16話以降はネタ切れとの戦いだった。それでも即興小説のネタを流用しつつ、週一ペースを維持しながら20話までは完成させた。
しかし、POP物語プロジェクトはここで休止を迎える。ある人物の出入りにより、バレたらヤバイかもしれない的な期間に突入したのだ。
何故か安堵する自分が居た。ネタ切れだし、ちょうど20話でキリも良いし、多くの読者が無反応みたいだし、何より労力がハンパ無いし、いっそここで終われば良いのではないかと思い始めてしまったのだ。
ある人物の出入りも無くなり、バレたらヤバイかもしれない的な期間は僅か3週間で終わった。それでもトイレ内にPOP物語が貼られることはしばらく無かった。
そして3月も終わりのある日。
「最近、トイレにお話、貼られていないですね」
青天の霹靂。ある主婦スタッフの発言だった。
「え、読まれていたんですか?」
「みんな読んでいるよ! 楽しみにしている人も居たし」
感想を聞くチャンスは突然訪れた。本記事作成時の参照用に印刷しておいた20話分のPOPを迷わず彼女に見せた。
「読まなくて良いので、ざっと流すだけで良いので、これでどんな話があったかを思い出して、どれが面白かったか教えてもらえますか?」
彼女の答えは1話、2話、18話が好きだということだった。無難に置きにいったはずの1・2話がまさかの高評価。あの頃の満ち満ちていたやる気はどこへ行ったのか。リア充には到底書けない話を書いて奴等を見返すのではなかったのか。
――もう一度書いてみよう――
そのスタッフのお陰で、やっとそう思うことができた。
せめて2クールアニメの標準話数、つまり24話までは書き上げたい。ならあと4回だ。たった4回で良いのだ。やってやるぜ。
【21話:別人】
「メロンパンじゃなくてバナナ食えよ」
「エー、本当に肌荒れ治るの?」
昼休み、僕は学校の屋上で二つ年下の妹の相談に乗るのが日課だった。
「アイメイクはアイプチの前にやっとけばテカらないしシャドウも落ちにくいぞ」
他にもボブで小顔感を出すとか、Tゾーンの乳液は少なめにするとか、
コンシーラを馴染ませてからファンデを塗るとか、数多の助言を君に与えた。
「何で男の僕のほうが詳しいんだよ」
「いじめられるまで興味無かったから」
君は二年前の僕そのもので、だからこそ放っておけなかった。
「お兄ちゃんにだけ見せてあげる」
やがて君は友達を作り、バナナ片手にプリクラを自慢してくるようになった。
「マジかよ。化粧が急激に上達している」
そこに写る君の笑顔はまるで別人で、僕は嬉しい反面、少しだけ切なくなった。
(※メイク盛り機能を使っただけです)
【バナナ→コンビニエンスストア】
POP物語は、最終章に向けて動き出した。
待っていろ、この世の全てのリア充どもよ。
(Fin.)
しかし、POP物語プロジェクトはここで休止を迎える。ある人物の出入りにより、バレたらヤバイかもしれない的な期間に突入したのだ。
何故か安堵する自分が居た。ネタ切れだし、ちょうど20話でキリも良いし、多くの読者が無反応みたいだし、何より労力がハンパ無いし、いっそここで終われば良いのではないかと思い始めてしまったのだ。
ある人物の出入りも無くなり、バレたらヤバイかもしれない的な期間は僅か3週間で終わった。それでもトイレ内にPOP物語が貼られることはしばらく無かった。
そして3月も終わりのある日。
「最近、トイレにお話、貼られていないですね」
青天の霹靂。ある主婦スタッフの発言だった。
「え、読まれていたんですか?」
「みんな読んでいるよ! 楽しみにしている人も居たし」
感想を聞くチャンスは突然訪れた。本記事作成時の参照用に印刷しておいた20話分のPOPを迷わず彼女に見せた。
「読まなくて良いので、ざっと流すだけで良いので、これでどんな話があったかを思い出して、どれが面白かったか教えてもらえますか?」
彼女の答えは1話、2話、18話が好きだということだった。無難に置きにいったはずの1・2話がまさかの高評価。あの頃の満ち満ちていたやる気はどこへ行ったのか。リア充には到底書けない話を書いて奴等を見返すのではなかったのか。
――もう一度書いてみよう――
そのスタッフのお陰で、やっとそう思うことができた。
せめて2クールアニメの標準話数、つまり24話までは書き上げたい。ならあと4回だ。たった4回で良いのだ。やってやるぜ。
【21話:別人】
「メロンパンじゃなくてバナナ食えよ」
「エー、本当に肌荒れ治るの?」
昼休み、僕は学校の屋上で二つ年下の妹の相談に乗るのが日課だった。
「アイメイクはアイプチの前にやっとけばテカらないしシャドウも落ちにくいぞ」
他にもボブで小顔感を出すとか、Tゾーンの乳液は少なめにするとか、
コンシーラを馴染ませてからファンデを塗るとか、数多の助言を君に与えた。
「何で男の僕のほうが詳しいんだよ」
「いじめられるまで興味無かったから」
君は二年前の僕そのもので、だからこそ放っておけなかった。
「お兄ちゃんにだけ見せてあげる」
やがて君は友達を作り、バナナ片手にプリクラを自慢してくるようになった。
「マジかよ。化粧が急激に上達している」
そこに写る君の笑顔はまるで別人で、僕は嬉しい反面、少しだけ切なくなった。
(※メイク盛り機能を使っただけです)
【バナナ→コンビニエンスストア】
POP物語は、最終章に向けて動き出した。
待っていろ、この世の全てのリア充どもよ。
(Fin.)
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