FCC日記

子どもたちのクライミングスクールの活動記録と教育、スポーツ、そしてクライミングに関して想うこと。

<レッスン日誌>レベルアップレッスン@pump2

2013-04-26 13:56:46 | クライミングレッスン報告
4月2日(火)
メンバー:たけくん(小4)、カツラ(小4)、タイゴ(小5)、しいちゃん(中1)、のんちゃん(小4)

春休みバージョンで、平日の昼の時間帯でのレベルアップレッスン
最初の時間帯にたけくん、カツラ、タイゴ、しいちゃんの4人。
次の昼間の時間帯にはやはりたけくんとタイゴ、そしてのんちゃん。

春休みバージョン1時間目。
この春休み、たけくんとタイゴは登りまくっている。
いつもはFREEDOMで登っているカツラも、ルートのレッスンを受けにやって来た。

この時間、準備体操のリーダーはじゃんけんで決定。
かなり慣れて来ている子どもたちのレッスンなので、リーダーは誰でもなのだが
「人に伝える」ことの練習のために持ちまわりで務めてもらっているのだ。
タイゴがじゃんけんに負けて、今日のリーダー。
期待以上にきちんと出来ていたよ

基本練習では前傾壁での課題が盛り上がっていた
みんな同じくらいの強さなので、ちょうど良い刺激になるみたいだね

若干のボルダータイムをはさんでルート。

ルートでは受験後のリハビリ中のしいちゃんが良い登りを見せた
簡単なルートから始めて、すこーしずつ、今の彼女にとって辛い課題に取り組み出しているしいちゃん。
今日は10aを登るように指定したが、ルートの選択は本人に任せた。
どのルートを選ぶかな?と思っていたら、以前とても苦労したダイヤモンドとツナミの間にあるオレンジ/をやると言う。
彼女の苦手な甘いホールドでの正対・ひきつけが核心のこのルート。
良く選んだな~
核心では行きつ戻りつ、本当に良く頑張って見事完登

登り終わったしいちゃんにビレイしてもらって、たけくんはトップロープで一反木綿の10cを登る。
最近、ルートが伸び悩みのたけくん。
登っている途中で気持ちが弱くなると、どうしてもそれを打破できない
たけくんが登りたい10cを、先ずはトップロープで練習。
中学生になったしいちゃんはジムを保護者なしで利用するためのテストを受けなくてはならないので、
トップロープのビレイ練習を兼ねて彼女にビレイしてもらう。
中学生になると、指導者がついていればビレイをしてもOKなのだ。

たけくんは前回行けなかったところは突破
でも、その後で動けなくなった
うーん。。。ボルダーでは良い動きをするのにな~
しばらくは、たけくんがやさしめに感じるルートをたくさん登ったほうが良いのだけれど、
人数が多いとなかなかそれも出来ないね。
ママがビレイに来られれば可能なんだけれどなぁ

タイゴはクリップの練習をした後、ママのビレイでクリップの練習をしながらトップロープで登るトップリード。
クリップはなかなか手早い。そろそろリードで登っても良さそうだね

カツラは5.9が終了して10aにトライ
なかなかセンスの良い登りをするね。

2時間目。

のんちゃんは今、テンポ良くリズミカルに登ることをテーマに練習中。
大分目線の動きも早くなってきたよ

2時間目のタイゴはビレイの仕方のテスト。
一つ注意事項を忘れちゃって、今日は不合格だった

たけくんはルートの途中で怖くなると顔を壁にくっつけてしまう癖がある。
結果へっぴり腰になってしまって体が伸びない。
今はそれを矯正中。
「なんだか慣れないな~」とたけくん。
癖を直すのって難しいね

<コンペに行こう>ユース選手権・決勝

2013-04-24 13:17:24 | コンペティション参加報告
3月31日(日)
決勝進出者:コーヘイ

決勝当日はあいにくの天気

受付開始30分ほど前に会場に着く。
雨だとういうのに建物のなかにはまだ入ることが出来ず、玄関ホール前の庇の下は決勝出場の選手やら保護者の方々やら応援の仲間やらでごった返していた。
アイソレーションに入る前のコーヘイにも会ったが、あえて口うるさいことは言わず本人に任せることにした。

男子決勝ルートは張りぼてを多用したボルダーチックな課題だった。
下部から悪く、気が抜けない
コーヘイが苦戦しそうなポイントは上部3分の2ほどのところにある、赤い大きな三角ボテの処理。
リーチがあまりない場合は、股関節の柔らかい子なら手に足で体を引き上げることも可能だろうが、コーヘイはそこまでの柔軟性はない。。。
いや、そこまで行ければ「御の字」で、メンタルが不安定な状態だったらいつでもどこでも失敗出来そうな不安定さを抱えたルートだ
なんだか心配だな~

登る順番は、予選成績の悪い順番で。
ユースBのカテゴリーでは、予選は10名通っているから、コーヘイはちょうど真ん中の出番となる。
コーヘイより前に登ったボルダーの強い子たちも下部からかなり苦労していたし、懸案の三角ボテまで行けたのは一人だけだったので、だんだん三角ボテまでも行けないような気がしてきたところで当のコーヘイの登場。

最後の練習の時コーヘイは生活面もメンタル面もズタボロで、トレーニング用に練習していた13cは気持ちだけが先走って体が浮いており散々な登りだった
状態の悪い見本ケースとして記憶しておくように本人には言ったものだ。

その最終練習時の登りの様子が瞼にチラチラしていたのだが、目の前で登り始めたコーヘイの動きは別人のように安定していた。
ボルダーの強い子がやっとの思いで止めて行ったところも、スタティックな動きでニョロニョロと越えて行く
おや?結構良いぞ
懸案の三角ボテまで安定して到達
・・・が、やはりそこが彼の難所だった
何回かムーブを変えて試してみたが、力尽きてフォールした

最終成績は予選と変わらず、5位。
でも、思いのほかの良い登りだった
大会直前まで生活面の問題でスッタモンダし、練習も充分に出来ていたとは言い難い。
私は、今回の成績は覚悟しておくように言ったものだ。成績が悪くて悔しい思いをしても、自分の責任なんだよ、と。
ところがなかなかどうして。。。本番中の集中も良く、気持ちだけが高ぶることもなく、力を出し切る登りが二日間を通して出来ていた

本番で実力を出し切る、ということがどのくらい困難であるかは、経験のあるものならばよく分かるはずだ。
今の力が出し切れてはじめて、自分の力の足りないところがはっきりと分かる。
力を出し切ることは、その後の成長の第一歩、と言えるのだ


今回、コーヘイは決勝のアイソレーションでの待ち時間でも、マンガを読むのはやめたらしい。
予選では禁止したマンガを決勝ではとやかく言わなかったのだが、自主的に選んだ結果だった。
不安と向き合い、気持ちが乱れてきたらストレッチをしたり軽く登ったりして過ごしたとのこと。
クライミング中のメンタルも、自分の番の直前に私の助言の通り気持ちを作ったようだ。

こうした指導が彼らの本番のパフォーマンスに活きたことは、私にも自信となった
そして、子どもたちはほんのちょっとしたことで敏感に反応を見せ、大きく変化することも再確認した

さて、コーヘイは、今回学んだことをどこまで今後に活かせるのかな?


 ↑決勝のコーヘイ(左)



<コンペに行こう>ユース選手権・予選③

2013-04-23 12:44:58 | コンペティション参加報告
さて、1本目。
コーヘイは2本の予選ルートのうち、傾斜のゆるやかな課題から登ることになる。
張りぼてが多用され、ムーブの組み立てが重要な課題のようだ。
1本目がいつも悪いコーヘイに、「コーヘイは割と好きなルートなんじゃないかな?」と声をかけておいた。

コーヘイの登りは、なかなか良い。
今までのように気持ちの空回りもなく、落ち着いて、でも集中して、無駄に力を浪費せずに高度を稼いだ。
上部の張りぼての処理で落ちたが、力は出し切れていたようだった
「あれ、無理っす」と息を弾ませて戻って来たが、表情は晴々していた

一方のユイちゃんはどこにいるのか全く分からなかった。
多分神奈川の強化の仲間と一緒にいたのだろうか?
彼女の出番が来て、登っているのが遠くから見えた。
ちょっと動きが硬いようだったが、最大傾斜の入り口にさしかかりふと目を離した瞬間、ポロっと落ちてしまった。。。
まさか、というポイントであった。

後でリザルト掲示板の近くでユイちゃんに会った。
「どうしたの・・・?」と声をかけると、「登っている途中で急に自信がなくなって・・・」とポロポロッと涙をこぼした。
コーヘイと同様のメンタル処方を伝え、彼女と別れた。

そうこうしているうちに「先生、こんにちは」という聞きなれた声に驚いて振り返ると、何と、タクミがいた
自分のお小遣いをはたいて電車を乗り継ぎ、一人で応援に来てくれたのだった

2本目。
今度はコーヘイがちょっぴり嫌いな傾斜の強い課題である。
ルーフでのテクニックも力もいるムーブがカギ。
でも、今までのようにとにかく心配で仕方がない感じは今日は無い。
待ち時間では積極的かつ冷静に攻略法を分析したり考えたりしていた。

2本目も今日のコーヘイは積極的に攻める登りで善戦した
いつもは1本目の成績が悪く、もう後がない状態で追いつめられて力を出していたのだが、
今日は良い精神状態で、しかも力を出し切れていた。
ハングを抜けたあたりでフォール。
2本の合計で5位通過で決勝進出が決まった。

ユイちゃんの2本目は1本目より良く体が動いていた。
上部3分の1くらいのポイントまで迫り、総合順位を少し上げることができた

明日も登れることになったコーヘイに、これからの過ごし方やアイソレーションでの過ごし方に少しアドバイス。
アイソレーションに入ってしまうので、出番前に会えるかどうか分からないからだ。
駅までコーヘイママに車で送って行頂き、タクミと電車で帰った
疲れ切ったタクミは、電車の中で爆睡していた
コンペって観ているだけでも疲れるよね。わざわざ来てくれてありがとうね

 ↑予選・2本目の様子(右端がコーヘイ)



<コンペに行こう>ユース選手権・予選②

2013-04-19 13:14:09 | コンペティション参加報告
さて、予選開始。
予選は2本のルートをフラッシングで登り、その高度成績で順位が決まる。
決勝に進出できる人数は8人程度だ。
フラッシングとは、他人の登りを見たり、登り終わった人にルートの様子を聞いたりして、ルートの情報を得ても良い状況で登ること。

今はワールドカップも予選はフラッシュである。
ウォーミングアップの部屋やアリーナの一角に設置された視聴覚コーナーには、予め予選ルートを登っている様子のビデオが流れており、選手はそれを見てルートの攻略法を研究できる

コーヘイには自分の出番の予想時間に従って、ウォーミングアップやビデオでのルートチェックをぬかりなくするよう促す。
いつもは出番待ちの時間にマンガを読むことが多いそうだが、今回はそれを禁止した。
押し寄せる緊張感。。。マンガはそれを忘れさせてくれるかもしれないが、この待ち時間での緊張感との戦いは自分の気持ちを整理したりコントロールしたりする良い学習チャンスである。

そっとウォーミングアップルームを除くと、他の東京の選手とセッションしながら元気そうにアップしたり、ビデオをチェックしたりしていた

  ↑アップボードの様子

さて、1本目の出番が近づいて来た。
名前を呼ばれた選手は壁の下のコールゾーンで待機しなければならない。
コーヘイの今までの待ち時間の過ごし方はなかなか良い。
最後に登る時の心理コントロール法の一つをコーヘイに伝え、送り出した。

~つづく~

<コンペに行こう>ユース選手権・予選①

2013-04-17 12:42:16 | コンペティション参加報告
3月30日(土)予選 
参加者:コーヘイ、ユイちゃん

「ユース選手権」は、10代の子どもたちのためのルートクライミングの全国大会だ。
この大会での成績は、「ワールドユース」や「アジアユース」などの世界規模の大会への派遣選手の選出対象となり、
出場するためには各地方の山岳連盟の推薦が必要となる。

当スクールの生徒からは今年は出場者が少なく、東京の推薦でコーヘイが、神奈川の推薦でユイちゃんの2人が出場資格を得ていた。
ここ1~2年、自分の生徒たちの大会の帯同は無償の奉仕としているが、私としては経済的になかなかキツイ
なるべく各ご家庭に負担の少ないようにしたいのだが、それがかえって自分の首を絞めており、
同行出来たり出来なかったりしているのが現状だ。
もし、子どもたちにとって私の同行が本当に必要ならば、私の生活を脅かさないように同行出来るシステムを
何とか整えるよう考えて行かなければ行かないのだが、なかなか手が回っていないのが現状だ。。。

今回もどうするか悩んだが、今までコーヘイには大会のサポートをあまりしてあげて来られなかった。
大会終了後、ご家族が撮ったビデオなどを観させて頂くとメンタル的な不安定さが気になった。
日常の努力にも波があり、これと大会での不安定さとが連動していることは明らかであった。

従って今回は同行を決意。
コーヘイのご家庭にお願いして車に同乗させていただくことにした

さて、今コーヘイの一番の問題点は、ぐーたらなこと。
これはなかなかの筋金入りで、この大会を直前に控えた3月も、学校の提出物の提出状況の悪さで
チームを首になるのならないのとスッタモンダしたのだった
当スクールの「チーム」は、学校生活なども含め、私生活が乱れていると除名の対象となるのだ。
行きの車の中でも、コーヘイ母の
「あまりに提出物などがひどいのでネットで調べたら、某有名塾の塾長の回答が、
お母さんあきらめましょう、というものだった」などと笑うに笑えない()話を伺いながら現地へ。
似たような悩みをお持ちのご家庭も多いことかと思い、
コーヘイには悪いがあえて現状を暴露させていただいた。許せ、コーヘイ

東京の選手は、トレーナーの方が出場前にコンディショニングを施してくださるという恵まれた環境にある。
コーヘイもコンディショニングの時間に合わせて早めに現地に行き、ジョギングをしたりして体を温めてから
建物の外で、なるべく風の当たらないところでコンディショニング。
私も同行させていただいたが、ここでも「コーヘイ、私の言ったこと、ちゃんとやってる?」と言われていたな~

さて、いよいよ受付開始。
ユイちゃんの姿を人ごみで探したが、うまく見つからなかった。

~つづく~