FCC日記

子どもたちのクライミングスクールの活動記録と教育、スポーツ、そしてクライミングに関して想うこと。

<大会参加報告>東京カップ2014 ③

2014-05-28 16:17:10 | コンペティション参加報告
コンペビギナーのたけくん、コージン、リューセイよりも大会参加の経験が豊富なユキちゃん。
大会成績の向上を目標にするようになってきた。
この目標がはっきりしてから、ユキちゃんは変わって来た
あれほど「怖い~、いや~」とヘッポコぶりを発揮していたルートに真っ向から取り組むようになり、大会で自分が出来なかったことを普段の練習で克服しよう、という気概が出て来たのである
この取り組みの変化によって、ユキちゃんの実力は急上昇
一昨年は10cでピーピー泣いていたのに、今年は12cを2撃している。
子どもたちの成長ぶりには、全く目を見張るね

さて、ユキちゃんの予選1本目。
上部カンテの遠いところで苦戦し、ダンゴ集団に呑み込まれた
「あ~あ、決勝はムリかな~」とちょっとがっかりしたが、がっかりするのはまだ早い
予選2本目はちょっと前のユキちゃんだったら大の苦手の垂壁課題。
ところが、気合いを入れなおしたユキちゃんは安定し、かつ落ち着いた登りで見事完登
この完登によって決勝に進出することができた


ユイトは一昨年は国体・少年の東京代表選手だった。
国立の高校に進学してから、クライミングに費やせる時間が極端に減ったけれど、それでも楽しみながら大会にも出場し、細々とクライミングを続けて来た。
今回はあまり登る時間がなかったようだが、それでも東京の選手としてこの大会にエントリーしていた。
私もユイトに会うのは久々だった。
練習不足ではあるが精一杯頑張って、18人中11位だったユイト。
大会終了後私のところに来て、
「センセイ、僕、競技としてクライミングをするのはこれが最後になるかと思います。進学の準備や学校が忙しくて・・・」
了解ですよ
専門の学業や仕事の合間に楽しく体を動かす目的でのクライミングだって大有りなのだ。
今まだ高校2年だけれど受験準備に入るユイトは、多分これでFCCの満期終了となるのだろう。
会場にはお父様も来られて、
「将来、ユイトの下のコーヘイ達もFCCを卒業する年齢になったら、OB会をひらきたいですね」とおっしゃっていた
それも素敵だな~
みんな、どんな大人になっているんだろうね


東京の強化選手に残れるか否かで背水の陣のタクミ。
いつもはあまりの呑気さに怒りまくっている私だが、今回はそんなタクミにも「必死さ」がみられた。
1本目、ユイトが落ちた小核心を抜けたものの、そこで手が張ってフォール
2本目はいつもより冷静なクライミングが出来ていた
手が張って来てこれ以上はもたない、と察知して、クリップをする代わりに一手出してそれを止めてフォール
戻って来て、「辛くなってからてんぱらずに、考えて作戦を立てて実行できた」と嬉しそう
そうだね、いつもはただただ慌てて終わるのに、今回はきちんと駆け引きが出来た
これは進歩だよ
この駆け引きのおかげでタクミはちょっと順位を上げ、18人中9位になった。


~つづく~

<大会参加報告>東京カップ2014 ②

2014-05-27 12:15:08 | コンペティション参加報告
初参加ながら「ジュニア男子」にエントリーのコージンとたけくん、そして初級のリューセイ。
今回はとりあえず大会がどんなものか、を肌で感じよう。
肌で感じたものは信用度が高い。
自分のどんな点が足りないのか?逆に良い点は?今後どうするか?
3人は17人の出場者のうち、たけくん15位、コージン16位、リューセイ17位と下位を独占したけれど、結果云々よりも個人の成長の糧として捉えて指導していけば、決してこの経験が悪い方には向かわないはずだ

3人とも今の自分の力は出せたのではないかな?
中級になったばかりのコージンは、今の実力をしっかり出せたと思う
不安になると動けなくなるたけくんも、一手出すという当面の課題に進歩が見られた
リューセイは予選の2本目で、1本目のクリップ前に足が滑って地面に落ち、冷や冷やしたけれど・・・怪我がなくて良かった
リューセイは会場でも遊んでいることが多く、ちょっと叱った
大会での取り組みの姿勢は、クライミングに対するリューセイ自身の情熱と大きく関係するよ



当日、カメラを忘れてしまい(携帯もあろうことか電池切れとなり・・・
今回のブログは皆さまから頂いた写真を使わせて頂いております。ありがとうございます

~つづく~

<大会参加報告>東京カップ2014 ①

2014-05-25 13:44:30 | コンペティション参加報告
4月27日(日)
参加者:コーヘイ(中3)、タクミ(中3)、ユキちゃん(小6)、コージン(小6)、たけくん(小5)、リューセイ(小5)、ミナミちゃん(小3)

「東京カップ」は東京都の国体代表や強化選手を選出する大会。
FCCからは、東京都民であり、東京の国体代表選手権や強化選手入りがかかっているコーヘイ、タクミの中3コンビはもちろん参加
そのほか東京在住者以外でも、チームメンバーには毎年参加を呼び掛けており、6年生になりユースの全国大会に参加出来るようになったユキちゃんのほか、今まで大会とは全く無関係な環境でのんびりクライミングを楽しんで来たたけくんやチームに入会したてのコージンも参加することとなった。
刺激を受けてもらいたいことと、今の自分に足りないものは何か、をはっきり自覚してもらうためだ

チーム以外の子どもたちには、特にこちらから参加を促すことはしていないが、自主的にミナミちゃんとリューセイが参加
まだリードクライミングに入っていないミナミちゃんは、トップロープの部で参加。
一方のリューセイはなんと「ジュニア男子」のカテゴリーでエントリー
まだ初級なんだけど、大丈夫かな?
私としてはトップロープで参加したほうが良いのでは・・・?とも思ったのだが、もうエントリーしちゃっていたことと、本人の希望とのことだったので、頑張ってもらうことに。

朝8:15に集合。
先ずはハッキー(本来ハッキーは足で蹴って遊ぶ道具なのだが)をキャッチボールしあってウォーミングアップ
笑顔になること、楽しく体を動かすこと
大会前の時こそしっかり実践したい
コーヘイやタクミの東京強化の仲間たちもいつの間にか加わって、キャッチボールの大きな輪が出来た。
観察していると、ボールを投げる動きが極端に下手な子が意外と多いことに気がついた
所謂「女の子投げ」の男の子もちらほら見かけ、ちょっとショック

「遊び」はその後の人生の縮図的なトレーニング。
今の子どもたちの遊びの機会の少なさには、将来的な社会構築の不安を覚えるが・・・


さて、受付開始時間になり、選手の子どもたちは受付へ。
子どもたちには、アップ壁のないこの大会でのやるべきことをレッスンで伝えてあるので、それをしっかりしておくように念を押す。

バタバタと時間が過ぎて、あっという間に競技開始。

1本目、トップバッターはミナミちゃん。
「ルートはどうかな?」と聞くと、「これ、行けそう
自信を持って臨んだミナミちゃんだったが、上部が思いのほか遠く、完登ならず
唇をかみしめて戻って来た彼女は、お父さんとお母さんのもとで悔し涙を流していた

が、2本目では見事に立ち直っていたミナミちゃん。
渾身の頑張りで粘りのクライミングを見せ、見事3位に

 

FCCに入ったばかりの彼女の内面を垣間見た瞬間だった。

~つづく~


ユース選手権 ⑥

2014-04-28 17:38:06 | コンペティション参加報告
大会2日目・決勝

決勝進出者はコーヘイだけだけれど、みんな一緒に会場へ向かい、コーヘイはアイソレーションへ。
この大会はアイソレーションに入るのは選手のみ。
引率者やコーチはアイソレーションに入ることは出来ない。
もっとも、入れたとしても同行する気はないけれど。

決勝に残れなかった子どもたちには単なる「見物人」でお遊び気分にならぬよう、自分も決勝に出るつもりでしっかり勉強してもらおう。
予選・決勝の2日間を通して緊張感を保つことも、トレーニングのひとつなのだ。

さて、会場に入ったら、子どもたちには先ず掲示物を確認してもらう。
会場について先ずすべきことは、タイムスケジュールや競技順に変更がないかどうかをチェックすることだ。
本番に向けての自分の体と心のチューンアップを組み立てる基本的な情報となるからだ。
そして自分の出番に合わせて体を動かしたりストレッチをしたりして、臨場感を持ってもらう。

いよいよ決勝開始。
今回はドーピング検査実施の関係から、アンダーユースB→ジュニア→ユースA→そしてコーヘイのいるユースBの順に競技となった。
選手紹介の後、オブザベーション。


観客席にいるメンバーにも、選手のオブザベーションと一緒に観客席からオブザベを行ってもらう
オブザベーション能力はとても大事なのだが、慣れないとこれがなかなか正確に出来ない。
特に選手として出ていると緊張も手伝って、頭の中が真っ白なまま終わってしまうのはよくあることだ。
なので、気楽な立場の時から練習しておくのは有効な方法だと思う。

競技開始。
さて、みんなのオブザベはどこまで正確だったかな~?

そして自分たちのカテゴリーが終わるまで、緊張感を保つために姿勢を正して観戦。
みんなすぐに気を抜くね。心の持久力が足りないな~


いよいよ「ユースB」の番だ。
今回の男子決勝ルートは下部にある第一核心が意外と悪いらしく、有望視される選手が次々と犠牲となっている
コーヘイはどうだろう。

きちんとビレイヤーの方に礼をして登り始めたコーヘイ。
なかなか落ち着いている。


例の第一核心も無事通過
なかなか良いぞ」と思った矢先、他の子は誰一人落ちていない個所でなぜかびょーんと飛んで勢い余ってキャッチしきれず、落ちた
・・・そ、そこ???
あまりに予想を裏切る展開に、しばし呆然。
警戒していたところが越えられて、心に隙が出来たのかな?
 ↓飛びすぎ~!


「飛びすぎちゃった・・・」と半べそで戻って来たコーヘイ。
気の毒だけれど、この失敗を受け容れるしかない。
痛恨の一手の痛みに耐えるために、コーヘイは丸まったまま静かに涙を流していた。

結果は3位だった。
コーヘイよりあとに出た有望選手も、何と第一核心に呑み込まれたためである。
なんだか「棚ぼた」感がありすっきりしなかったけれど、第一核心が越えられたことを喜ぶべきなのだろう。

今回もあぶり出されたコーヘイの課題は、メンタルだった。
ちょっとした心の隙に足もとをすくわれた。
集中しきった状態のまま動き続ける・・・それが緊張を強いられるような場でも出来るようになれば、大事な大会で満足の行く登りが出来るようになるのだろうね。

大会終了直後はいろいろと刺激も受けて感動もし、自分の生活態度を見直すことを誓ったコーヘイだったが・・・
なんですぐに忘れちゃうんだろうね



ユース選手権2014 ⑤

2014-04-25 17:03:42 | コンペティション参加報告
全員の予選が終了。
その結果、決勝に進めたのはコーヘイ一人だった。

今回初参加のタクミとユキちゃんは、「決勝に残れる可能性は低いから」と日帰りで大会に参加するつもりだった。
宿泊すれば費用もかさむ。
それも良く分かる。

でも私は、たとえ残れなくても「残れたつもり」で決勝をシュミレーションするのはとても大切なことだと考えている。
また予選参加においても、「宿泊の予約をすでにしてしまっているぞ」という意気込みで臨むことも、大事なことだと考えている。
「どうせ」という気持ちが排除されるからだ。
始めから宿泊するつもりがないのは、すでにそこで敵に後ろを見せている。
たとえ実力的にまだまだであっても、「覚悟をもって臨む」ことが成長につながるのではないか。
覚悟のほどが中途半端だと、「必死さ」をもって戦えない。
「必死さ」が人を成長させる。


かくして、全員で会場付近の宿へ
宿に着くと緊張もほぐれ、子どもたちは楽しそうにはしゃいでいる
一休みしたら近くのステーキ屋さんへ。
食べざかりの子どもたち、食べる食べる・・・
仲間との食事も楽しいひと時だ
緊張するばかりでなく、それに伴う楽しい想いも大事だよね

宿に帰ってからミーティング
まだ記憶が新しいうちに自分と向き合う時間を
子どもたちは溢れる想いをめいっぱい用紙に書き込んだ。
これが一種の「癒し」にもなっているのかな…?彼らの様子を見つつふと思う。


決勝に行けた子も行けなかった子も、明日の行動予定表を記入して解散。
行けなかった子たちも、「行けた」と仮定して考えてみた。
いつか行ける日のために。
そして、「明日は決勝のつもり」で気を抜くことなく今日の残りの時間を過ごしてもらった

~つづく~