FCC日記

子どもたちのクライミングスクールの活動記録と教育、スポーツ、そしてクライミングに関して想うこと。

ロボカップジュニア世界大会・表彰式の写真

2012-06-26 11:26:37 | 教育論
ホームページのトピックでも紹介しましたが、ユイトがロボカップジュニアの世界大会で優勝を果たしました
まずは「レスキューAプライマリ」という競技において、世界各地で戦い抜いてきた強豪30チームの中で優勝
さらに上位12チームがくじ引きで2チームごとの即製チームを作り課題をクリアする、という「スーパーチーム」という競技においても優勝しました

これは学んできた知力や技術力を生きた形に表現するという「知の身体性」を獲得していることの証左として、とても素晴らしいことだと思います。

特に私は後者の優勝に注目したい。
この競技においては、上記の能力のほかに高度のコミュニケーション能力が必要とされると考えるからです
限られた時間内で解決すべき課題を、初めて顔を合わせる他国の子どもたちと協力して行わなければならない。。。
これは英語という言語ツールで自分の意見もしっかり主張し、伝え、相手の意見も理解したうえで折り合いをつけることを、的確にかつ迅速に行わなければならない、ということだろうと想像されます。
ということは、単なる知力だけでは補えない、人間の基本能力、「人間力」が問われるということになります。

こうした総合的な能力の発揮が必要な競技において優勝をおさめた、ということは、本当に素晴らしいし嬉しいことです

そして私たちのやっているクライミングという競技においてもまた、究極的にはこうした人間力が問われます。
物事は全て地下の水脈でつながっている。。。
机上の「勉強」や上っ面の「技術」に終始しない、大きな広い力を身につけて行きたいものです。

この大会の様子を綴った本人たちのブログ⇒http://amalgam.ldblog.jp/archives/9499361.html

↓ 戦いが終わってボロボロの本人に代わって、ユイトのお父様が送ってくださった表彰式の写真です。


発達障害のある子

2012-06-20 12:04:17 | 教育論
先日、一人の男の子がスクールを退会しました。
彼ははじめてクライミングをしに来た時から、他の子が怖がったり困ったりするところもスルスルと登り、自分で動ける子でした。
アウトドアやサマーキャンプにも参加したことがありますが、ここでも本領を発揮
バランス力のいる高い岩や、大会で使われる高い人口壁のトップまで、怖がったり動きに迷うことなくあっという間に登ってしまうのです
また、壁の形状を利用した登り方もとても上手で、この子がテクニックを身につけ、メンタル的に成長したら良いクライマーになるな~ と密かに思っていました。

1年経ち2経ち…。
私は彼の「その時」を待ちました。
子どもたちは急にグンと力を伸ばす時があります。
それは、対象に対する気持ちの入れ方が変わり、「上手くなりたい」「技術を身に付けたい」そして「そのための努力を自分はできる」という意識の変化とリンクします

彼は5年生になりました。
そろそろそうした変化が見られても良いころなのですが、なかなか「その時」は訪れません
私のほうも意識を向かせるべく、発破をかけたり、叱ってみたりしましたが変化はさほど見られず。。。
スクールに来ると仲間と些細なことですぐ喧嘩
テクニックを覚えていないので、一つの課題を登るための動きの組み立てが出来ずに登れない。。。結果、つまらない他の子はどんどん登るための技術を身につけて課題にチャレンジしているので、一人おいてきぼりです

スクールも休みがちになり、どうしたものか?と悩む日々が続きました。

そんな時、お母様から退会の旨連絡があり、その時はじめて彼に発達障害があったことを知りました。。。
一見、健常者と全く区別がつきませんでした。
少し喧嘩っぱやくて落ち着きがないくらい。
最後のほうはそれでも少しは「ちゃんと登ろう、登りたい」という意識が芽生えてきたように思えます。基本練習だけは取り組むようになり、小さな成長が見られました

ただ、障害のことを私が知っていれば、対応の仕方を健常者と変えることが出来たかもしれないのに。。。
少なくともそのことを多少なりとも勉強し、しては行けないことだけは気をつけることが出来たでしょう。
健常者だとばかり思っていたために彼には不向きなアプローチをしていたのではないかと悔やまれます


保護者の方にお願いです。入会の時に、気になる点はお知らせ頂きたいと思います。
電話の向こう側で泣いておられたお母様の心中を慮ると胸が痛みますが、保護者と指導者の双方で情報を共有して始めて、適切な対応をして行けるのではないでしょうか。


成長期と食事~あまり食べないほうが良いもの~

2012-03-19 18:43:48 | 教育論
平日のレッスン。
子どもたちは学校が終わってからレッスンに来るので、お腹がすきます。
そこで、登る前に腹ごしらえ

彼らが食べているものを見ていてちょっと気になることがあります。
それはインスタントのカップラーメンやスナック菓子が多いこと。

カップラーメンやスナック菓子にはリンが多量に含まれているそうです。
普通、人間の血液中にはカルシウム2に対して1の割合のリンが含まれているらしいのですが
カップラーメンやスナック菓子にはカルシウム1に対して、リンの割合は5と高い。
なので、それらが人体に入ると体は骨のカルシウムを溶かして
リンとカルシウムのアンバランスを修正しようとするらしい
のです。

成長期の子どもたち。
骨にダメージを与えるような食品は、避けたほうが良いでしょう。



ゴールデンエイジと中学受験

2012-03-06 12:34:15 | 教育論
受験シーズンもそろそろ終わり。
受験生だった子どもたちももとの生活に戻り始めたことかと思います。

ただ、いつも残念だな~、と思うのが、中学受験によるスポーツの中断です。

ゴールデンエイジとは、9歳から12歳くらいの年齢に訪れる一生に一度のチャンスで、
動きの巧みさを身につけるのに最も適する時期のことです。


脳神経の発達がほぼ100%に達して充分発育しながらもまだ柔らかさが高く
身体的なレディネス(準備)もピークを迎えて双方が絶妙なハーモニーを奏でるこの時期は、
見たまま感じたままのイメージをそのまま体全体で吸収し、
自分の技術として身につけられる特別な時期なのです


この時期にはプロ並みの技術も身につけることも可能であり、
まさに一生ものの技術習得のチャンスなのですが、
中学受験はまさにその時期と重なります

もちろん、中学受験からも学ぶべきことは多く、一概に否定するべきものではありませんが、
せっかくそれまで準備してきたあるスポーツ技術の習得能力が
塾漬けになる日々で発揮されずに終わるのは、なんとももったいない。。。

中学受験を終えた後、もとのスポーツに戻る確率はかなり低いのではないでしょうか?
クライミングが特別なのかもしれませんが、
少なくともクライミングにおいては中学受験を終えて戻ってくる子はとても少ないです。

もったいないなぁ~ 

スキャモンの発育曲線

2012-02-17 11:26:16 | 教育論
成長期にある子どもたちの体。
出生時から成人になるまでに、頭部は約2倍、胴体は約3倍、脚部は約5倍の成長を遂げると言われています。
当然ぐんぐん伸びている彼らの骨や関節は柔らかく、無理に負荷をかけるようなストレスには弱いので、注意が必要です。

子どもたちが運動を楽しみ、体力を向上させ、より本格的なスポーツ活動の準備をするためには、
彼らの成長段階に応じたスポーツ指導をする必要があります。
子どもたちの体の各部分の働きの成長ポイントを理解するためには、「スキャモンの発育曲線」という図が良く使われます。
↓スキャモンの発育曲線

◎神経型=最も早い成長を見せる。脳、脊髄、眼球、頭の大きさ等
◎リンパ型=12歳前後で成人の約2倍程度まで働きが高まる。胸腺、リンパ節、扁桃腺等
◎生殖型=思春期になると一気に伸び20歳頃に落ち着く。睾丸、卵巣、子宮、前立腺等
◎一般型=出生直後と思春期の2回に渡り盛んな時期がある。身長、体重、呼吸循環系、骨格、筋肉等

この図から分かることは各年代によって力を入れるポイントが違う、ということです。
小学生期は神経細胞の発達が完了する時期であり、さまざまな運動においてその技術習得に最も力を入れるべきです
小学校高学年から中学生期は心臓や肺などの呼吸循環機能が発達する時期であり、軽い負荷で呼吸循環機能を向上させるようなトレーニング(ジョギングや軽い負荷での筋持久系トレーニング)が良いでしょう。
小学生期に身に付けた基礎技術力に加え、中学生期は基礎体力を高める時期とも言えます。
成長がほぼ完成してくる高校生期;">「パワー」を高める時期です。筋力トレーニングもしっかり行い、最大筋力を高めて行きます。

各ご家庭においても、こうしたスポーツ指導の常識を知っていただき、子どもたちに接して頂ければ幸いです