在宅介護を受けている人の6%が床ずれ=褥瘡(じょくそう)=を患い、全国で少なくとも12万人にのぼると推計されることが、日本褥瘡学会(理事長=森口隆彦・川崎医大教授)の調査で明らかになった。
床ずれを持つ人のうち6割は、寝たきりで全面介助が必要な患者だった。在宅患者の床ずれの実態が明らかになるのは初めて。介護者も高齢である「老老介護」で十分な介護ができないことが背景とみられ、対策が急務となりそうだ。近く同学会で発表される。
床ずれは、寝たきりで腰骨やかかと、ひじ、肩の骨周辺の皮膚や筋肉に、体圧がかかるなどして血流が妨げられ、皮膚がただれて組織が壊死(えし)する。重症化すると、皮膚に直径十数センチの穴があくこともあり、感染を招いて敗血症など生命に危険が及ぶ恐れもある。 3月5日3時12分配信 読売新聞
この記事を読んで、5年前に亡くした母の背中を思い出した。
病院で息を引き取った後、看護師が清拭しているとき初めて、腰骨に大きくあいた褥瘡を知った。その大きくあいた褥瘡に、看護師の手にもったピンセットからどんどん脱脂綿が詰められていく。どんどん、どんどん・・・。それほど大きな褥瘡だった。
母は解離性大動脈瘤の手術で下半身が麻痺した。だから、そんな大きな褥瘡があっても、痛みを感じなかったのだろう。今思えば、下半身が麻痺したのは手術ミスだったのではないかと思っている。しかし、今更そのことを言っても、もう母はいない。それに、母が生きていたら、医者ともめることは望まないだろう。
看護のプロがついているから、褥瘡にはならないと思っていたし、私が病室にいると怪訝そうにする看護師との関係をうまくやり過ごすことができなかった。
そんな大きな褥瘡ができていることも知らなかったどうしようもない娘だった。今でも、自分が母の寿命を縮めたと思っている。悔やんでも悔やんでも、母は戻ってこない。母の体に、もっともっと触れてあげればよかった。
ごめん、お母さん。本当にごめん。