わせます。大体4日から8日ぐらいの間で食べられるようになります。

エチレン

冷蔵庫内のキウイフルーツは、時々点検して、水分が過多ではないか調べ、対処し、また、傷み出したものを取り除き、傷み出したものが入っていた袋の果実は、優先して追熟させ、消費します。

明日もキウイについて書きたいと思います。

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