FCC日記

子どもたちのクライミングスクールの活動記録と教育、スポーツ、そしてクライミングに関して想うこと。

<レッスン日誌>DOM KIDS SCHOOL

2014-04-30 15:57:24 | クライミングレッスン報告
3月25日(火)
メンバー:ユーキ(小2)、ミサキ(小2)、いった(小1)、ののちゃん(小5)

「ダムキッズスクール」は青葉台にあるボルダリングジム「フリーダム」でのスクールだ。
オーナーの兄ぃと店長から「うちのジムの子どもたちを育ててほしい」と直々に依頼が来て成立したスクール。
なので、高いモチベーションでクライミング取り組み、大人たちへも刺激を与えるような子どもたちを育てたい。

けれど、もともと他のジムで行っていたレッスンもあり、フリーダムに伺えるのは月2回のみ。
月2回のみの定期スクールで子どもたちが育っていくためには、単なる「習い事」の枠を超えて、自主的かつ積極的にクライミングに関わって行くことが大事なのだが、そのためには本人の「やる気」に加えご家族のサポートする姿勢と意欲が要となって来る。

兄ぃの話によると、ほとんどのスクール生がスクール日以外に自主練習に来ることは皆無と言う。
今までの約5年間でここのスクールから育って来ているのはユキちゃんとりょーたの2人のみ。
ちょっと寂しいね

先ずは保護者の方の関心を!と、兄ぃの発案で、保護者の方への「発表会」を行うことにしてみた。
今日はその「発表会」の日。
子どもたちは「今の力でギリギリ登れる難しさの課題」を2課題、「今は無理だけれど1ヶ月間練習して登れるように持ち込みたい課題」1課題を選び、スクール以外の日も自主練習に来て練習を重ね、今日を迎えた

スクール開始30分後から発表会開始。
なので、先ずはウォーミングアップだ
いつもはゲームをしたり基本の動き方を練習したりするのだが、今日は準備運動の後は9級から8級くらいを自由に登り、ウォーミングアップ。
「こーゆーのもた~のしい~」と子どもたち。

さて、ママ達がいらして、いよいよ発表会開始
子どもたちは大張りきりだ

各自のトライ課題をトライ順にボードに記入し、登れたらそこに花まるを書き入れる。
トライ時間は10分とした。

第一課題。
みんなあっさり完登
練習し始めはあれほど苦労していたのに・・・練習の賜物だね

第二課題。
失敗して落ちる子も何人か出たけれど、5分以内に全員完登
なかなかやるな~
子どもたちは一度成功するとリピート率が高い。
全身の皮膚感覚で成功体験を捉えているからかな?
でも、あまりにあっさり登れてしまうので、ここだけ観ているとみんなの苦労した様子が伝わらない感じがして、少し残念な気持ちに

最終課題。
やはり多少失敗しても、大抵の子どもたちはわりとすんなり完登
そんな中、最後の自主練習でもついに登れなかったというこの第3課題に、ユーキが一人大奮闘
登り終えた他のメンバーも大応援
ミサキは使うホールドを一生懸命磨いてあげていた
落ちては手をシェイクしながら集中しなおし、トライを続けるユーキは、コンペティターのようでカッコよかったよ

制限時間ギリギリで出した最終トライ。
残念ながら落ちてしまったけれど、これほど真剣なトライは周囲で応援する私たちに感動を与えた
人はこういう必死な真剣勝負を通じて強くなるんだね

事実、近頃ユーキはグンと力をつけて来ている

「発表会が終わると、また子どもたちは自主練習に来なくなった」と兄ぃ。
また第二弾を兄ぃと計画中である




ユース選手権 ⑥

2014-04-28 17:38:06 | コンペティション参加報告
大会2日目・決勝

決勝進出者はコーヘイだけだけれど、みんな一緒に会場へ向かい、コーヘイはアイソレーションへ。
この大会はアイソレーションに入るのは選手のみ。
引率者やコーチはアイソレーションに入ることは出来ない。
もっとも、入れたとしても同行する気はないけれど。

決勝に残れなかった子どもたちには単なる「見物人」でお遊び気分にならぬよう、自分も決勝に出るつもりでしっかり勉強してもらおう。
予選・決勝の2日間を通して緊張感を保つことも、トレーニングのひとつなのだ。

さて、会場に入ったら、子どもたちには先ず掲示物を確認してもらう。
会場について先ずすべきことは、タイムスケジュールや競技順に変更がないかどうかをチェックすることだ。
本番に向けての自分の体と心のチューンアップを組み立てる基本的な情報となるからだ。
そして自分の出番に合わせて体を動かしたりストレッチをしたりして、臨場感を持ってもらう。

いよいよ決勝開始。
今回はドーピング検査実施の関係から、アンダーユースB→ジュニア→ユースA→そしてコーヘイのいるユースBの順に競技となった。
選手紹介の後、オブザベーション。


観客席にいるメンバーにも、選手のオブザベーションと一緒に観客席からオブザベを行ってもらう
オブザベーション能力はとても大事なのだが、慣れないとこれがなかなか正確に出来ない。
特に選手として出ていると緊張も手伝って、頭の中が真っ白なまま終わってしまうのはよくあることだ。
なので、気楽な立場の時から練習しておくのは有効な方法だと思う。

競技開始。
さて、みんなのオブザベはどこまで正確だったかな~?

そして自分たちのカテゴリーが終わるまで、緊張感を保つために姿勢を正して観戦。
みんなすぐに気を抜くね。心の持久力が足りないな~


いよいよ「ユースB」の番だ。
今回の男子決勝ルートは下部にある第一核心が意外と悪いらしく、有望視される選手が次々と犠牲となっている
コーヘイはどうだろう。

きちんとビレイヤーの方に礼をして登り始めたコーヘイ。
なかなか落ち着いている。


例の第一核心も無事通過
なかなか良いぞ」と思った矢先、他の子は誰一人落ちていない個所でなぜかびょーんと飛んで勢い余ってキャッチしきれず、落ちた
・・・そ、そこ???
あまりに予想を裏切る展開に、しばし呆然。
警戒していたところが越えられて、心に隙が出来たのかな?
 ↓飛びすぎ~!


「飛びすぎちゃった・・・」と半べそで戻って来たコーヘイ。
気の毒だけれど、この失敗を受け容れるしかない。
痛恨の一手の痛みに耐えるために、コーヘイは丸まったまま静かに涙を流していた。

結果は3位だった。
コーヘイよりあとに出た有望選手も、何と第一核心に呑み込まれたためである。
なんだか「棚ぼた」感がありすっきりしなかったけれど、第一核心が越えられたことを喜ぶべきなのだろう。

今回もあぶり出されたコーヘイの課題は、メンタルだった。
ちょっとした心の隙に足もとをすくわれた。
集中しきった状態のまま動き続ける・・・それが緊張を強いられるような場でも出来るようになれば、大事な大会で満足の行く登りが出来るようになるのだろうね。

大会終了直後はいろいろと刺激も受けて感動もし、自分の生活態度を見直すことを誓ったコーヘイだったが・・・
なんですぐに忘れちゃうんだろうね



ユース選手権2014 ⑤

2014-04-25 17:03:42 | コンペティション参加報告
全員の予選が終了。
その結果、決勝に進めたのはコーヘイ一人だった。

今回初参加のタクミとユキちゃんは、「決勝に残れる可能性は低いから」と日帰りで大会に参加するつもりだった。
宿泊すれば費用もかさむ。
それも良く分かる。

でも私は、たとえ残れなくても「残れたつもり」で決勝をシュミレーションするのはとても大切なことだと考えている。
また予選参加においても、「宿泊の予約をすでにしてしまっているぞ」という意気込みで臨むことも、大事なことだと考えている。
「どうせ」という気持ちが排除されるからだ。
始めから宿泊するつもりがないのは、すでにそこで敵に後ろを見せている。
たとえ実力的にまだまだであっても、「覚悟をもって臨む」ことが成長につながるのではないか。
覚悟のほどが中途半端だと、「必死さ」をもって戦えない。
「必死さ」が人を成長させる。


かくして、全員で会場付近の宿へ
宿に着くと緊張もほぐれ、子どもたちは楽しそうにはしゃいでいる
一休みしたら近くのステーキ屋さんへ。
食べざかりの子どもたち、食べる食べる・・・
仲間との食事も楽しいひと時だ
緊張するばかりでなく、それに伴う楽しい想いも大事だよね

宿に帰ってからミーティング
まだ記憶が新しいうちに自分と向き合う時間を
子どもたちは溢れる想いをめいっぱい用紙に書き込んだ。
これが一種の「癒し」にもなっているのかな…?彼らの様子を見つつふと思う。


決勝に行けた子も行けなかった子も、明日の行動予定表を記入して解散。
行けなかった子たちも、「行けた」と仮定して考えてみた。
いつか行ける日のために。
そして、「明日は決勝のつもり」で気を抜くことなく今日の残りの時間を過ごしてもらった

~つづく~

ユース選手権2014 ④

2014-04-23 13:34:26 | コンペティション参加報告
FCCからの最後のクライマーはユイちゃんだ。
ユイちゃんの目下の課題は、大会で素直な気持ちで課題と、ひいては自分と対峙し、力を出し切ること。

小さいころ、他のスクール生に比べて登る機会の少なかった彼女は、いつも自分だけ登れない、という悲しい想いを繰り返して来た。
レッスンでもアウトドアでも、何度悔し泣きをしたか分からない。
他の仲間に対しても、ちょっと複雑な思いがあったかもしれない。
でも、クライミングが好きで続けて来た。
大会も、悔しい想いをし続けながらも出続けて来た。

よく、「良い成績が出せないのになぜ大会に出る意味があるの?」と言う人がいる。
が、そうではないだろう。
ただ良い順位を取るだけが大会への参加意義だなんて、何とうすっぺらなことか。
大会への参加は、自分との対峙である。
自分を鍛えてくれ、人生への心構えを磨く場である。
そいういう気持ちで参加して始めて、自分の中で意義あるものとなるのではないか。


そういう意味で、ユイちゃんの態度とモチベーションは立派なものである。
私はそう思っている

引率をするメンバーには、大会時の各行動をどういう気持ちで過ごすか?という行動とメンタルのスケジュール表を各自に記入してもらっているのだが、自分の出番の時のメンタルに「感謝」というキーワードを記入していたユイちゃん。
なかなか良い成長を見せてくれているではないか

さて、落ち着いて登り始めた彼女だったが、中間より少し上あたりで動きが乱れ、フォールしてしまった。
体が極端に小さいユイちゃんにとって、ルートで受ける負荷は普通の身長の人より強度が高いと思われる。
それだけに人一倍のパワーエンデュランスと精神力がないと自分の満足のいく登りは出来ないだろう。
厳しい条件だが、取り組みを続けて一年、努力家の彼女はジリジリと力を上げて来ている

今回は、あと少しで決勝進出の11位だった
日ごろの成果が少しずつ形になり出しているよ


~つづく~

ユース選手権2014 ③

2014-04-18 13:05:56 | コンペティション参加報告
コーヘイ、タクミに続いて、今度はユキちゃんの出番。

ユキちゃんは「悪い」と感じた時の突破力が目下の課題。
メンタルの状態や心の発育とも密接に関わるこの課題は、なかなか微妙な問題を孕むため時間がかかる。
でも、いろいろなことが少しずつ分かるようになり、自分でも「普段の練習から一手出すように頑張らなくては、本番で難しいところを突破することはできない」ということに気付き、少しずつ努力が出来るようになって来ている
オンサイトでは怖がるので、ユキちゃんの限界グレードである12cの中から比較的登りやすいルートを選び、レッドポイントを目指して練習することで、悪いムーブの個所や遠い距離感を克服する一助として来た。
「12c、というグレードを登りたい」という欲も手伝って、とても前向きにトライ出来るようになってきたユキちゃん。
今日はその練習成果を試す日だ

1本目は動きに少し硬さがあったものの、ユキちゃん持ち前の安定感のある動きで高度を稼ぎ、かなり上部まで迫った
遠い一手でフォールしたが、「もっと上まで行きたい」という執着心も見せて手も出せた
戻って来て「緊張した~もうガチガチだった」とユキちゃん。
そうか、緊張したか…。初出場、ということもあったけど、欲も少し出て来たのかな~
でも、なかなか良いトライだったよ
このトライでは、練習の成果が出せたかな?


2本目はルーフ内での遠い一手の処理が第一核心のルート。
ユキちゃんの苦手な動きだ。
本人も「あそこが問題だな~」と心配そう
ダンゴポイント(みんなが落ちてしまうところ)でもあるので、そこが越えられないと決勝進出の夢は消える
一緒にムーブを考えて攻略法を決めていざ出陣
下部はなかなか良かったが例のポイントで動揺した
体の伸びと動きのコントロールを失ってフォール
残念でした
心が乱れてしまったのが、一番の敗因だったように思えるね
こういうポイントを乗り越えて行けるように、「心」の強さを得られるよう努力して行こうね


~つづく~