ちょっとそこまで、っていう散歩。
そこで出会う景色も捨てたもんじゃないと、いや、どんな景色よりも美しいよって気づいたのはつい最近のこと。
近いものほど、慣れたものほど、しっかりと見ていなかったりする。
花とか月とか愛でたり、ちょっと歳をとったのかな。
いや、ちょっとオトナになったってことで。
水道路に控えめに咲く、コスモスの花。
6月のコスモスってなんかしっとりとしてよいですな。
花言葉は「乙女の真心」なんてかわいらしい。
夕立のあとの露濡らす道端の花も素敵。
普段は花など眺めることは少ないのだけれど。
こもれびの森は中へと入れば、ちょっとした迷子気分を味わうことができる。
木々は高く、そして暗い。
木漏れ日となって射し込む夕陽と蝉の声。
影が徐々に伸び、そして弱くなっていく。
森をまっすぐに貫く道路は木々に覆われてトンネルのよう。
買い物袋を自転車の前かごに載せて家路へと急ぐ主婦が過ぎていく。
誰も入ることは許されない、貯水池の塔。
雑草の生えた橋。
貯水池の土手からの見える景色は、どこかトトロに出てくるような原風景。
少しだけ涼しい風が雑草を撫でる。
暮れていく空と貯水池。
ファインダーを覗くと、蒼く音のない景色が広がっていた。
カモがゆっくりと水面を揺らしながら進んでいく。
その跡もすぐに消えた。