人の少ない旧浅草六区を抜けて、かっぱ橋道具街へと出る。
道路を挟んで両側の歩道は道具店街となっていて、鍋からお玉からたくさんの道具で溢れている。
よくある商店街に似ているが、取り扱っているものはコアなものばかりである。
「何の道具かな」と前々から思っていたが、調理道具のようだ。
雑誌で食品サンプルの専門店があると読んだことがあった気がした。
ちらちらと店先から店内を眺めつつ合羽橋交差点を渡る。
メイン通りの立ち並ぶ商店の一角に、何やらポケットパークのような場所があった。
不思議に思って、近づいてみると、金色に輝く怪しい像が立っている。
カッパだ。
逃げも隠れもせずにカッパが光り輝いている。
恵比寿の真似事なのか左腕には大ぶりの魚を抱えているではないか。
足元の石には「かっぱ河太郎像」とある。
カッパの名前だろうか。
やはり、かっぱ橋にカッパはいた。
かっぱ橋の由来にもカッパが絡んでいるらしい。
案内版に書いてあることを要約すると、
文化年間に付近は水はけが悪く、水害が多かった。
合羽屋喜八(通称:合羽河太郎)は資材を投じて排水工事を行うのだが、工事は思いのほか難航してしまう。
そこで河童が現れた。昔、河太郎に助けられたことのある河童たちで、恩返しと夜になると現れて工事を手伝いついに掘割は完成した。という話。
そのためこのあたりはかっぱ橋と呼ばれはじめたという。
で、この像は「かっぱ河太郎」。
話通りに考えると、合羽河太郎は人間なはずなのだが像は河童の姿。
河太郎河童説?
治水工事の立役者である河太郎と力を貸した河童、この地の二大英雄を混ぜてしまったのだろうか。
それにしても、若さみなぎる金色のカッパに目が離せない。